岡崎いるかに選ばれたい   作:姉小路

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ランキングの上の方に作品があってメッチャ嬉しかった。
あと作品が段々あそこに近づいていてすごい憂鬱


岡崎いるかに役立ちたい

タイから帰国して十数日が経過して9月に突入した。中高生は学校が始まり夏休みで崩れた生活リズムを戻そと大変そうにしている。その一方で大学生である俺はコーヒーを飲みながら頑張る年下たちの姿を眺めていた。まだまだ休みは丸々1カ月あるので気楽だ。

 

「輝也くんってチャラい見た目してるのに優しいですよね。こうして呼んだら来てくれるし」

 

「俺のことチャラいって言う必要あったか?」

 

「だって事実なんだから嘘をついたって仕方ないじゃん」

 

夏休みが終わりいるかちゃんが学校に行くようになってしまった、その結果予定までの暇な時間にする事が無くなってしまったのでレスが早い輝也くんに連絡してみたら来てくれた。別に女の子でも無いのに連絡したら来てくれるなんて輝也くんは優しいと思う。チャラい見た目してるけど。

 

「だいたいお前いつになったら俺を飯に誘うんだよ、俺は大分待ったけど一回も誘ってきて無いよな」

 

「…コレがご飯の誘いって事になりません?」

 

「いや別で誘えよ。ちゃんと長めで待つから」

 

「誘いたいとは思ってるんですけどね。ご飯誘える暇なときっているかちゃんと一緒な事が多いんで中々難しい」

 

「お姫様には勝てると思ってないけど偶には俺を選べよ」

 

ご飯の約束以外でも輝也くんに誘われるばかりで俺からは遊びにも誘ってない気がする。それこそ今日のコレが5年ぶりとかじゃないかな…

 

その後も少し話したら輝也くんはいなくなってしまった。ここに来たのは名港ウィンドに向かう道中だったかららしい。出勤する時間が近づいてきたら行ってしまった。呼んだ身で言うのもアレだけど仕事前によく来てくれたな、俺が輝也くんだったら絶対に断ってる。

 

「あ、斯波沙地です。今日はよろしくお願いします」

 

「最近よくいのりちゃんの口から聞いてるわ。私はルクス東山でヘッドコーチをしている高峰瞳です」

 

「いのりさんには怖がられていたので関係が良好になって嬉しいです。それより金弓先生はどちらに?」

 

「午後からだからもうすぐ来ると思うけど」

 

今日はメディカルトレーナーとしての技術向上の為に金弓先生に教えを請いに来た。本当はタイから帰ってきてすぐに教えてもらう予定だったが金弓先生の拠点は九州だと聞いて取りやめとなった。その後改めてスケジュールを合わせて今日ルクス東山の拠点である大須スケートリンクで教わる事になったのだ。

 

「あ、沙地さんこんにちは!今日は金弓先生に教わりに来たのかい?」

 

「はい、少しでも成長したいんで。それに金弓先生は凄いですよ技術だけじゃなくて精神面でも尊敬できる」

 

金弓先生を待っているとタイミングよく明浦路先生がやって来た。彼には既に伝えてあったので特に驚かれる等といった事は起きずに普通に雑談する。話しているとスカウトしただけあって金弓先生の凄さを理解している事が分かる。特に精神面の辺りまで見ている人は多くない、技術はあってもビジネス的な動きで終わる人が殆どで選手や指導者の事を考えない人が多い。そんな中でも金弓先生は自分の考えを持って行動しているから凄いと思う。

 

「何の話をしていたんですか?」

 

「あ、金弓先生こんにちは!今日もお願いします!!」

 

「じゃ、沙地さん頑張って!」

 

突発的に開催された金弓先生の良い所を言いあう大会は金弓先生本人の登場で終わった。教えてもらえるのはスケートレッスンが始まる1時間前まで、つまる所3時間程しかない。一見長く見えるがこのぐらいの時間は油断すると一瞬で過ぎ去るから有効活用しないと。

 

「これが前に言ってた資料です」

 

「ありがとうございます!でも本当に良いんですか?お金ならいくらでも出しますよ」

 

「この勉強会は金銭を目的としている訳ではなく沙地さんの熱意に応えて開催しているので大丈夫ですよ」

 

受け取った資料には数件だけだが金弓先生が今まで出会ってきた怪我の症状や経緯、対処法までが細かく書かれている。今回の資料では腰回りの怪我についてが纏められている。きっと今日の勉強会のテーマなのだろう。

 

勉強会の内容はすごく濃密で多くの学びを得ることができた。同じ症状でも全く異なる名前の怪我だったり教科書通りに対応しても上手く行かない展開だったりと聞けば聞くほど知識が増えているのが分かる。

 

「金弓先生今日はありがとうございました」

 

「いえ、私も熱意のある人に教えるのは楽しいですよ」

 

授業が終わりホワイトボードに書かれた文字を消しながら金弓先生に感謝を伝える。大学で基礎を学んでいたからか金弓先生の授業で知識に肉がついて行く感覚がある。

 

「後はどこかで実戦経験をそこそこ積めれば劇的に変われると思うのですが…」

 

「誠二先生にお願いして試合に帯同させてもらおうかな」

 

「観客席でなく間近で見ることも大事ですからね良いと思いますよ」

 

金弓先生はすごい褒めてくれる、実践経験を積んでも金弓先生の様には何年かかってもなれる気がしない。まだまだ先は長いなと思っていると小さな人影が入ってくる。

 

「あ、沙地くん久しぶり!!何でここにいるの?」

 

「金弓先生に勉強を教わりに来たんだよ」

 

「大学生になっても勉強はあるんだね」

 

「勉強するのは案外楽しいよ」

 

いのりさんがやって来た。元気いっぱいなその姿は周りを明るくしている気がする。勉強は楽しいという言葉に首を傾げる所を見るに勉強が苦手なんだろうな本当に分かりやすい子だ。あまり長居しても邪魔になると思ったのでもう少しいのりさんと話してから帰った。もっと勉強と実践を繰り返して少しでも早くいるかちゃんの役に立ちたいな。

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