岡崎いるかに選ばれたい   作:姉小路

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岡崎いるかとトレーニング

前に練習を見学してからすぐ次の週、約束通りいるかちゃんと筋トレをしにジムにやって来た。今日が平日の昼間なだけあって人は少ないがチラホラとトレーニングしている姿が見られる。

 

「私は腹筋から始めるからサチは別のやってて良いよ、手が借りたくなったら呼ぶから」

 

「なら俺はあっちでレッグプレスでもしようかな」

 

そう言って一度分かれて各々トレーニングを始める。一緒にやらないのかだって?まぁサボらないようにする為に一緒に来たんだと思ってるから一緒に来た時点で目的は達せられている。あといるかちゃん的には普段と同じだと味気ないから味変で俺を連れてきたんだと思っている。

 

レッグプレスか、筋トレは嫌いだったけどその中でもコレは群を抜いて嫌いだった。理由はいくつかあるけど一番はサッカーしてる時にコレの筋肉痛で思うように動けなくなるからだ。ただ効果は絶大で速さにも高さにも貢献してくれていたと思う。

 

そんな嫌いなレッグプレスを何故わざわざ選んだのかそれは最近足の筋肉が落ちているのを実感しているからだ。腹筋や腕の筋肉は定期的にしてるのもあってある程度維持できている。だが足回りは一番鍛えていただけあってか求めている質にスクワッドをするだけでは足りてない、ただそう思ったそれだけだ。

 

「ふん」

 

そんな訳で始めるが結構つらい。現役の頃から10キロ減らしてやっているが全然キツイ。軽くやろうと思っていたのに想像以上に満身創痍にさせられて少しショックを受けている。それでも目標の回数まではなんとかやりきった。

 

「辛そうだけど大丈夫?」

 

「よ、余裕」

 

「そんな息絶え絶えでよく嘘つけるな」

 

やりきってベンチで休憩しているといるかちゃんがやって来てペットボトルを差し出してくれた。一口飲んで返すとそのまま投げ返された。痛い。

 

「次は何やるか決めてんの?」

 

「ホントはベンチプレスするつもりだったけど今は歩くのもしんどいぐらい足がプルプルしてる」

 

「なんか弱そうなサチを見るの久しぶりだからおもろい」

 

「おい嘘でしょ止めてお願いだから立たせようとしないで」

 

「えい」

 

いるかちゃんが俺の両手を握り俺を引っ張る。そうしてベンチから無理やり立たせようとしてくる。今の俺は足がプルプルで立つことも辛い状況なので踏ん張りが利かず体重だけで無理やり抗っている。だがそんな抵抗も虚しく俺は立たされてしまう。頑張って踏ん張るもガニ股になって足がプルプル震える。

 

「なんか小鹿みたいで可愛い」

 

そういってふふふと笑ういるかちゃんと何とかベンチに戻ろうと這いつくばりながら移動する俺。第三者視点あまりにも不格好な姿を晒すハメになったが笑顔が見れたので良しとしよう。うん。

 

「昔は私がそんなんだったしすっかり逆の立場になっちゃった」

 

「まさかあの時の仕返し」

 

「どうだろうね」

 

笑顔で返答する彼女の横顔を見て幸福感に包まれるも俺の足は限界なのでベンチに座り足を伸ばす。そんな俺の横にいるかちゃんも座り一緒に少し休憩する。伸びをしてチラリと見えた腹筋を見てふと思う。

 

「いるかちゃんってムキムキだよね」

 

「まぁその辺の女子高生と比べたらそうなんじゃない。急に何で?」

 

「普通に喧嘩したら無事では居られないだろうなって」

 

「いやそれは無いでしょ」

 

いるかちゃんの体を観察しながら喧嘩したらどうなるかを想像してみる。一見華奢に見える彼女は意外とそんなこと無く腹筋と足回りが鍛え上げられている。俺みたいにデカい筋肉ではなくアスリートって感じだ。そんないるかちゃんが本気で蹴りをしたら内出血ぐらいは普通にしそう。

 

「でも喧嘩なんてここ最近はずっとしてないし想像するだけ無駄じゃない?」

 

「いるかちゃんがストレスでおかしくなるかもしれないじゃん。それにこういうの想像すんのって楽しくない?」

 

「私にはそういうの全然分かんない」

 

「男女の差かなぁ」

 

女の子ってそういう妄想とかしないのかな、あんま学校でそういう話をしてこなかったから分からないな。今度誰かに聞いてみようかな烏羽さんはしないだろうし鯱城さんあたりに聞くのが丁度良さそう。

 

「おい私の前で他の女のこと考えたろ」

 

「鯱城さんなら共感してもらえるかもなって」

 

「あー確かに?」

 

顔を掴まれて眼と眼を強制的に合わせられる。なんか最近いるかちゃんの読心が極まっているような気がする。ちょっと考えただけでコレって凄いな、超能力なんじゃないかと少し思ってしまう。急な出来事にビックリしたがいつも通り返答する。そんな俺を見ているかちゃんが少し考えるような顔を見せる。

 

「どうしたの?」

 

「なんか改めてみるとサチの知り合い男より女の方が多くない?」

 

「いや流石にサッカーしてた時の知り合いが沢山いるから男友達の方が多いかな。女の子はスケート関係だけだし」

 

「でも話に出てくるのは女ばっか。男なんて誠二先生と雉田さんぐらいじゃない」

 

「そう言われるとそんな気がしてきた」

 

そんな女の子だらけだとは思っていなかったが言葉にされるとそんな気がしてきた。というか俺が男友達と遊んで無さすぎるのかもしれない。同じチームの奴と最近全く会ってないし久しぶりに会いたいな。今日コレが終わったら連絡しよう。

 

結局このあとは話に花が咲いて俺は少し筋トレしただけで終わってしまった。いるかちゃんは計画していた分をやりきったらしいが俺は最初のレッグプレスが尾を引いて思うようには出来なかった。今日の筋トレを経て定期的に運動しないとなと決心した。

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