「着いたぁぁぁぁぁ!! 海だぁぁぁぁ!!」
アカネが鼓膜を突き破るような声で叫び、一番に砂浜へ駆け出していく。
昨夜の疲労と寝不足でフラフラのあなたは、なんとか日陰へ逃げ込もうと画策した。
「……悪い。俺はちょっと、パラソルの下で荷物番を……」
「さーて、まずは何から遊ぼうか?」
あなたの懇願は完全に無視された。
背後から忍び寄ったミサとミドリが、あなたの両腕をガッチリとロックする。
「荷物番? 何言ってるの。今日の『主役』はあんたでしょ?」
「そうだよ! 昨日の分まで、たーっぷり遊んでもらわないとね!」
第1の復讐:砂浜の「喋るスイカ」
「よーし、まずは準備運動だ! 全員で埋めるぞ!」
抵抗も虚しく、あなたは波打ち際に大の字に寝かされた。
親友とギンジが驚異的なスピードで砂を盛り、ハロまでもが「(あなたの名前)、埋メル! 砂、カケル!」と器用に砂を飛ばしてくる。
あっという間に首から下を拘束されたあなたの前に、目隠しをしてバットを構えたアカネが登場した。
「スイカ割りだ! ……おっと、間違えて『喋るスイカ』を叩いちまったらごめんな!」
「ひっ!? 待て、そこはスイカじゃなくて俺の頭……!」
「右、あと5センチ右よアカネ。威力最大でいきなさい」
サキが悪魔のような的確さで、あなたの頭スレスレを指示する。
ドスッ!!
あなたの顔の真横、わずか数センチの場所にバットが突き刺さり、9人の爆笑が波音をかき消した。
第2の復讐:海水の「スス落とし」
「ひぃぃ……死ぬかと思った……」
砂から這い出し、安堵したのも束の間だった。
今度はアオトと親友が、無言であなたの両足を掴み上げる。
「昨日のススと、根暗な嘘を洗い流さないとな」
「せーのっ!」
「ちょ、やめ……ぶべらっ!!」
美しい放物線を描いて、あなたは海中へダイブさせられた。
海面から顔を出せば、浮き輪を持ったヒカリやユカリたちが、容赦のない水鉄砲と水しぶきを浴びせてくる。
第3の復讐:ビーチバレーの「精密標的」
「次はビーチバレーよ。あんたは『向こう側』ね」
サキとアカネという、この世界で最強クラスの力を持つペアの対戦相手として、あなたはネットの向こう側に立たされた。
飛んでくるのはボールの形をした砲弾だ。
「いくよ、必殺……!」
「受け止めてみろッ!!」
右に左に翻弄され、レシーブするたびに腕は真っ赤に腫れ上がる。
気づけばあなたは砂まみれ、水まみれ、そして全身汗まみれになっていた。
巻き込まれた果ての「結末」
「はぁ……はぁ……もう、無理……」
数時間後。
あなたは砂浜に大の字になって倒れ込んでいた。体力は底を突き、体はボロボロだ。
けれど、眩しい空を見上げるあなたの顔には、不思議と清々しい笑みが浮かんでいた。
「……あーあ。昨日のカッコいい花火師の姿が台無しだね」
サキが冷えたスポーツドリンクのボトルを、あなたの頬にピタッと当てた。
見渡せば、仲間たちも肩で息をしながら、今までで一番楽しそうに笑っている。
「……へっ。ざまあみろ。これで昨日の貸しはチャラにしてやるよ」
親友がニカッと笑い、大きな手を差し伸べてきた。
あなたはそれをガシッと掴み、立ち上がる。
手荒すぎる「復讐」と、容赦のない「巻き込まれ」。
しかしそれは、あなたが昨日一人で守り抜いた仲間たちが、あなたを再び自分たちの輪の中に引き戻してくれた、最高に騒がしい「感謝」の形だったのだ。