【夢の中】で女を犯しまくっていたら、【現実】に影響でちゃった……。 作:BIBI
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夜中の三時半。イノリはゴソゴソという物音で目が覚めた。
良い夢を見ていた気もするけど……、駄目……、思い出せない……。確か、カイがいた様な……。何で心地良い夢ほど記憶に残らないんだろ……。悪夢見た時は飛び起きて、記憶に残っている事多いのにさ……。
なんて考えらながら、イノリはベッドを降りて部屋を出る。階段を降りてリビングに向かうと、帰宅したばかりの母親――ユイがいた。
彼女はイノリの母親だけあり美人だが、印象は大分違う。イノリは愛想が悪くて仏頂面が多いだけで、顔の造りは可愛い寄りだ。
でも母親のユイは目の細い綺麗系。そして茶髪を腰近くまで伸ばしており、イノリが父親似なのが際立つ。
「ごめん。また起こしちゃった?」
容姿に反して柔らかい印象の笑顔と口調。仕事で忙しくて疲れているはずなのに、ユイは娘相手にそんな素振りは見せた事は殆どない。
その甲斐あって、いつもと変わらない態度の母親を見てイノリは安心していた。
「別に大丈夫」
正直眠たいけど……。
出版社に勤めている母は、出社時間や勤務時間が学生と噛み合わない。唐突に夕方くらいに、仕事の合間を縫って帰って来る事も有るが、基本的には深夜帰宅だ。
だからこそイノリが寝る時間帯が規則的で少し早い。できるだけ早起きする事で、長く母親と過ごそうとしているのだ。
「そういえばカイ君はどうしてるの? 最近は。もしかして手が空いてたりする? ウチの新人、今アシスタントがいないから少し手伝ってほしんだけど、聞いてくんない?」
「うん……。アイツ最近は元気になったし、多分やってくれると思う。明日にでも
母が頼むと、イノリは
「…………それで、アンタはどうなの?」
「どうって?」
「カイ君の事。もう付き合ったの?」
「…………。いや、ないから。何度も言ってるけど、アイツはない……」
「カイ君って優良物件じゃない? 顔もめちゃくちゃ格好いいし、手を付けて置かないと後悔するんじゃないの? 出遅れちゃうと他の女に一瞬で
娘の恋路が心配半分、揶揄い半分で、ユイは余計と理解しつつも軽く忠告する。何せ仕事で紹介する新人漫画家が、イノリくらい顔が整っていたから、母親としては多少の心配はあった。
とはいえユイは仕事優先。漫画家は色々犠牲にして夢に一直線な人が多いので、出来る限り担当として力になってあげたい。カイほど腕の良いアシスタントが居るなら、娘の恋敵になろうとも紹介するつもりだ。
「……アイツは顔が良いだけで、性格がクソだからね? 少なくとも女絡みでは。暇さえあれば女の悪口。クソ女がーって叫んでさ。その癖、女好きでセクハラも多い。特に最悪なのは、女を穴扱いしている事。アイツに恋愛感情なんてものは存在しないのよ。確かに人より才能に恵まれているけど、その分だけ性格がクソなの。友人としては面白い奴だけど、恋人になるなんて有り得ないから」
「長い……。長すぎる。凄く好きじゃん、カイ君の事……」
つらつらと熱く愚痴るイノリに、ユイはドン引きしていた。
「親友だから好きなのは間違いないけど、恋愛感情じゃない。仮にアイツが他の女といちゃついても気になんないし、何なら応援するって……」
イノリは母親に背を向けて冷蔵庫に向かう。缶珈琲を取り出し口にしながら、振り返ると「そっか……。早く孫が見たかったけど……」ユイは大きく溜息を吐いて少し落ち込んでいた。
「御母さん……。気色の悪い事を言わないでくれる? アイツとそんな事、私がする訳ないでしょ?」
アイツとセックスするとか、想像すらしたくない……。純粋に気持ちが悪い……。
「じゃあ、アンタってどんな男が好みなの……?」
「一緒に居て楽しくて、見ていて何となくカッコいい人……?」
「それカイ君じゃん。めちゃくちゃ顔は格好いいし」
「いや、顔はそんな重要じゃなくって……。というか、アイツは性格が終わってるから。それに小さい頃から仲良い相手って、そういう目で見れないでしょ……」
「アンタってホントお父さん似だねぇ。あの人も最初はそんな事を言って、私を何度も振りまくったんだよ? 最終的には私が押し倒して、どうにか責任取らせたけどさ」
自慢げに逆レイプを告白するユイ。とはいえ幸せそうな父親の姿を知っているので、結果的には円満な結婚だったのは間違いないと、イノリは察している。
というか時代が時代なので、今ほど草食系も多くない時代なんだから、そういう事もあるんだろうと納得していた。
ウチの母親はちょっと肉食系過ぎるなぁ……。狙った獲物を逃がさないというか。滅茶苦茶重たい……。超草食な私とは大違い……。
「……私はお母さん似じゃないのよ。昔の自分を良く知る相手と付き合うとか正直考えらんない」
何というか、段々とお互いに異性として魅力を感じるって過程が、何となく気持ちが悪くて苦手……。
今まで純粋な友情だったものが、少しずつ汚い気持ちになっている感じが嫌いなのかも……。
「ベタに思春期って感じだぁ。アンタみたいなに新しい出会いに魅力を感じるって奴は、絶対大学とかでヤリ捨てられるから。気を付けなさいよ。何度も見てきたんだよね、そういう純情ぶった子が遊ばれてる所を」
アレは入学当初に見られる
妙にリアリティがあるというか……、何か嫌かも、そういうの。やっぱり男って怖いな……。御父さんみたいに女に優しい人じゃないと、私は無理……。
そういう意味じゃあやっぱりあの女蔑視野郎は論外……。絶対に女をヤリ捨てるクズだし。女に対して酷い事も平気で言うし。
アレは――ない。
イノリはカイの姿を思い出して渋い顔をして、母親とは向かい側の席に着いた。
「…………そんな事言われたら、私怖くて恋愛できないかも」
良いなって思う相手もいないし。男を見る目にも自信が無い。というか私って警戒心が強すぎて、幼馴染以外とあまり関わろうと思えない……。
頬杖を突きながら、自分の手に握られた缶珈琲を見つめてるイノリ。
その様子をジッと見て、「それは……困る。私は孫が欲しいの。最悪男は要らないから、子供だけは作って。学校退学しても良いから、男を見つけて子供を作って欲しいの。女は学歴より子供の方が価値あるんだから」と、冗談半分で言ってユイは苦笑した。
「親の都合すぎる……」
あまりにも身勝手な都合に戦慄する。冗談なのは分かっているが、イノリは母親の本音が半分紛れている事も察しているらしい。
「私の同僚が孫出来て危機感を覚えているのよね。今どきは孫なしババァってのは、弱者男性と同じ扱いなの。結構気を遣われるというか、薄ら下に見られる。だから親の名誉の為にアンタには、早く子供を作ってもらわないといけないのよ」
実際、編集者は高学歴の者が多く、男性だと特に結婚している割合が高い。少なくともユイが勤めている出版社ではそうだった。
次々に知り合いが孫が出来ただの、娘に彼氏ができただの会話している中で、ユイは少し気不味く思い、加えて娘の将来を心配をしているのも本音であった。
このまま彼氏を作らない気じゃ……。
そうユイが思うのも仕方がないくらい、イノリには恋愛する様子が一ミリも伺えないのだ。
「お、親の名誉って……、勝手な言い分だけど……。うーん。御母さんに気不味い想いもさせたくないしなぁ」
実際、私は奥手すぎるというか……。恋愛に興味なさ過ぎる。このままじゃあ駄目なのも確かよね……。
少しだけ、幼馴染以外の男と会話した方が良いのかな。
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何かストレスが消えた様な……。とにかく凄く気分が良い……。何で私、兄さんを嫌いになっていたんだっけ……。
何か気づかない内にストレスが溜まってたのかな……。何か気分が良いと言うか、ただ寝て起きただけで幸せを感じるというか。
ソファーに座ってミウはコーヒーを飲んでいる。昨日は行為が盛り上がり過ぎて、寝るのが朝方だった。
その所為で今は起きたばかりだと言うのに、
…………気不味い。昨日は何かテンションがおかしかった。その所為で兄さんと、あんなことを――。
「…………ッ!」
思い出すだけで顔を赤くしてしまう。今はもう昨日の様な発情はしていない。殆ど完璧にシラフに戻っており、何故あんなことをしてしまったのか自分自身ですら理解できない。
欲求不満って、恐ろし過ぎる……。まさか実の兄とエッチしてしまうなんて……。しかも逆レイプとか……。
何やってんだ、私……。
自己嫌悪と後悔に陥り、ミウは気まずそうに珈琲をチビチビと飲む。
事情も聞いたし、今となっては兄さんの事は嫌いじゃない。というか、傷ついているなら、支えたいとすら思った……。でも――。
何か、凄く嫌なんだよなぁ……。自分から襲っといて何だけど……、兄さんとこんな関係になりたくなかった……。
もっと普通の兄妹として仲良くしたかったのに……、何で私、あんな事……。好きでもない相手に体を好きにさせてしまった。それも初めてだったのに。
薄らと体に広がる様な不快感。それなのに、あの時は凄く気持ちが良くて……。
ミウはゾワゾワと寒気を感じ、少し大きく深呼吸した。
これが、気持ちの整理が付かない感覚ってなのかな……。音の少ない静かな空間が、やたらと心地よく感じる……。普通の光景が非日常みたいに新鮮に感じるというか――。
「…………。兄さんってあんな事あったのに、いつも通りだね」
片手にコップを持ったまま立ち上がり、カイの背中に近づくミウ。恐る恐ると少し緊張気味に、気恥ずかしさを滲ませながら話す。
「まぁ、思春期なんだし、お互い過ちはあるもんだろ。なんでコイツとこんな事をしたんだろって話は、よく聞くしな」
ミウとは対照的にカイはあっけらかんとした様子だった。手際よく昼食を作りながら、後ろを振り返って苦笑する。
「…………そっか。…………。そうだよね」
不意打ちの笑顔に少し照れてしまい、そっと目を逸らすミウは力なく言葉を返した。
過ちの一つ。勢いで抱かれてしまったみたいな話は同級生もしていたし……。そういう出来事の一つだと思えば確かに、ありふれた平凡な過ちなのかも知れない。
私が気にし過ぎていただけなのかな……。
「そういうもんだ。気にする程の事じゃない。それよりできたぞ」
激しい運動の所為か、かなりお腹が減っている。だから起きたばかりの昼食だけど、カイは二人分の牛丼を作ってテーブルに並べた。
「兄さん……。今日は暇なの?」
テーブルの席に座り、牛丼を食べながら何気なく尋ねる。
「イノリの家に行く予定はあるかな……。何か仕事の話があるみたいだし」
「またイノリさんの家……?」
隠す事もなく堂々と女の家に行くと話すカイに、ミウは少し眉を顰めた。
「……もしかして嫉妬してんのか?」
表情を見て何かを察したカイは、一瞬驚いた後に少し揶揄う様に口角を上げる。
「…………ッ。んな訳ないじゃん……!? 馬鹿なの……!? 一回エッチしたくらいでさ……! 別に私、兄さんに恋愛感情とか無いし……!」
慌てて目を逸らす。意図してなかったとはいえ、確かに嫉妬っぽい言い方になっていた事を自覚したミウは、バツが悪くて見るからに動揺していた。
「そっか。まぁそうだよな、兄妹だし」
何処か納得しながら食事を始めるカイ。別に好かれていると期待していた訳でもないのだろう。別に落胆した気配は感じられなかった。
「…………ッ!?」
何でショックを受けてんだ、私……!
兄妹で恋愛感情を持てないのは、私も同じなのに……。でも……、何かここまでハッキリ認められると、何か、モヤるというか……。
……そもそも、今朝までエッチしまくってた相手が目の前にいるのに、別の女の家に出掛けるとか、何か配慮に欠ける様な気がする。
そんな事を考えているミウは、少しずつ昨日の様な気持ちの
この事実に彼女が気づくのは、
〈あとがき〉
とんでもない【低評価】を初っ端に食らって、テンション超下がっているので、面白いと思った方は【評価】してくれると嬉しいです……。