岡崎いるかに選ばれたい   作:姉小路

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まだギリギリ連日更新


岡崎いるかとプール

1日目のショートプログラムを1位で終えたいるかちゃんと夕食をホテルの食堂に食べに来た。明日の試合が終わるまでは今日のように日本食が提供されるらしいので明日の夜が楽しみだ。楽しみを明日にとっておいて今日はカレーをいただく、いるかちゃんも同様だ。

 

「これ食べたらさプール行かない?」

 

「良いけど俺は水着持ってきて無いよ?」

 

「大丈夫私もだから。あとでフロントで聞いてみる」

 

一緒にパクパク食べ進めながらホテルに併設されたプールに入る約束をした。いるかちゃんは去年同世代のユース組と行ったらしいが俺が最後にプールに入ったのは一昨年なのでそこそこ久しぶりだ。去年も紅熊さんには誘われたが烏羽さんが本当に嫌そうな顔をしていたから辞めておいた。烏羽さんとしては俺が参加するといるかちゃんと全然喋れなくなるのが嫌らしい。

 

「まぁ明日もあるから長くは入れないけどね」

 

「全然良いよ、いくらでも付き合う」

 

ご飯を食べ終わり2人で少し休憩してからホテルのフロントに向かう。少し遅い時間だがロビーには人がちらほら見える、皆これから外にご飯を食べに行ったり夜景を見に行くんだろう。フロントで無事に2人分の水着を借りることが出来たので着替えてからプールに向かう。

 

「いるかちゃん足元気をつけてね、俺の不注意で怪我したら泣いちゃうよ」

 

「そんな介護みたいなことしなくても良いから」

 

いるかちゃんと腕を組み転ばないように細心の注意を払いながらプールサイドを歩く。いるかちゃんはお節介と言うが明日も試合がある人なんだからこのぐらい気にしても良いと俺は思う。

 

「いるかちゃんと初めて海外に来たけどなんか日本に居る時とあんまり変わんないね」

 

「関係性が出来上がってるからどこで何しても変わんないよ。逆に私と一緒に何したら海外に来たって思えんの?」

 

「そう言われると思い浮かばないなぁ」

 

「でしょ、気にしたら負けだよ負け」

 

そう言って結構な勢いで水をかけてきた彼女にお返しでバシャバシャ水をかける。やっている事は小学生レベルだがお互いに笑顔で幸せな時間を過ごせている。暫くしたそんな遊びが一段落つき2人して浮き輪の上でだらける。

 

「いつも行くプールだとこんな事出来ないから新鮮」

 

「分かるよいるかちゃん、こんな自由に遊べないよね」

 

この浮き輪はフロントで水着と一緒に借りて来たのだが流石に一つの浮き輪に高身長2人で乗ることは出来そうに無かったので各々1個ずつ借りて来た。ぷかぷか浮いている浮き輪が離されないように手を繋いで近くにいる。

 

「やっぱり名古屋より星が綺麗に見える気がする。」

 

「サチって意外と星とかそういうのに興味あるよね」

 

「だってロマンチックじゃん」

 

空いている方の手でどの星がどの星座なのか説明する。きっと指で指しても伝わらないだろうがそれでもいるかちゃんは聞いてくれているから彼女は凄い良い子だ。

 

「あ、あぶぶ、助けて…いるかちゃん」

 

後ろの方で誰かがプールに入る音とパシャパシャ水しぶきをたてながら助けを求める声が同時に聞こえてくる。誰かが溺れてる!そう思い振り返ると結束いのりが沈みかけていた。見つけた瞬間結束実叶の妹だし女の子だからセクハラとか言われたら嫌だなとか色々とネガティブな理由が湧いてくる。だけど体は思考よりも先に動いており彼女を持ち上げてプールサイドに座らせた。

 

「思ったより深かった…」

 

「呼吸は大丈夫そうだね、どっかに水入ったりしてない?」

 

「入ってなかったです大丈夫です」

 

「お前さぁ明日も試合なんだからマジで気をつけろって」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「ちゃんと後で専門の人に見てもらってね」

 

「ハイ!」

 

プールサイドに座らせた結束いのりの呼吸と最低限の確認をして体に問題ないかを調べる。いるかちゃんと話したいから来たみたいだから今すぐ戻れとはとても言いづらい。

 

「それで私に用があるんだっけ?」

 

「そうだけど…」

 

なんか凄いチラチラこっちを見てくる。俺に対して一丁前に遠慮でもしているのかな?ここまで来たのならその心配はもう意味を成してないと思う。

 

「いいよ俺のことは気にしないで話しておいで」

 

「譲ってあげるなんて珍しいねサチ」

 

「そんな子ども相手にムキになんないよ」

 

いるかちゃんにそう言ってプールサイドに上がり一度タオルで体を拭く。いるかちゃんとまだ一緒にいたいしベンチで2人の話が終わるまで待ってようかなと思い腰をかけると隣に一人の大人がやってくる。

 

「金弓先生こんばんは、いのりさんの付き添いですか?」

 

「こんばんは斯波さん、そうですね私はいのりさんの付き添いです」

 

隣に座ったのは金弓美蜂先生だ。結束いのりのメディカルトレーナーとして付いてきた先生で噂によると凄い腕が良いらしい。この遠征中に一度話してみたいと思っていたのでいい機会がやって来た。

 

「彼女あんなにニコニコしてるけどさっき溺れかけてたんで泳ぎ教えた方が良いですよ」

 

「溺れた…?」

 

取り敢えずいるかちゃんを取られた分として仕返しをしておく。驚愕している金弓先生に一応最低限のチェックをした事を伝えて安心させておく。

 

「そうですか斯波さんはメディカルトレーナーを目指されているのですね」

 

「まだまだ未熟者ですけどね。頑張って金弓先生みたいに凄いトレーナーになりたいです」

 

少し話すうちに色々な話を聞いた。メディカルトレーナーとしての失敗やテーピングのコツ、心持ちまで様々な事を教えてもらった。まだ少しの時間だけの会話だがかなり俺の糧となっている。失敗談なんて特に糧になる、同じ轍を踏まないだけでいるかちゃんを救えるんだ。もっと色々な話を聞きたいとなったがいるかちゃんたち2人の方が先にプールから上がって来たのでお話は終わりとなった。

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