IS 〈レプリカでも人生楽しみたいじゃん?〉   作:紅露雨

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第六話――ぶっちゃけ黒桜ってチートじゃん?

 あれから、平日は毎日篠ノ之と試合をさせられている。……いや、させられていた。

 俺としては、動かすだけでもいいからISに触れていたい。が、「一夏のためにも頼む」と頭を下げられちゃ……ね?

 しかし、授業で山田先生が言っていたことが本当なら、ISに乗っている時間がものを言う。黒桜にその概念が当てはまるかどうかわからないから軽視しているのも、事実だが。

 

 それはそうと俺は今、ピットにいる。

 なぜか、俺が先に戦うことになっていた。いや、理由はわかるけどもさ。

 

「別に、俺が先じゃなくてもいいじゃないですか」

「織斑は最適化(フィッティング)があるからな」

 

 なんでこう試合開始寸前で送られてくるかなぁ……。それがなかったら……一夏の不戦敗だったな。結局、俺が最初に戦うことにはかわりないのか。

 

「……はぁ。開けてください」

「山田先生、ゲートを」

「は、はい! って、火神君ISを着けてませんけど……」

 

 ISスーツすら着てないけどな。

 

「構わん。元々そう言う話だ」

「は、はぁ……では、開きます」

 

 空気の抜ける音と共にゲートが開く。

 どうでもいいけどさ、試合前の応援に来てくれる友人が一人もいないって悲しいな。

 

「では、健闘してきます」

 

 最後に先生達にいい、俺は歩をアリーナへと進める。

 ピットから出ると、宙に浮いた青カチューシャドリル女郎が視界に映る。観客席に目を送ると結構人がいた。

 ……音羽先輩が手を振っているが無視しよう。

 

「改めて聞かせてもらうが、ハンデは本当に必要ないんだな?」

「……どこまで舐めれば気が済みますの」

「別に、舐めてるわけじゃないんだけどな……。来い、黒桜」

 

 やはり全身装甲(フルスキン)は珍しいのか、俺が黒桜を展開すると、アリーナがざわつきはじめた。

 

 黒桜を展開するのに難しい想像は必要ない。これは黒桜に慣れるために何度か展開した時に分かったこと。流石に、部分展開はどこからどこまでを展開するのかの具体的な想像が必要だけど。

 展開は一瞬で済む。初めて装着したときの、ガションガションくっついてたのが懐かしいな。

 

「それが、貴方の……」

「そ、名は黒桜。あんたのプライドは高そうだからね、目の前で展開してあげたよ。後で別人が乗っていたとか言われても困るからな」

「もとより言うつもりはありませんし、言う必要も有りませんわ。なにせ、勝つのはこのわたくしですから」

「ま、どっからでもかかって来なよ」

 

 俺の言を合図に始まりの鐘が鳴る。

 

 

 先に動いたのはセシリア・オルコット。手に持っているスターライトmkⅢを真由に向けて撃つ。

 だが、少し横にずれるだけで難無く避けられる。

 

「あら、外してしまいましたか、まあいいですわ。さあ踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!」

 

 セシリアがブルーティアーズを巧みに操り、様々な角度から真由へとレーザーを飛ばす。だが、真由はそれら全てを必要最低限の挙動で避ける。

 その動きは踊っているようにも見えなくない。

 

「ワルツもいいけど、俺は花見がしたいんでね!」

 

 4機のビットの隙間を埋めるように黒桜のビット兵器、桜花を4機飛ばす。

 

「なっ!?」

 

 そして、全てのブルーティアーズを一撃で落としてしまった。

 

「さて、と」

 

 さらに6機、桜花を飛ばしブルーティアーズを包囲し。残りの2機を腕に装着する。

 

「降参しない?」

「誰が!」

 

 セシリアの叫びが引き金となり、全12機の銃口から、ブルーティアーズへと桜色のエネルギー弾が発射された。

 だが、セシリアも流石は代表候補生。即座にルートを見極め、一気に加速、上昇し被弾は一発に抑えた。それでもシールドエネルギーは4分の1減らされていた。

 

「戻れ、桜花。来い、秋華」

 

 桜花を全て背中へと戻し、黒い日本刀――秋華を展開する。

 

「剣なんて、舐めてますの!」

「そんな訳無いじゃん。……当たんなよ?」

 

 秋華をセシリアに向けて腰を落とす。そして、桜花が、秋華が、黒桜が、神々しくも禍々しい、闇の様な光を纏う。

 

「5、4、3……」

 

 カウントダウンの途中、恐怖に堪えられなくなったセシリアが、残った二機からミサイルを発射する。しかし、意に介さずカウントダウンは続く。

 

「1、0!」

 

 カウントダウンが終わると同時に、ミサイルは爆破、真由は消え、ガッシャァァンと物が割れる音と共に何かの破片が上空から降ってくる。そして一つ間を置きセシリアが地面に叩きつけられた。

 

「馬鹿者! アリーナの天井を壊すなとあれほどいっただろう!」

 

 アリーナの壁や天井にはISのシールドを更に強化した強度を持つエネルギー障壁、対物ライフルを接射しても傷つかない防弾ガラスを用いている。それを破る威力は、ISの絶対防御を貫く。

 いきなり、衝撃波によって地面に叩きつけられたセシリア。そのダメージでブルーティアーズが解けたセシリアが現状を把握した時、光の柱が一本立ち、真由が刀を地面に刺した状態で現れる。

 

「で、こいつは散々、俺を、男を、日本をコケにしてくれたわけだが」

 

 オープンチャネルから聞こえてくる千冬の声に、イライラしながらも対応する。

 

「それでもやりすぎだ火神!」

「別に、この薄汚い生ゴミが消えたところでここで悲しむやつなんざ居ねぇだろ、なあ?」

 

 試合開始直後の喜びや楽しみに満ちた表情は、蔑み、見下し、ゴミを見るような侮蔑の表情へと変わっていた。

 

「ひっ!」

 

 そんな双眼で捕えられたセシリアは、瞳に涙を浮かべる。

 

「死んで詫びろ……」

 

 止めを刺そうと秋華を振りあげる。

 

「ごめ……んなさい」

 

 セシリアの謝罪に腕をおろす。だが、瞳に映る感情は変わらない。いや、更に目が鋭くなった。

 

「………………」

 

 無言。ただ、無言でセシリアを見つめる真由。セシリアはその間もずっと、謝罪を繰り返している。

 

「……興が冷めた、命拾いしたなゴミムシ」

 

 黒桜を収納し、ピットへと戻っていく真由。その背中にひたすら謝罪の言葉を呟くセシリア。

 勝敗は誰の目にも明らかだった。

 

 

 ◇

 

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…………」

 

 ……なにこれ。

 

「えっと……カチュ……セシリアだよね?」

「ひっ! …………うっ……うっ……ごめんなさい……」

 

 話しかけたら目に涙浮かべて驚かれたんだが……俺、なにかしたっけ? ……えっと、黒桜で突撃してから記憶がないんだが。てか、こうやって考え事してる間も謝られると心が痛いんだが……まじでなんかしたっけ。

 

「……とりあえず、謝るのやめてくれない?」

「ゆるして……くれるのですか? 薄汚い生ゴミを? このゴミムシを?」

 

 ……思い出しちゃった。二撃目行こうとした時になんかすっげーイライラして理性吹っ飛んだんだ……

 あ、無言で居たから泣いちゃったよ……めんどくせぇ……

 

「そんなに泣いて謝ってくれてるのに、許さないって男じゃないだろ」

「う、ああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「よしよし、ごめんね? もう怒ってないよ」

 

 泣いて突っ込んで来るからつい撫でてしまった……。

 

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

 

 あ、やばい可愛い。

 

 

 ◇

 

 

「火神!」

「静かにしてくれ、セシリアが寝てる」

「す、すまん……」

 

 扉が開き、勢い良く一夏が入ってくる。静かにして欲しい、やっとセシリアが寝たのに……

 

「……って、え!?」

 

 俺がセシリアの頭を撫でているのをみて、凄く驚いている。

 

「あれ……? また滅茶苦茶言ってるんじゃないかってきたけど……」

 

 別にそこまで驚かなくてもいいと俺は思う。

 

「あ、そういえば俺ってなんでここにいるんだ?」

「お前……、まあいいや。ピットに戻ってくるなりぶっ倒れたんだぞ?」

「ふーん」

「ふーん、ってお前……」

 

 そこまで興味ないから仕方ないやん?

 

「ま、元気そうで良かった。先、戻ってるな」

 

 ずっと撫でてるけどいつまで撫でてりゃいいんだ?

 

 

 ◇

 

 

 また、扉が開く。今度は、音羽先輩だった。

 

「こんにちは、先輩」

「こんにちは、火神君」

 

 入ってきて俺を見た瞬間また、目が驚きに染まる。そんなにおかしいか? おかしいな。

 

「先輩はどっちの心配を?」

「……それは、勿論火神君の心配だよ」

「そうですか」

「ま、元気そうだし私はこれで。お邪魔しちゃ悪いしね♪」

 

 ……いい加減手が疲れてきた。

 

 

 ◇

 

 

 またまた、扉が。今度は先生達だった。

 

「こんにちは、織斑先生、山田先生。入ってこないんですか?」

 

 扉の前で固まっている山田先生。体が石になる、とはこのことか。

 

「今回の貴様の行動は目に余ると判断した」

「えっ!?」

 

 いきなり話を始めた織斑千冬と、その行動に驚き石化が解除された山田先生。忙しいっすね。

 

「……で? どんな処分食らうんですか?」

「IS、黒桜の凍結『ちょっと待ってください!』……なんだ」

 

 急にセシリアが起き上がって織斑千冬に異議を唱える。……お前はどちらかと言えば賛同側の立場だろ。

 

「この度の騒動はわたくしが彼を、男性を、ひいては日本を侮辱したことが原因です! ですので、あの……」

 

 また山田先生が石になった。ほんと、忙しいなこの先生は。

 

「ふん、火神、命拾いしたな。行きましょう山田先生」

「え、あ、はい!」

 

 ……なんだったんだ?

 

「なんだったのでしょうか……」

「さあ?」




 どうして…どうしてこうなった!
 いや、一瞬で真由に何があった…
 オルコッ党の人達にはアレですが自分、せっしーそんな好きじゃないし?
 なんかメインヒロインっぽくなってくかもしれませんが、自分の中ではそんな事は“今のところ”ないので…さっさとラウラとの絡みを書きたい。
 ああぁ…ラウラ、ラウ……(血が付いていて見れない)
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