岡崎いるかに選ばれたい   作:姉小路

19 / 28
自分で読み返したら解像度が低すぎた。
遅れてすみません。明日のも同じ理由で遅れるかも。


結束いのりの合宿①

〈結束いのり視点〉

 

「凄いよいのりさん!!いのりさんは本当に凄い!!」

 

数カ月ぶりの司先生は再会してから今日までの数日間ずっとこのテンションで褒めてくれる。全日本ノービスが終わってから司先生は私のジュニアでの戦いのためにルクス東山から離れて勉強をしてくれてた。私はその間洸平先生と瞳先生に教えてもらいながら私はジュニアグランプリの選考会に出て滑った。結果としては強化選手Bに選ばれることが出来た。だけど選考会でも3回転ルッツを失敗してしまった。司先生は凄い褒めてくれるが実際の私は4ヶ月前から何も成長できてない、むしろ成長痛で四回転の練習を出来てない今ノービスより後退しているかもしれない。

 

「おっはよーございまーす!!」

 

そんな私の暗い考えを断ち切るように明るい挨拶が聞こえてくる。ライリー・フォックス先生と胡荒亜子ちゃんだ。ライリー先生が司先生と瞳先生に声をかける一方で亜子ちゃんは私に声をかけてくれる。

 

「いのりちゃん選考会ぶり!駅で可愛いお菓子買ったから好きな色選んでね」

 

「ありがとう!ホントに可愛い!!」

 

亜子ちゃんがさっき買ったらしいお菓子を分けてくれる。可愛い彼女が選んだお菓子は言った通り本当に可愛い。珍しいお菓子に眼を輝かせていると亜子ちゃんが私の耳元まで顔を近づけコッソリと言う。

 

「えへへ、あのねあのね…亜子ね今回の合宿の目標いのりちゃんに勝つことなんだよね。光ちゃんがノービスで客席まで行って観戦したのはいのりちゃんが初めてなんだよ」

 

亜子ちゃんからのライバル視宣言に何か言葉を返すべきなんだろうが、心の中は光ちゃんの事で一杯だ。本人から聞いたことは無かったけどそんなに期待してくれてたんだ…

 

「イノリイノリイノリ、イノリー!!!」

 

言葉に詰まっているとそれを断ち切るようにミケちゃんが現れた。ミケちゃんの言葉で周りを見ると絵馬ちゃんや理凰くん、すずちゃんも来ている。ミケちゃんが言うには選考会に出てた子だけじゃなくノービスで優秀だった子も来ているらしい。その言葉を聞いて心臓の鼓動が速くなる。

 

「いのりちゃん!!」

 

その言葉に振り返ると光ちゃんがいた。目が合った瞬間心の底から熱が湧き上がってくる。全日本ジュニアで全てを出し切っても勝てなかったのにあの日から全然成長できていない自分が悔しい。

 

「ゴメン、私顔洗ってくる」

 

光ちゃんと顔を合わせただけで意識してないのに涙が流れる。ミケちゃんが心配してくれたが止まることなく走り近くにあった公園の水道で顔を洗う。この合宿で強さを取りも出すだけじゃ足りないからどうにかして今まで出来なかった事を出来るようにしたい。 そう思い来た道を戻っていると道中で見知った人を見つける。

 

「いるかちゃん…」

 

そこには海を一人で眺める岡崎いるかちゃんがいた。そんな彼女に私の呟きが届いたのかこちらに気づく。いるかちゃんは特別強化選手に選ばれるぐらい凄い人だ、聞くなら今しかない。

 

「なに?結束いのり」

 

「いるかちゃん、私に世界で戦えるジュニア選手のお手本を見せてください!」

 

「やだ。なんで私がお前の面倒を見るんだよ。」

 

私の願いはいるかちゃんに一蹴される。いるかちゃんはバイバーイと言ってアリーナの方へと戻ろうとする。

 

「ま、待ってください!」

 

そんないるかちゃんの服を思わず掴んで引き留めてしまう。自分でも思っていなかった行動にどうしようかと慌てふためくがいるかちゃんの方から何も言葉が来ない。

 

「変な髪型」

 

時間をあけて口を開いたいるかちゃんは私の結んだ髪の毛をつまんでそう言った。お姉ちゃんとお揃いだからこの髪型にしているのに馬鹿にされてショックを受ける。いつもなら言い返す事が出来なかっただろうが前に司先生が言っていた事を思い出し勇気を出す。

 

「この髪型はお姉ちゃんとお揃いのお気に入りなんです!どんなに凄いいるかちゃんでも嫌です!!」

 

自分を玩具にされたときは相手が楽しそうでも怒っていい、司先生が瞳先生と洸平先生にイジられてたときに言ってた言葉だ。あの時の司先生は珍しい顔をしていたと思う。そんな私の言葉にいるかちゃんはただ笑みを浮かべこちらを見ている。

 

「おいおい岡崎、後輩イジメの現場ですか?サチに見られたら愛想尽かさるぞぉ」

 

「それでもサチくんは変わんなそー」

 

声のする方を見てみると肩車している2人組がいた。いるかちゃんと同世代の紅熊寧々子ちゃんと高井原麒乃ちゃんの2人だ。情報量が多いが取り敢えず言えるのは凄いデカい、いいなぁすごく高い肩車。

 

「大注目の結束いのりちゃんだ。私たちも見てたよジュニアグランプリの選考会!!あれだけ滑れてまだ初めて2年ってマジ?天才じゃん!!」

 

矢継ぎに放たれる寧々子ちゃんの言葉に返事をする間も無いが褒められているから嬉しい気持ちになる。

 

「しょうもな」

 

2人が作り出した空気もいるかちゃんの一言で霧散し、いるかちゃんのピリピリとした雰囲気にのみ込まれる。

 

「私がノービスのとき優勝した奴は4回転練習をしてたけどジュニアに上がってジャンプを失敗しやすくなって止めたよ、お前の姉貴みたいに」

 

「天才って希少価値に聞こえるけどこの世界は去ると決めた人間を止めない。お前も浮かれてたらそうなるよ、体が重くなって褒められなくなった奴から辞めてくから」

 

いるかちゃんがお姉ちゃんと何かあったか知らないし今の言葉をどんな気持ちで言ったのかは全然分からないがこれだけはハッキリと言える。

 

「辞めない、誰にも褒められなくても夢を目指して良いって知ってるから。それに私は自分一人のために夢を叶えたい訳じゃないもん!」

 

「あっそ」

 

私の答えにそれだけ言っているかちゃんは集まる場所に行ってしまった。変な空気になったけどその後すぐに現れた2人を肩に乗せた司先生が全てを持っていった。やっぱり司先生は凄い!!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。