【夢の中】で女を犯しまくっていたら、【現実】に影響でちゃった……。 作:BIBI
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その
「…………」
私室の床で固まるイノリ。ブラウン管テレビに映るゲーム画面。自分が操作するキャラが勝利した演出が入っても、彼女は硬直したまま。
隣で「相変わらず強いなぁ」と笑うカイに、不意に彼女はドキリとした。
え、あれ? 何で、こんな……。
「どうかしたのか? さっきから黙ってるけど……」
「…………ッ。いや、何でもない……。ただアンタって何でも早く上達するなぁって驚いただけ。才能が無駄にあるというか」
首を傾げて疑問をぶつけるカイに、慌てた様子のイノリは誤魔化す様に言い訳する。
「……別に才能なんかじゃねぇよ。寧ろ最初は人より何でも下手なくらいだしな。平均的な人よりも劣っている側だと思う。……ただ、ガキの頃から、同じ失敗をするなって母親に言われ続けているからな。自分が何で失敗したのか常に意識する癖が付いてんだ。そのおかげだろうな。自然と何でも人より早く上達するんだ」
「アンタの努力家な面だけは、ホントに尊敬する……」
案外謙虚な意見を口にするカイに、イノリは素直に感心した。
そういえば、何でも最初は人より下手だった様な……。
思い返すと子供の頃はイノリの方がカイよりも、何でも上手くできていた。歳を重ねる内に大抵の事はカイが上達して、自分は取り残されていたのだ。
「…………。努力家だったのは、昔の話だ。知ってるだろ、今は落ちぶれてるって」
もう何かに真剣に向き合う気が無くなった今の自分を情けなく思いながら、カイは肩と落とし、隣のイノリと視線を合わせた。
だから……、何でその落ちぶれた理由を私に話さないのよ……。
幼馴染の親友だと自負しているイノリにとって、それは凄くモヤモヤする所。何か辛い事があれば、誰かに吐き出すだけでも楽になれるはずなのに。
大切な親友だから、少しでも力に成りたい。それなのに、何で――。
「…………何で、アンタってさ、自分の不幸を口にしないの?」
イノリは自然と胸の内に湧いて出てきた疑問をそのまま口にした。
「何でだろ……。今は死んだ婆ちゃんの言葉が忘れられないから、かな……」
カイが思い出すのは、父親が泣きながら自分の母親に相談する姿。
物心が付いたばかりで何が何だが分からなかったし、あまり上手く思い出せないけど……、父親の落胆した様な表情が印象的で、今でも俺はあの光景を忘れられない……。
「……何か言われたの?」
全身が薄らと
それを誤魔化す様にイノリはカイに深く追求する。
今まで深入りは避けていたけど、このまま自分がカイを異性として意識している事がバレるのは避けたかった。
誤魔化す様に口にした追及だったが、その表情を見て真剣に尋ねられているのだとカイは誤解する。
「…………」
彼もまた普段は訊かれても答えない事ではあるが、イノリの真剣な表情に押し負けて素直に気持ちを語ろうと呆れ交じり、小さく溜息を漏らした。
「…………『愚痴を言うだけでも気が楽になるもんだ。本当に不幸な人は愚痴を言う相手もいない。愚痴れる相手が居るだけ、アンタは幸せ者だ。時間が経てば、どうせ立ち直れる。あまり気にしても仕方がない』……そう言われて俺は、気持ちを軽んじられた気がしたんだ」
肉親の唯一頼った人にさえ、父親の気持ちは軽んじられた。悪意のない、寧ろ慰める為の言葉だったと思う。記憶にいる婆ちゃんは、凄く優しくて良い人だったから。
でも、アレが分岐点だった気がしてならない。あの時、婆ちゃんが、他人の不幸を軽んじる言い方さえしなければ父さんは、きっと――。
そう思うカイは無意識に辛そうな表情になっていた。隣で見ていたイノリは、そっと何も言わず目を伏せる。
何か、凄く深刻そうな話してるのに……、何か今日のカイが格好良い様な気がして、変な気分になってきたんだけど……。
で、でも駄目、よね……。珍しくカイがこういう話してくれてるのに……。
くそ……、これ御母さんの所為だ、絶対……。御母さんが変な事を言うから、私、少し意識しちゃってる。
暗い話を聞いているのにも関わらず、対照的にイノリは思考がぐちゃぐちゃになる程、カイを見て気持ちが
こんな話されたら、何か関係が深くなった気がして、余計に意識しちゃうんだけど……。
「何つーの、他人に俺の辛かった記憶を
カイが次に戦うキャラを選びながら、ダラダラと心情を語る。
だというのにイノリは隣のカイをチラチラと覗き見し、まるで話に集中していない。何せ二人きりの状況だ。母親は自分の部屋で寝ていて、実質二人きりの様なものだ。
仮に今セックスしても、多分御母さんににバレないはず……。でも、駄目……。振られたら、流石に惨め過ぎる……。友人関係にすら、戻れない気がするし……。
こんなしょうもない理由で、親友を失いたくない……。
自然と荒くなる息。唾液の分泌も多くなって生唾を呑む。
彼と肩が触れそうな距離で座り、次第にイノリは発情が少しずつ加速していく。
その後も軽く話しながらゲームを続け、親友を建前にスキンシップを激しくしていた。軽く触れ合う程度に遠慮していたとはいえ、四時間が経過した頃にはもう、彼女は頭がクラクラするほど発情し切っていた。
凄くゲスい話だけど……、真面目な話をした後だと、ノリでセックスに持ち込めそうな気が……。
明らかに冷静じゃないイノリの発想。でも思いついてしまったら、つい考えてしまう。このモヤモヤした気持ちのまま終わりたくないと、グルグル思考が巡っていた。
せっかくこんな話をしてくれた後なんだし……、私達の関係が変わる切っ掛けとして、都合が良いんじゃないの……?
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「…………ッ」
真っ暗な寝室で携帯が通知音を鳴る。ユイは目覚め、ゆっくりと起き上がって、グッと伸びをした。久しぶりに長く眠れたが、体の疲れは残っている。
というか歳を取る程に、寝ても寝ても疲れが取れなくなりつつあった。
もう年かな……。まだ体が重い……。
そんな呆れ交じりの弱音を抱きつつ、ベッドから外に出た。身支度を素早く整えて、漫画家から送られてきたネームのチェックを始めようと、リビングに向かった。
その途中、「――――」イノリの小さな声が聞こえた。
いつもの事だけど、何時間も何時間もゲームできるって凄いよねぇ……。
カイはよく家に来て、娘とゲームしている。部屋から漏れた声だけで、状況を大体察して足を運んだ。
どうせ家に居るのなら、自分の口からアシスタントを頼もうと思ったのだ、他に他意など一切なかった。
「イノリ、そこにカイ君い、る……――――」
言葉を失うユイ。しかし当然と言えば当然の反応だ。
イノリの服がはだけている、というかシャツを脱いでいた。今にもブラジャーを外そうとしていた様子と、見るだけで分かる程、発情し切って火照り疲れた表情。
挙げ句、イノリはカイを押し倒している。まさにたった今、逆レイプが始まったという瞬間。この光景には流石にユイも眠気が一気に吹き飛び、「――ごめん」と、一言。
ドアを閉めて、そのまま家を出て行った、娘の邪魔をしない様に。
まぁ、カイ君は男だし、筋肉質だし……、本当に嫌なら抵抗できるでしょ。
〈あとがき〉
【評価】感謝します!
おかげでモチベが回復しましたぁ。
ホントに感謝です!