岡崎いるかに選ばれたい   作:姉小路

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次の土日は更新ないかも


岡崎いるかと離れたら

まだまだ続く夏休みを満喫していると普段あまり連絡が来ない人からメッセージが来た。もの凄く行きたく無かったから断りたかったけどその個人に対してはマイナス感情を一つも持っていなかったので会うことにした。

 

「はいはーい、久しぶりねサチ君。理凰に呼ばれたのね」

 

「今まで何回も断ってるし沢山連絡貰ったので久しぶりに来ちゃいました、理凰くんはご在宅ですか?」

 

「わざわざ固い言葉使わなくて良いのに!理凰は居るわよ。さ、入って入って」

 

住宅街にある一軒家のインターホンをならす。少ししてから玄関が開き一人の女性が出てくる。間違いなく日本人ではないその女性はエイヴァさん、定期的にお世話になっている鴗鳥慎一郎先生の奥さんだ。そんな彼女に挨拶をしてお土産を渡し家の中に入れてもらう。

 

前来たときとあまり変わっていないこの家は少しトラウマを呼び起こす。あぁ庭を見て嫌なことを思い出した、俺にも悪い所があるからもう割り切ったつもりだったがそれでも少しテンション下がる。

 

「理凰は部屋にいるだろうから行っちゃって大丈夫よ。後で持ってきてくれたお菓子持ってくから」

 

「ありがとうございます」

 

理凰くんの部屋に通されるのもお菓子を持ってきてくれるのもなんだか小学生ぐらいに戻った気分だ。家の中を迷うことなく進み扉をノックする。

 

「部屋入って良い?理凰くん」

 

「あ、サチ君か入って大丈夫だよ」

 

許可をもらえたので臆することなく部屋に入る。中に入ると理凰くんがベッドの上に座って待っていた。理凰くんの事は観客席からよく見ていたがこうして対面するのは随分と久しぶりな気がする、結構背が伸びている気がするしきっとそうだ。部屋に入った俺は彼に向き合い床に座る。

 

「改めて久しぶりだね理凰くん、元気だった?」

 

「まぁ体調って意味なら元気かな」

 

「なら良かったのかな?」

 

会話を数回ラリーするが呆気なく止まってしまう。なんか元気が無さそうだけど何かあったのかな?俺の知る理凰くんは気怠い雰囲気をだしつつ話すときは内心喜んでいる顔を見せてくれていたけどな。先に重い沈黙を破ったのは理凰くんの方からだった。

 

「サチ君ってさあのバ…じゃなくて岡崎いるかと仲いい、というか幼馴染みだよね?」

 

「うん、いるかちゃんとは幼馴染みだし仲良いよ。」

 

「ならさ聞きたいんだけど、もし岡崎いるかが遠くに引っ越しちゃったらどうする?」

 

「そんなん俺も付いてくよ」

 

理凰くんの出してきた質問に間を空けることなくすぐ返す。その回答に理凰くんは目をパチパチさせて一瞬呆然としていたがすぐに何か考え始めた。この反応を見る感じ求められていた回答では無いんだろうな。

 

「回りくどい聞き方じゃなくてさ、もっと直接聞いてきなよ。それだとちゃんと答えれないよ」

 

「うっ、それはそうなんだけど…」

 

問い詰めても全然教えてくれない理凰くんを問い詰めているうちにエイヴァさんがやって来てお菓子と飲み物を持ってきてくれた。理凰くんは救世主の登場に安堵していたが一時的な物に過ぎない。

 

「お菓子も食べたし言う気になってくれた?」

 

「お菓子は別に関係ないけど…今日サチ君を呼んだのはコレを相談するためだから」

 

口を割った理凰くんから大体の事情を聞いた。狼嵜光選手がさらなる高みを目指し鴗鳥邸を出て東京に向かったらしい。理凰くん的には良い別れ方を出来たらしいが結局日常が欠けてしまった喪失感に襲われているらしい。光選手はもう名古屋にいないのか、トラウマの元である彼女が東京へと行ったことは俺としては嬉しいが理凰くんからしたら苦しいだろうな。一旦条件を自分に切り替えてみて考えるが今の理凰くんと同じ状況になったら引きずる気がする。

 

「サチ君ならどうやって立ち直る?」

 

凄い期待を込めた目でこちらを見てくれる理凰くんに俺も立ち直れないなんて絶対に言えない。昔に少し一緒に遊んだだけなのに何でこんなに期待されているんだろうとは思うが何とかして回答を絞り出す。

 

「もし俺が理凰くんと同じ状況になったらいるかちゃんに連絡すると思う、カッコよく別れたかもしれないけど寂しいって伝えるかな」

 

「それなんかダサくない?」

 

「そこは人それぞれだよね。俺はいるかちゃんが頑張っている事を聞ければ負けないぞってやる気が湧くだろうし」

 

「なるほどね」

 

理凰くんの期待に応えれたかは分からないが俺の考えは伝えられたと思う。彼は頭がいいからきっと自分なりに解釈して糧にするだろうから心配はいらないだろうな。

 

「理凰くん、折角ここに来たし久しぶりにゲームで対戦したいんだけどどう?」

 

「やろ、前みたいにボコボコにするから」

 

なんだかまた集中して沈黙の時間が出来てしまいそうなので理凰くんを対戦ゲームに誘う。2年ぐらい前に戦ったときは手も足も出ずに負けてしまったが今回は練習してた来たので負ける気がしない。

 

「待って理凰くんタンマ!!」

 

「…」

 

「無言で撃墜すんのは辞めてくんない!!!」

 

「サチ君ってゲーム下手だよね」

 

この日は夕方まで一緒に色々なゲームで遊んだが数回しか理凰くんには勝てなかった。

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