【夢の中】で女を犯しまくっていたら、【現実】に影響でちゃった……。   作:BIBI

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第14話 ブレない男が刺さるらしい。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 静かな朝。涼しい微風を浴びながら、俺は海の見える公園に向かった。そこは放課後よくイノリと来る馴染み深い公園で、いつものように俺は自動販売機で缶珈琲を買う。

 

 

 

 甘ったるい珈琲を味わいながら、海を眺めながら歩いていると、いつもは居ない人物と思わぬ再会を果たす。

 

 

「カナミ、先輩……?」

 

 

 俺は足を止めて、真っ直ぐ前を見る。金髪を腰まで伸ばした少女――カナミ先輩も此方を見て、「カイ……」と首を傾げて不思議そうな顔をしていた。

 

 

 

 相変わらず彼女は不思議な空気を纏っている様で、ある意味安心した。いつも通り表情が少なく、いつも通り、声が平坦で感情表現が乏しい。

 

 

 

「……何でこんな所に先輩が?」

 

 

 あまり無遠慮に近づくのは失礼だと感じ、二メートル程距離を取って足を止める。

 

 

「…………。学校に行くのが嫌になって……、気づいたら此処(ここ)に」

 

 

 俺の質問に答えながら、カナミ先輩の方から距離を詰めて来た。

 

 

 そういえば同級生から嫌がらせされていたんだっけか……? でも、それにしては別に落ち込んだ様子もないけど……。

 

 

 

「話は聞いていますが、同級生達は悪気はないと思いますよ。仲良くしたかっただけかと……」

 

 

 見知らぬクラスメイトには、何の義理もないが一応フォローしておく。先輩が学校に行きやすくなるなら、伝えて置く方が良いと判断したからだ。

 

 

 

「知ってる……。何となく分かるから……。別に弄られて嫌な気持ちになったとか、そういう理由じゃない……」

 

 

 

 人気小説家だけあって、人の感情の機微には理解があるらしい。カナミ先輩は首を小さく横に振って、俺の言葉を否定した。

 

 

 

「それならどうして?」

 

 

「…………。単に友達が少ないから、行きにくいってだけ。深刻な話じゃない。誰だって友達が少ないと学校って凄くつまらないでしょ?」

 

 

 俺は不思議に思って疑問を口にしたが、カナミ先輩は意外と普通の回答で返した。

 

 

 

「確かに……、つまらないかも、ですね。でも、だったら友人を作れば良いのでは?」

 

 

 俺が友人になりましょうか、なんて言わない。俺はそこまで陽キャじゃないからな。

 

 

 というか、そんな安い言葉でホイホイ付いてくる様な軽い女は好みじゃねぇし。

 

 

「…………。私は友達を作れない事に悩んでる訳じゃない……。友達になりたい人が居なくて悩んでるのよ」

 

 

 数秒の沈黙後、カナミ先輩は困った様に笑う。わりと普通の意見な気もするし、負け惜しみとも取れる発言だが、人気小説家という先入観がある所為か、深い言葉の様に感じた俺は納得し「…………なるほど」と小さく頷いてしまう。

 

 

 

「小説のネタになるとは思うから、青春っぽい事はしたいんだけど……。私には難しそう……」

 

 

 俺から視線を外し、隣の海と空の境を見つめるカナミ先輩は、どこか寂しそうで、何か儚げだった。

 

 

 

 美人なだけあって、凄く絵になる光景だったが、空気を読まず俺は「青春なんて大した事ないですよ……」と陽キャを思い浮かべて鼻で笑う。

 

 

 

「そういう斜に構えた態度、最近は馬鹿にされるらしいけど……?」

 

 

 僅かに呆れが見て取れる表情。カナミ先輩は意外と世間の価値観に敏感らしい。彼女から見た俺は只の逆張り野郎に映っているのかも知れない。

 

 

 

「……青春を謳歌している奴が勝ち組。そういう風潮って最近は多いですよね。でも、あまり知的な感じはしない意見ですよ、正直。青春した方が良いって言ってる有名人なんて、どうせ低学歴だし、聞く価値を感じません。学が無い奴の言葉ってのは、情報量が軽すぎて脳に響かない、残念ですけど」

 

 

 

 大袈裟に肩を落とし俺は溜息を吐いた。

 

 

「……時代に逆行し過ぎ。逆張り野郎すぎない?」

 

 

「滅茶苦茶可愛い彼女が居て、死ぬほど面白い友人に囲まれてる奴が、青春最高とか言うなら説得力があったかもですね……。でもネットで青春最高と吠えている連中って、まぁ大して羨ましいと思われない微妙な青春しか送ってないから……。うん……。ちょっと厳しい……、ですね……、はい……。何か、ドンマイって感じです……」

 

 

 

 引き気味なカナミ先輩は半ば呆れて笑うが、俺は普段思っている悪口をツラツラと吐き出し続けた。勿論ウザイ言い方を意識する。何故なら陽キャ気取りの連中が嫌いだから。

 

 

 

「…………。君はやっぱり面白い人」

 

 

 本当に面白がっているのだろう。微笑を浮かべてカナミ先輩は俺に真っ直ぐ視線を合わせてきた。

 

 

「そうですか?」

 

 

 何か俺、変な事言ったか? そりゃあ普通の事しか言えない頭の悪い陽キャ共より、俺が面白い奴なのは当然だけどさ……。

 

 

 

「可愛い女の子が『友達少ない』とか、『青春っぽい事したい』とか言ったら、『僕と友達になりましょう』とか、普通の男は言いそうなのに……。貴方はひたすら他人の悪口をつらつら並べ始め、一人で勝手に満喫してる……。何か、それが、凄く面白い。普通じゃない感じがする……」

 

 

 

「そういうのって、『お前って黙っていたらモテそうなのにな』とか言って、女を遠回しに美人扱いするキモい奴みたいで、何か嫌なんですよ。女の方も『酷い事言われた』とか愚痴に見せかけて、遠回しに美人扱いされたって自慢し始めたり……。アレはこの世の地獄です……、こんな低能に生まれてしまうなんて可哀想だなって、哀れみすら感じる程に」

 

 

 

 ナチュラルにナルシストなカナミ先輩の指摘に、俺は当然の意見で応戦した。

 

 

 だが――。

 

 

「ぷはッ……。あっはっはっは」

 

 

 何か笑ってる。カナミ先輩が今まで見た事ないくらい笑ってる。爆笑という程ではないが、ツボに入ったのか、結構笑っていた。

 

 

 

「…………ッ!?」

 

 

 いつも表情少ない先輩が、こんな風に笑う事あるのか……。何か俺、変な事言ったのか……? 誰もが心の奥底で思っている事を口にしただけのつもりだったけど……。

 

 

 

「ホントに面白いよね、カイって……。ちょっと好きかも、そういう所……」

 

 

 目の端に溜まった涙を指で拭いながら、カナミ先輩は「……やっぱりカイが――『ネット弁慶』なの?」と口にした。

 

 

 

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