岡崎いるかに選ばれたい   作:姉小路

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岡崎いるかへ贈りたい

梅雨が明けて暑くなり始めてきた。この時期になると毎年いるかちゃんの誕生日に向けてプレゼントを準備している。中学生のときに準備を忘れているかちゃんを泣かせてしまった事があったのでそれからは一月前には準備して万全な状態で彼女の誕生日へ臨んでいる。

 

去年はいるかちゃんが欲しいと言っていたハンドクリームを渡した。輝也くんこの話をしたらもっと高い物を渡していると思われていたらしく意外そうな顔をしていた。俺だって渡したいが高すぎるといるかちゃんに気を使わせてしまい彼女をを笑顔に出来ない。なので今回は高すぎずいるかちゃんの欲しそうな物を探そうと思う。

 

「お客様本日は何かお探しですか?」

 

「好きな子への誕生日プレゼントを選びたいんですけど毎年渡してるから選択肢が無くなってしまって」

 

「それは素敵なお悩みですね。ならこちらの商品なんてどうでしょう、若い子の間で人気なんですよ」

 

女の子に人気の美容ブランドの店で長時間男が見て回っていたのが気になったのか店員さんが声をかけてくれる。どうしたのかを聞かれたので事情を正直に話す。店員さんは一度言葉を受け止め考える素振りをするとヘアオイルを勧めてくる、何でも人気な商品らしい。

 

店員はニコニコと笑顔で勧めてきたが俺としては微妙だ。ヘアオイルって合う合わないがあるからプレゼントとして贈るのには少し躊躇ってしまう。このヘアオイルは今度いるかちゃんと一緒に来て欲しいか聞いてみよう、そう決心し店員に断りを入れる。そのまま店の中を見続けても良かったが少し気まずく居づらかったので別の店舗に入った。

 

「こちらの商品が今女性の間で流行でして…」

 

「へーそうなんですね」

 

「はい!特にこの製品はこに部分がほかの製品と比べて…」

 

少し見ていたら何故かさっきの店と似たような状態になっていた。俺がそんなに目立つのか、それとも簡単に勧められた物を買うチョロいやつに見えるのか。どんな風に店員に思われているのかは分からない。普段は全然声をかけられないのになんで今日限ってこんなに声をかけられるんだろう。少し気分が悪いのでまた店を出て広けた場所に設置されているベンチに座る。

 

これからどこに行こうかと百貨店の地図を見ながら考える。改めているかちゃんは何を渡したら喜んでくれるのかなぁ。彼女がプレゼントを受け取り笑顔を浮かべる姿はイメージ出来るが手に持つプレゼントだけは浮かばない。

 

「あれ、サチくんじゃない?今日はいるかちゃんと一緒じゃないんだね」

 

「まぁ仲が良くてもそんな日もありますよ」

 

「二人って仲が良いで収まる範疇なのかな?」

 

そんな折にたまたま通りかかった栗尾根茉莉花さんがいた。俺と同い年の彼女は一応小さい頃からの友人で同じスケートクラブに所属していた。スケートを辞めてからは関わりが無かったがいるかちゃん経由で再会した。彼女とはそこそこ仲が良いので偶にいるかちゃんの事を相談したりする。なので今回の件も頼ろうと思う。

 

「茉莉花さん今から暇だったりします?」

 

「え、サチくんにはいるかちゃんが居るのにそういうのは良くないですよ」

 

「そんな意図は無いって茉莉花さん分かってるでしょ」

 

「ふふ、サチくんがそんな人じゃ無いことは分かっていますよ。あとこの後は空いてます何か相談事ですか?」

 

上品に笑う彼女に対して俺は内心ドキドキだ、変なことを言って偶然知り合いに聞かれでもしたら誤解を受けてしまう。噂が広がってもいるかちゃんは誤解だと分かってくれるだろうが他の人はそうとも限らないので止めて欲しい。

 

「確かにもうそんな時期ですね。懐かしいな中学の時にブランド物の指輪を選ぼうとしてたサチくん」

 

「今はもう選択肢にも入れてないよ。高いもの渡してもいるかちゃんが喜ばないし」

 

「本当かなぁ?」

 

サラッ茉莉花さんに事情を話して協力してもらう。昔のことを思い出しながら感傷に浸る茉莉花さんに成長したことを告げるも疑念の目で見られる。そんな視線を跳ね除けながら話を進める。

 

「それで何を選ぶかって話なんですけど茉莉花さんのオススメあります?」

 

「誕生日に贈り物をくれる異性がいないから分からないのだけどただ純粋に貰って嬉しいものでも良いですか?」

 

「参考になれば何でも教えて欲しい

 

「なら…」

 

そう言って連れられたのは最初に訪れた店だった。ココに目当てのものがあるらしい。店員の視線が背中に刺さるが気にせず茉莉花さんと話す。

 

「コレが私の言ってたヘアブラシです。ここブランドの物は私も使ってるんです。」

 

「確かにヘアブラシはアリだな」

 

昔のいるかちゃんは髪を短くしていたが今ではすっかり長くなっている。思い出して見ればいるかちゃんが使ってるヘアブラシはプラスチックの物だった気がするのでココで良いものを渡したら喜んでくれるかもしれない。実用性もバッチリだし良いプレゼントになるんじゃないか。茉莉花さんに詳しく各商品の違いを聞いて一つを選ぶ。

 

「茉莉花さんありがとう、お陰様で助かりました。今度何かお礼します」

 

「お礼なんて大丈夫ですよ、私とサチくんの仲ですし」

 

「マジで俺達を知ってる人に聞かれたらどうするつもりなんですか…」

 

いるかちゃんへのプレゼントを買い終えて暫くして茉莉花さんと別れる。何故か相談に乗ってもらっても毎回お礼を拒まれている。どこかでちゃんと受け取った善意は返したいと思っているので計画は立てようと思う。ともかく茉莉花さんの協力もあっているかちゃんへのプレゼントは買えたので彼女の反応を見れる来月が楽しみだ。

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