「なんだこのまぶしい奴は?」
「まぶしくなんてないよ。心は暗黒さ!」
そして次の日。
ピンポーン! ピンポンピンポンピンポン!! ピンポーン!!
「……う、ううぅ……」
昨夜、特大花火の打ち上げ、そして駅での「最悪の再会」を経て、心身ともに限界を迎えていたあなたを待っていたのは、安らかな眠りではなかった。
鼓膜を突き破らんばかりの執拗なインターホンの連打。それはもはや来客の合図というより、何かの打楽器の乱れ打ちか、あるいは強行突破のカウントダウンのような激しさで、あなたの意識を泥のような眠りから引きずり出した。
「起キテ! 玄関前ニ異常熱源、多数! インターホン、破壊サレル! 警告、警告!」
枕元でハロがパタパタと耳を動かし、あなたの顔の上を無慈悲に跳ね回る。
「……うるさい……まだ朝の6時だぞ……誰だよ、こんな時間に……」
あなたが寝癖だらけの頭を押さえ、フラフラと玄関へ向かおうとしたその時、ドアの向こうから遮音性を無視した爆音が響いた。
「おーーーい! 生きてるかー! 朝だぞ、海だぞ、リベンジの始まりだぞッ!!」
間違えようのない、アカネの底抜けに明るい声。
「もう、鍵開いてるよ。入るね」
「ちょっと、サキちゃん! 勝手に入るのは……あ、おじゃましまーす!」
サキの冷静な(しかし一切の容赦がない)声と、ヒカリの声が重なり、ガチャリと鍵が開く音がした。どうやら昨日、ボロボロのあなたを介抱した際に、セキュリティなど筒抜けになっていたようだ。
部屋を埋め尽くす9人の影
バタバタと多人数が上がり込んでくる足音が廊下に響き、あなたの寝室のドアが勢いよく開け放たれた。
「お、まだそんな格好してんのか。準備が遅いぞ、(あなたの名前)!」
眩しすぎる朝日に照らされて、水着の上にパーカーを羽織り、肩に特大の浮き輪を担いだアカネが仁王立ちしていた。その背後には、昨日の今日だというのに信じられないほど元気な仲間たちが勢揃いしている。
「ほら、これ。特製の特大おにぎりだよ。食べてすぐ出発するんだからね!」
ミサが湯気の立つおにぎりを差し出し、ミドリは「日焼け止め、忘れないでね。昨日の火傷の跡もちゃんと診てあげるから」と、救急箱を手に呆れたように笑っていた。
アオトは冷たいお茶のペットボトルをあなたの机に置き、ユカリ、ギンジ、ヒカリ、サキ、そしてすでに完璧なビーチスタイルの彼らが、当然のようにあなたの部屋を占拠していた。
「……お前ら、本気だったのかよ……」
あなたが溜息をつきながら座り込むと、肩に乗ったハロが嬉しそうに叫んだ。
「今日ハ、10人! 欠席、許サナイ! 逃亡、不可能! 海、イクゾ! 海、イクゾ!」
昨日の疲れなど微塵も感じさせない、圧倒的な9人の熱気。
あなたが守り抜き、あの花火で見せたかった「平和な夏の一日」が、今度はあなたも巻き込み、賑やかに、そして騒がしく動き出そうとしていた。
路面電車に揺られ、到着したのは昨日と同じ、けれど今日は10人で踏みしめる白い砂浜。
ここにいるのは手加減を知らない9人の少年少女と、逃げ場のない「あなた」だけだ。