いるかちゃんが合宿で大阪まで行くと聞き凄く大阪に行きたくなったので授業を放棄して行くことにした。毎日こんな事するのは良くないと思うがまぁ1日ぐらい休んでも良いだろう。合宿が終わる日に合わせて日程を組み新幹線に乗る。午後からいるかちゃんと合流予定なので午前中は一人で回る。
「都会に来ても観光にはならないよね」
大阪に到着して駅を出たが見える風景はビルだらけ、個人的な感想としては名古屋とあんまり変わんない。ボソッと本音が漏れてしまったが誰かに聞かれてたら良くなかったかもと思い目的地もなく歩き始める。
長い時間歩き回っているとビルばかりだった風景も変わり住宅も多くある街らしい場所になってきた。人通りもかなり少なくなりとても歩きやすい。そのまま散策いているといい匂いがする店があったのでお昼には少し早いが入ってみる。
「婆ちゃん、このたこ焼きちょうだい」
「ちょっと待っててねぇ」
先にお代を払いたこ焼きを作ってもらう。出来上がるまで席に座って店内に張られているポスターを眺める。地元では見ることのないポスターが興味深くまじまじと見てしまう。プロレスに阪神の応援ポスターは初めて見た、意識してないだけで名古屋にも中日のが貼ってあるのかな?
「出来たよ〜」
そんな事を言っているうちに店主の婆ちゃんが出来立てのたこ焼きを持ってきてくれる。感謝を伝えてそれを受け取り早速割りばしを取り食べ始める。一つ持ち上げ口に入れるとふわっふわで出汁の匂いが口の中に溢れてくる。こっちのたこ焼きを初めて食べたがいつも食べる揚げられた物とは全くの別物で怒るのも理解出来る。後で合流したいるかちゃんとも違う店でいいから食べに行こう。
「婆ちゃんごちそうさまでした!」
食べ終わって少し休憩してから感謝を伝えて店をでる。間食をとったので再び歩き回り城や神社を訪れる。そのうちに合流する時間となったので大阪駅まで戻ることにした。
大阪駅まで戻ってきて改札前でいるかちゃんの到着を待つこと数分、彼女は多くの人が波のように去って行ったあとゆっくり来た。キャリーケースを持ってくると想定そていたが荷物を持っている様子は無く身軽そうだ。
「お疲れ様いるかちゃん、荷物はどうしたの?」
「誠二先生が持っててくれた。あと今日中には絶対に帰ってこいだって」
「元よりそのつもりだから大丈夫」
振動したスマホを見てみるとメッセージの方でも誠二先生から来ている。前に家に来たときから少し過保護気味な気もするが父さんに何か言われたか?
「よし、時間も無限じゃないし行こう」
「通天閣に行きたいんだっけ?」
「そうそう、一度行ってみたかったんだよね」
いるかちゃんと話ながら移動する。合宿で結束いのりと仲良くなったらしい、結構ウキウキな感じなのでかなり気に入ったんだろうなというのが分かる。今日はかなり饒舌に話してくれてこっちまで良い気分だ、このいるかちゃんが見れたことは結束いのりに感謝しないとな。
そう話しているうちにあっという間に最寄り駅まで到着する。事前の調べだと30分ぐらいかかる予定だった筈だが体感だと半分以上短く感じられた。早速上機嫌で駅を出て通天閣に続く新世界の辺りを歩く。
「サチ、あそこのたこ焼き食べたい」
「いいよ一緒に並ぼ」
いるかちゃんが興味を示した店はたこ焼き屋さんだった。彼女とも食べたいと思っていたので即答で同意する。お店は有名店なのか繁盛しておりそれなりの人数が自分の番を待っていた。待っている間昼にたこ焼きを食べたことを白状すべきか悩んだが隠していた方が今の上機嫌ないるかちゃんを堪能出来ると思い話さなかった。
そうして待っているうちに俺たちの番になり注文を行う。色々種類はあったが一番シンプルなたこ焼きにした。代金を払ったらすぐに商品がやって来て渡された。見た目は昼に食べた婆ちゃんの店とは違ってソースがかかっている、観光地だから配慮されているのかなと感じた。
「できたてらしいから気をつけてね」
「子供じゃないし流石に大丈夫」
いるかちゃんの元に行き買ったものを渡す。丁度入れ替わりで空いた備え付けベンチに座る。見るからに熱そうな状態だが普通に食べようとする彼女に一応注意を促しておく。そんな勢いよく口に入れて大丈夫かな、と思いながら隣でその姿を見守る。
「あっつ!!」
「やっぱそうなるじゃん!!大丈夫?」
想定より熱かったのか口を変な動きさせている。俺も俺で心配するも出来ることは無いので一応午前中に買った水を渡した。何とか食べきったいるかちゃんは受け取った水を一気に飲んだ。
「大丈夫?火傷してない?」
「分かんないけど舌メッチャヒリヒリする。熱すぎてたこ焼きの味全然分からなかったからもう一個頂戴」
「味覚働くのそれ?」
少し心配になるが食べたいと言うなら俺が気にし過ぎる必要も無いだろう俺の手元にあるたこ焼きを冷ましてからいるかちゃんの口に運ぶ。
「どう、美味しい?」
「いつものと全然違う、家でやるのに近い感じ」
いるかちゃんの感想を聞き自分でも食べてみようと思ったらたこ焼きを彼女に持っていかれ何事かと思ったら食べさせてくれた。美味しかったけど婆ちゃんの所の物より馴染みのある味で出汁の存在を全く感じなかった。やはり地元の店に入った方が良かったかもと思ったがいるかちゃんが笑顔だったから何でもいいやと思考を放棄した。