・本作品は『ディバインゲート』および『機動戦士ガンダム』シリーズの二次創作小説です。 権利は GungHo Online Entertainment, Inc. および 創通・サンライズに帰属します。
・本作品は、文章の校正・添削にAIを使用しています。
「……四十八。次で五十だ」
ギンジが低く呟くと同時に、ヤシャヒメの「無」の刃が精密に閃いた。
巨大な装甲の継ぎ目を音もなく断ち切り、運び出しやすいサイズへと解体していく。
「甘いぜギンジ! こっちはもう五十二個目だ。ガンダムの精密マニピュレーターを舐めるなよ!」
あなたの親友が駆るMSが、バーニアを吹かして瓦礫の山を飛び越えた。
巨大な掌で次々と破片を掴み取り、背負ったコンテナへと放り込んでいく。
その無駄のない動作は、およそ「作業」とは思えないほどの熱量を帯びていた。
二人はどちらがより迅速に「獲物」を確保できるか、子供のような意地の張り合いに没頭していた。
「……はぁ。あなたたち、少しは落ち着きなさいよ。燃料と体力の無駄遣いだって分からないの?」
通信モニター越しに、サキが片手で額を押さえて深い溜息をついた。
金色のフェネクスを滞空させ、周囲の警戒に当たる彼女にとって、
二人の暴走は頭の痛い種でしかなかった。
「ふふっ。いいじゃない、サキちゃん。あの二人があんなに元気なのは、それだけ平和になった証拠だよ」
ヒカリが鈴を転がすような声で笑った。彼女はサイコ・フィールドに浄化の祈りを同調させ、舞い落ちる塵を清らかな光へと変えていった。
数日後、欧州の空からは初雪が舞い落ちてきた。静まり返ったキャンプ地で、サキは隣に座るヒカリの横顔をじっと見つめ、ふと口を開いた。
「ヒカリ……。あなたって、どんなに過酷な状況でも笑顔を絶やさないよね。正直、すごいと思う。その強さ、どこから来てるの?」
サキの鋭い問いかけに、ヒカリは少しだけ目を細めた。その瞳の奥には、いつもの明るさとは異なる、深い哀愁が漂っていた。
「……笑顔でいることしか、私にできることがなかったから。でも、本当はね……」
ヒカリが過去を語り出そうとしたその時、少し離れた場所でヤシャヒメの整備をしていたギンジが、鋭い視線を向けた。
「……ヒカリ。二人に、その話をしてもいいのか?」
ギンジは、この場の中で彼女の背負う宿命の重さを知る唯一の理解者だった。
「うん。サキちゃんと、(親友)くんなら大丈夫。信じているから」
ギンジの心配をやさしく包み込むように、ヒカリは首を横に振った。
そしてヒカリは静かに、自らの血筋と過去を語り始めた。
かつての「聖戦」と呼ばれた戦争において、親友であるはずのユカリと袂を分かち、死力を尽くして大喧嘩をしたこと。
そして、彼女の本当の両親のこと。
「私の父さんは、天界の王・オベロン。母さんは、妖精の王・ティターニア。
……父と母は、以前の旅の途中で命を落としたんだ」
その告白に、サキと親友は絶句した。神話の住人のような名が、彼女の口から語られたからだ。さらに、ヒカリは衝撃的な事実を付け加えた。
「そして……。アーサーは、私にとって異母兄にあたるの。私たち、血の繋がった兄妹なんだよ」
沈黙が場を支配した。あの気高く孤独な王と、目の前の心優しい少女が兄妹であるという事実は、あまりにも重く、それでいて悲しい運命を感じさせた。
「……そう、だったのか。そんな重いもん背負って、よく笑顔でいられるな……本当にすごいな、ヒカリは」
親友が絞り出すように言うと、サキもまた呟き始めた。
「王様の兄妹、ね。……正直、羨ましいな。私は、戸籍も記憶も、空っぽなんだから」
「俺も似たようなもんだ。俺の両親は救いようのないクソ野郎どもだった。
だから、二度と会わないようにしてる。……血が繋がってるからって、必ず幸せとは限らないよ」
親友のぶっきらぼうな慰めに、ヒカリは小さく、しかし心からの微笑みを浮かべた。
「ありがとう。……みんな、それぞれ違う傷を抱えてるんだね。でも、だからこそ、今こうして一緒にいられることが嬉しいんだ」
降り積もる雪の中、四人の絆はこれまでの「共闘」を超え、
互いの孤独を分かち合う確かな「家族」のようなものへと変わり始めていた。
第9話:あの夏へ
4人のパイロットと6人の適合者、合計10人の混成部隊は、ユナイティリア各地に残る「歪み」を正すための任務を積み重ねてきた。
出自も戦い方も異なる十人の混成部隊は、数多の死線を潜り抜ける中で、
もはや互いの背中を預けることに躊躇はなかった。
作戦後の無骨な食事を囲み、冗談を飛ばし合う。そんな何気ない日々の積み重ねが、世界の違いという壁を静かに溶かしていた。
連日の任務を終え、束の間の休息を取っていたサキとミサの携帯端末が、同時に「ピコーン」と通知音を鳴らした。
グループチャットに届いたのは、風の少女・ミドリからのメッセージだった。
『みんな任務お疲れ様! せっかくの休暇だし、たまにはパーっと遊びに行かない? 久しぶりに、みんなで海に行こうよ!』
画面を見つめるサキの口元に、微かな笑みが浮かぶ。
「海……か。たまには悪くないかもね」
対照的に、ミサは椅子から跳ね起きるような勢いで、弾ける笑顔を浮かべて返信を打ち込み始めた。
「決まり! 彩渡商店街の最新水着、お披露目しちゃうんだから!」
熱い夏空の下、戦場ではない「青い海」を目指して。
10人と、そしてきっとどこかで見守っている「二人」の物語は、新しい季節へと続いていくのだった。
夏の日差しが降り注ぐ中、グループチャットは海への期待で大いに盛り上がっていた。
ミサが水着の写真を送り、アカネが「ビーチでBBQだ!」と肉のスタンプを連打する。
あなたは静かにスマートフォンの画面を操作した。
「悪い、俺はパスだ。その日はカードゲームの新弾の稼働日なんだ。確実に確保しなきゃならないからな」
その返信が送られた瞬間、既読だけがついてチャットルームは静止する。
「はぁ!? あんた、仲間との初海より、カードを取るの!?」
画面越しにミサの呆れた声が聞こえてきそうな文字が躍り、親友からは
「お前らしいけど、相変わらずだな!」
と爆笑のスタンプが送られてきた。
仲間たちが呆れ半分、笑い半分で盛り上がるのを横目に、あなたはスマートフォンを置き、側にいた緑色の相棒に視線を向けた。
「……ハロ、ちょっといいか。お前に頼みたいことがあるんだ」
ベッドの上でポンポンと跳ねていたハロが、動きを止めてパタパタと耳を動かす。
「ナニ? ナニ? 頼ミゴト? ハロ、キク! ハロ、キク!」
あなたは少し真剣な、それでいてどこか楽しげな表情で、ハロにだけ聞こえるような声で言葉を続けた。その依頼が、カードゲームに関することなのか、あるいは誰にも知られてはならない別の「何か」なのか──。
窓の外に広がる青い夏空と、ハロの明滅する目。
あなたの秘密の任務(?)を乗せて、静かな部屋にあなたの声だけが響いていた。
次回 あの夏へ 8月21日更新予定