IS 〈レプリカでも人生楽しみたいじゃん?〉   作:紅露雨

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第七話――捏造はしないでください。

「と、いう訳で! クラス代表は織斑一夏君に決まりました!」

「……えっ?」

 

 諸君、「わけがわからないよ」と、言いたいだろう。だがな、これはISの二次創作である以上、主人公の織斑一夏がクラス代表になるのは必然。

 そう、前回のはどうでもいい茶番なんだ。

 

 冗談は置いておいて、理由はあるんだけどな。黒桜が強すぎるのと、また俺が暴走しないかっていうの。

 セシリアは代表候補だし経験値を稼ぐために一夏を代表に置くのは当たり前だろう。

 

「俺は戦ってなーい!!『黙れ』アイタっ! 何するんだ! 千冬姉! ゴアっ!」

「学校では織斑先生だ」

 

 叫んで殴られ、呼んで殴られ……、殴られ芸人としていけるんじゃないか?

 

「織斑先生! 戦ってないのに当選は、いささか問題があるのではないでしょうか!」

「最もだな、織斑。火神、説明してやれ」

「簡単に言うと、俺は教師陣に却下されて、セシリアは辞退。何も行動していないお前が見事、当選って事」

 

 クラスが沸く。聞けば、希少な男を前に出すのは当たり前だとか。バカバカしいが、この学校で俺か一夏が前に出ないと、それはそれで周りからの反感を買うので仕方がないか。

 

「そんなバカなことが、あってたまるか!」

「諦めて受け入れるんだな。それが、選ばれた者の責務だ」

「不幸だ……」

 

 

 昼食時にセシリアに絡まれる事以外は、特筆する事項が無く6時間目になった。

 どうでもいいが、俺の昼食は炒飯だ。炒飯美味い。

 

 

「では、これより、ISの基本的な飛行操縦を実践してもらう」

 

 やっとか、っていうかあんたは一夏にぶっつけ本番でセシリアにぶつけるつもりだったんかいな。

 

「織斑、オルコット、火神は前にでてISを展開しろ」

 

 言われた通りに展開する。流石に、専用機持ちでコールは恥ずかしいから無言で。

 だが、セシリアは勿論、俺が少々手こずって展開を終えた頃、まだ一夏は展開してなかった。

 

「何をしている織斑、熟達したIS乗りは一秒とかからないぞ」

 

 その言葉に恥を捨てたのか白式に手を当て前に突き出しその名を呼んだ。それでも展開は遅い。……織斑千冬に毒されてたな確実に。昨日、始めて乗ったのなら仕方ないだろ。

 

「織斑千冬先生、流石に言い過ぎではないですか? 一夏は、昨日乗ったばかりの初心者。一週間程長い俺でも少し時間かかりますし」

「だからどうした? 戦場に立てば、初めて銃を持つ者も歴戦の猛者も等しく兵士だ。そこに甘えはない」

 

 正しいとは思う。確かに、一度戦場に立てば……それこそ、力で人を導いた女王と、たまたま能力(スキル)を持っていただけの少年は等しかった。

 でも、初めて銃を持つ者と歴戦を駆け抜けた猛者は兵士という点では等しい、でも技量が等しいわけがないだろ。……まあ、つまりはそういうことなのだろうが。

 

「つまり、生き延びるためには早く強者にならなくてはいけない。そう仰りたいと」

「ふん、わかっているじゃないか。とりあえず上昇してみろ」

 

 また、言われた通りに上昇し続ける。桜花を使用していないと流石に遅いな……、まあ遅いといっても蒼い雫も白式もついてこれていないが。

 俺が見ていたのに気づいたのか、目に、涙を浮かべて加速するセシリア。

 

「ま、真由様! 置いていかないでくださいませ!」

 

 あれ(試合)からセシリアの調子はずっとこうだ。そんなに恐がらせたか? 恐がらせたな。

 にしても、セシリアってそんなキャラだったか? まだ、俺以外の男を見下している感が有るだけましだが、その嫌いな男に様付けってなぁ……。

 

「大丈夫だって、別に怒ってないから」

 

 それだけならまだいい。なんかある度、これは流石に……な。

 

「よし、急降下から完全停止だ。目標は2cm、やれ」

 

 マニュアルじゃないと駄目、だよな……。オートだと地面に触れても傷つけないってレベルまで完全に動きやがるからな、これ(黒桜)

 

「真由様、この、セシリア・オルコットが先に行かせていただきますわ」

 

 螺旋状に回転しながら降りていく蒼い雫。ギリギリを狙って止めたらしいが結果は6cm。

 ま、行けるだけ行ってみるか。

 

「急降下だっけ、行くぞ桜花!」

 

 軽く背中に意識を向け加速のトリガーを引く。その瞬間、ハイパーセンサーにより感覚が異常に鋭くなっていてもかなりスピードが速い。焦って上へとスラスターを吹かすが、それも失敗だったみたいで逆に上へと瞬間移動する、光速は出ないらしいけどな。

 だけど、残像は残るようで、皆には俺がいきなり現れたと思ったら消えるという謎現象が目に映っていることだろう。事実、ハイパーセンサー越しの視界でも残像が残るくらいには速かったし。

 

「ちょ、これ速すぎて無理!」

「だっせ、次、俺行くな!」

 

 だせぇ、たしかにやつは、俺にそう言った。彼のとった行動は俺と全く同じ、スラスターの出力を用いて降りること。

 俺は、12機あるからやりようによっては高速で動き回ることができるし、無理やり逆噴射すれば停止できる。しかし、白式は大型のウイングスラスターが2機、それを使って降りている状態で、上へと方向転換しようとしたら、スラスターの向きを変えるしかない。彼は、その事すら浮かばなかったようで、地面に激突。彼を中心に結構大きめのクレーターをつくった。

 

「織斑……誰がグラウンドに穴を開けろといった? 後で埋めておけ。火神、今度はPIC操作だけで降りて来い!」

 

 一夏の顔が死んでた気がしたが、俺は何も見てないし、何も聞いてない。

 

「PIC操作は苦手なんだけどな……」

 

 誰に言うわけでも無く呟いてからPICを切る。重力加速度は結構速い、自由落下で降りてもあっという間に地面に着く。完全停止するために無理やり俺ごと空間を固める。ギリギリ接触は免れたようだ、髪の毛が地面についているが気にしない。

 

「オルコットは、流石候補生だな。織斑は論外、火神は機体に遊ばれすぎだ。各人、もっと精進するように」

「お褒めの言葉、ありがとうございます」

「……了解」

「さて、諸君はまず、オルコットを目指して各自で頑張るように。専用機持ちは、困っている奴がいても今日は捨て置け」

 

 

 ◇

 

 

 ……さて、俺はスラスターのマニュアル制御を早いとこモノにしないとな。――行くぞ、桜花!

 

 6機を前後左右上下に固定し、慣性を無視して縦横無尽にアリーナを駆け巡る。慣性、空間圧制御は、自動でやってくれるので、俺の後ろしか風が起きないようになっているのは助かる設計だ。本当なら、この高速移動中の射撃訓練をしたいが、今は授業中なので我慢するとしよう。

 急降下から地面スレスレで一夏の横を通った時、化物を見るような目で一夏が俺を見ていたが、黒桜がオーバースペック過ぎるだけだからな? いや、確かに制御ミスったら地面に突っ込むか、どっか吹っ飛んでくけど。

 

 10分ほど飛び回ったあたりで桜花を元の翼状に、小型の2機は腕に装着し、せっせと穴を埋めている一夏の横に降り立つ。

 

「火神、手伝ってくれよ」

「流石に自業自得だろ。ま、頑張んな」

「はあ……。じゃあ何しに来たんだよ」

 

 明らかに落胆した声色で尋ねられる。別に、何をしに来たわけでもない。

 

「超音速飛行での旋回訓練だ」

 

 下向きに桜花を傾け、4機にエネルギーを送る。3秒程で桜色に発光する、これで充填完了だ。

 

 エネルギーを放出し加速する。最初からマッハ1.6のスピードが出るが、幸い軌道上に人は居らず、誰にもぶつからずにグラウンドの上空に移動できた。まあ、飛ぶ前に確認はしているが一応な。

 今の一瞬じゃあ目は慣れていないので飛び回る。体を傾けるだけで視界の外に移動する程の速度だが、黒桜の機能により、体にかかる負荷はほぼ0。いくらでも飛び回っていられる。

 腕の桜花を使って舵を取る…………よし、大体慣れた。

 

 気乗りはしないがPICでの加減速の訓練も行う。ISの基本操作の情報が、何故かわからないのだ。一夏は、最初に触れた時に解ったと言うが……教会製だからなのか? まあ機能自体は搭載されているので別に構いはしないが。

 

「よし、そろそろ授業を閉める。現在ISに乗っている奴は山田先生の所までいって指示を受けろ。専用機持ちは戻ってこい。それ以外は整列しろ」

 

 

 

 PIC制御での移動の方が動きが粗いってどうなのか。止まれずに織斑千冬の近くに墜落したが時速20km程度でヘッドスライディングするぐらいで済んだのだから良しとするか。

 

 

 ◇

 

 

「織斑君、クラス代表決定おめでとう!」

「おめでとー!」

 

 パーンとクラッカーが景気のいい音を立て、紙吹雪と紐を吐き出す。その中心にいる一夏はなんとも、複雑そうな表情をしていた。あくまで複雑()()、だ。

 先週一週間の一夏と篠ノ之の会話や、セシリアと試合するはめになったときの言動から、単純バカであると確信を持って言える。

 

「……やっぱ納得いかないんだけど」

「まあまあ、ここはセシリアの好意に甘えておくべきだよ!」

 

 相川清香が一夏を説得している。彼女は、篠ノ之が居る居ないを問わず一夏にちょっかいをかけているが……まあ、今のところその恋が実る気配は無いな。

 ……っていうかその席、俺がいっつも座ってる席だし。

 ちなみに、こうやって一夏を眺めている俺は、セシリアと……何故か音羽先輩と一緒にいる。別に、他学年が居てはいけない、とかは言う気はないけどな。一年生も、他クラスから結構人が来てるし。

 

「セシリアちゃんはイギリスの代表候補生だったっけ?」

「はい、そうですわ」

 

 俺を挟んで会話するのはやめてほしい。切実に、切実に。

 

「人気者だな、一夏」

「そう思うか? ……はぁ」

 

 篠ノ之への返答に、「嫌味か、羨ましい」と、どこからかそう聞こえた気がした。……あーらら、篠ノ之怒っちゃってるよ……。

 

 パシャ!

 

「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生、火神真由君と織斑一夏君に特別インタビューをしに来ました~!」

 

 シャッターをきる音と共に、一夏に話しかける自称新聞部。だが、残念だったな俺はこっちだ。

 

「あれ? もうひとりは?」

「あそこの柱にもたれかかってますよ」

 

 此方を指差す一夏。人に指を指してはいけませんとママンに教わらなかったのか? ちなみに俺は教わってない。

 にしても、速攻ばらすとはな……。あまり、記録媒体―特に写真―には残りたくないのだが……。

 

「あ、私は二年の黛薫子。よろしくね。新聞部副部長やってまーす。はいこれ名刺」

 

 ごく自然な流れで名刺を渡され、受け取る。一連の動作に無駄が無い、彼女はそういう職業が向いているのかもしれないな。もしくは身内にそういう職業に就いている人間が居る、とかね。

 

「一年、火神真由です。ご丁寧にどうも」

「ではではずばり織斑君! クラス代表になった感想をどうぞ!」

 

 ボイスレコーダーをずずいっと一夏に向け、薫子は無邪気な子供のように瞳を輝かせる。その瞳は一夏や俺が入学初日のSHRでクラスメイト達に向けられていた視線と同じだ。好奇心と期待に満ち溢れた、あのギラギラと光る瞳。

 

 一夏は、少し考えて、「まあ、なんというか、頑張ります」と、だけいった。……自己紹介の時もそうだが、もう少し何かないのか?

 

「えー。それじゃあつまんないよー。もっと熱いコメントをちょうだい」

 

 ……そもそもインタビューのコメントに面白さを求める方がおかしいのだが、言われた所で黛薫子先輩は、聞く耳を持たないだろう。乗り気ではなさそうな一夏だが、期待されているのに裏切る訳にもいかないだろう。また、少し考え、「自分、不器用ですから」と、日本の誇る名優の言葉を借りていた。

 

「うわ、前時代的! ……織斑君の方は適当に捏造っと」

 

 一夏の発言はどうやら薫子には響かなかったようで、目の前で隠す気もさらさら見せずに捏造すると口にしていた。……こうして情報発信者の独断と偏見で世の中に誤った情報が流れるのか。社会の闇というのはIS学園まで侵食しているのか……世も末だな。

 

「次は、火神君のコメントを! かっこいいのを一つお願い!」

 

 そう言って、手に持ったボイスレコーダーを俺に向けてきた。……捏造するって聞いて言うと? まあ言うが。

 

「最初から最後まで、クライマックスだぜ」

「……何処かで聞いたこと有るけどま、こっちも捏造するか……」

「……別に、捏造するのはかまいませんが、その時は死を覚悟してもらいますよ?」

 

 黒桜を腕部だけ部分展開し脅す。

 例えISに乗っていようが、全力の黒桜の前では無力だからな。

 

「あう、えっと……火神君とセシリアちゃんも一緒に写真、いいかな?」

 

 まあ所詮脅しでしかない。どの程度効果があるかわからないが、結構効いたみたいだ。

 

「3人で、ですか?」

「話題の専用機持ちだからね。あはっ、肩とか組んでくれると絵的にいいかもね」

 

 ……篠ノ之の目付きがまた鋭くなった。今日はセシリアの部屋に匿ってもらおうかな……隣の部屋だし。

 それと、別に俺と一夏は構わないが……セシリアと肩を組むのは流石にまずいだろ……。っていうか切り替え早いなあおい。

 

 

「あの……殿方との触れ合いは最小限にしたいので、肩はちょっと……」

 

 言わんこっちゃない。言ってないけど。

 

「えっと、じゃあ……真ん中で拳をくっつける、とかはどうかな?」

「それなら……」

 

 別に構わないが、一夏はともかく俺まで置いていって会話するな。会話に参加する気はないけど。

 

「じゃ、手を突き出して」

 

 言われるがままに手を突き出す。セシリアの手が一夏に触れていないが、まあいいか。

 

「やっぱ、ポーズ的に離れるのは仕方ないか。うーん、火神君? もうちょっと笑顔で」

「すみませんね、写真嫌いなもんで」

「あはは……ごめんね? じゃあ、撮るよ」

 

 嫌いだって言ったのにそのまま続行する新聞部の……先輩か。リボンの色が音羽先輩と同じだから2年だな。

 

「35×51÷24は~?」

 

 ――時門発動。……よし、止まったな。えっと、35×51がえー……1750と35で1785か。で、割ることの24は……暗算でやれと!? まあいいや、まずは1000を24で割ろう……無理。――時門解除。

 

「ぷはっ……少なくとも2ではないな」

「……2じゃないのか?」

「74.375でした!」

 

 パシャ!

 

 シャッター音と共に他の女生徒が俺らの周りに現れる。その機敏さを体育とかで見せようか? ……っていうか、篠ノ之まで参加してるし、何やってんだよ。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ――同刻、学園の正面ゲートに人影が2つ、背の低いツインテールの少女と、定規ひとつ分身長が高い真っ黒少年が居た。

 

「「ここが、IS学園……」」

 

 あまりに大きい学園に、不意にこぼれ落ちる言葉。お互いの存在に気づいたのはその時だった。

 

「んなっ!? あんた誰よ!」

 

 先に動く背の低い少女。突然少年が現れたことに動揺しながらも、少年の素性を探る。だが、その少年は特に少女の存在に驚いている様子はなかった。

 

「俺? うーん、いつの……いや、何処のアカウント名がいい?」

「アカっ! 馬鹿にしてるわけ?!」

 

 少女が少々声を荒らげ、今にも殴りかからんと拳を構える。

 その様子を見て、硬直する少年。

 

「………………(リアルネームを聞かれていたのか)、失敬。しかし、先に名乗るのがマナーってやつじゃないのか? しらんけど」

 

 別に馬鹿にしているわけでもなんでもなく、素で何処かのアカウント名を聞かれていると思ったらしい。

 

「ふんっ、いいわそこまで言われたら名乗らないわけには行かないわね。聞いて驚きなさい! 私の名前は、凰鈴音、中国代表候補生の凰鈴『サインください!』……へ?」




 どうでもいいことですけど、本当にどうでもいいことなんですけど、鈴可愛くね? なんであんまり人気ないんだろ… ラウラも鈴も貧にゅ………(血で見れなくなっている)
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