Divine Gate+   作:観測神ミンスキー

11 / 15
もしもの夢みたいなモノです。

最近仮面ライダーにハマりました。推しはビリビリしてるクローズチャージです。


ワンサマーデイ その1

ついに、待ちに待った「その日」がやってきた。

路面電車のガタゴトという揺れに身を任せ、九人の少年少女が降り立ったのは、潮風の香りが漂う小さな無人駅。ホームから足を踏み出した瞬間、じりじりと肌を焼くような太陽の熱気と、どこまでも高く澄み渡った青空が彼らを迎え入れた。

 

目の前に広がる、宝石のように透き通った海。その輝きに、誰からともなく歓声が上がった。 砂浜に荷物を放り投げると、そこからはまさに「夏」そのものの時間が始まった。

 

「もっと右! いや、左だって! ……おい、どっち向いてんだよ!」

 

アカネの苛立ち混じりの叫びが、砂浜に響き渡る。目隠しをされ、木製バットを握りしめたミサは、フラフラと覚束ない足取りで砂の上を彷徨っていた。

 

「もうっ、バラバラなこと言わないでよ! ……えいっ!!」

 

ミサが勘を頼りに振り下ろした一撃は、見事にスイカの真芯を捉えた。パカリと小気味よい音を立てて真っ赤な中身が弾けると、九人の笑い声が、穏やかな波音に溶けていった。

 

網の上では、脂の乗ったサバが焼かれ、香ばしい匂いと煙を盛大に漂わせていた。

 

「……やっぱりうめーな、焼き立てのサバは」

 

ギンジが満足げに呟く。

 

「アオト、めちゃくちゃ幸せそうな顔してるね」

 

サキのからかいに、普段はクールなアオトの頬が緩んだ。

 

「サバは僕の大好物なんだ……。って、ちょっとミサ! それ僕が狙ってたやつ!」

「早い者勝ちだよ! ……あ、ミドリ、食べるの早すぎ!」

 

「あー食った食った! みんな、次はビーチバレーしようぜ!」

 

アカネの号令に、女子メンバーもアオトも力強く頷いた。ギンジと親友も「負けないぜ!」と闘志を燃やす。

 

「んじゃ、グッとパーでわかれましょ……」

 

同じ場所で、同じ時間を、同じ笑顔で。 世界の違いも、過去の重荷も、この瞬間だけはすべてが夏の光の中に消えていた。 やがて、高くあった青空は、穏やかな橙色へと染まり始める。

その喧騒を、遠く離れた岸壁の影から双眼鏡でじっと覗き見ている人物がいた。

 

「……楽しそうだな、あいつら」

 

あなたがポツリと独り言を漏らした、その時。

 

「――おい、ぼさっとするな! 手を動かせと言っただろう!」

 

背後から声を荒らげたのは、共に作業をしていた誰か、あるいは呆れ顔のハロだった。

「カードの新弾」という口実で誘いを断ったあなたが、実はハロにも手伝わせて準備していた「何か」。あなたは慌てて双眼鏡を置き、汗を拭いながら、まだ完成していない装置の調整へと戻った。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。