Divine Gate+   作:観測神ミンスキー

15 / 15
クソまぁ!


ワンサマーデイ その5

「着いたぁぁぁぁぁ!! 海だぁぁぁぁ!!」

 

アカネが鼓膜を突き破るような声で叫び、一番に砂浜へ駆け出していく。

昨夜の疲労と寝不足でフラフラのあなたは、なんとか日陰へ逃げ込もうと画策した。

 

「……悪い。俺はちょっと、パラソルの下で荷物番を……」

「さーて、まずは何から遊ぼうか?」

 

あなたの懇願は完全に無視された。

背後から忍び寄ったミサとミドリが、あなたの両腕をガッチリとロックする。

 

「荷物番? 何言ってるの。今日の『主役』はあんたでしょ?」

「そうだよ! 昨日の分まで、たーっぷり遊んでもらわないとね!」

 

第1の復讐:砂浜の「喋るスイカ」

 

「よーし、まずは準備運動だ! 全員で埋めるぞ!」

 

抵抗も虚しく、あなたは波打ち際に大の字に寝かされた。

親友とギンジが驚異的なスピードで砂を盛り、ハロまでもが「(あなたの名前)、埋メル! 砂、カケル!」と器用に砂を飛ばしてくる。

 

あっという間に首から下を拘束されたあなたの前に、目隠しをしてバットを構えたアカネが登場した。

 

「スイカ割りだ! ……おっと、間違えて『喋るスイカ』を叩いちまったらごめんな!」

「ひっ!? 待て、そこはスイカじゃなくて俺の頭……!」

「右、あと5センチ右よアカネ。威力最大でいきなさい」

 

サキが悪魔のような的確さで、あなたの頭スレスレを指示する。

 

ドスッ!!

 

あなたの顔の真横、わずか数センチの場所にバットが突き刺さり、9人の爆笑が波音をかき消した。

 

第2の復讐:海水の「スス落とし」

「ひぃぃ……死ぬかと思った……」

 

砂から這い出し、安堵したのも束の間だった。

今度はアオトと親友が、無言であなたの両足を掴み上げる。

 

「昨日のススと、根暗な嘘を洗い流さないとな」

「せーのっ!」

「ちょ、やめ……ぶべらっ!!」

 

美しい放物線を描いて、あなたは海中へダイブさせられた。

海面から顔を出せば、浮き輪を持ったヒカリやユカリたちが、容赦のない水鉄砲と水しぶきを浴びせてくる。

 

第3の復讐:ビーチバレーの「精密標的」

「次はビーチバレーよ。あんたは『向こう側』ね」

 

サキとアカネという、この世界で最強クラスの力を持つペアの対戦相手として、あなたはネットの向こう側に立たされた。

飛んでくるのはボールの形をした砲弾だ。

 

「いくよ、必殺……!」

「受け止めてみろッ!!」

 

右に左に翻弄され、レシーブするたびに腕は真っ赤に腫れ上がる。

気づけばあなたは砂まみれ、水まみれ、そして全身汗まみれになっていた。

 

巻き込まれた果ての「結末」

「はぁ……はぁ……もう、無理……」

 

数時間後。

あなたは砂浜に大の字になって倒れ込んでいた。体力は底を突き、体はボロボロだ。

けれど、眩しい空を見上げるあなたの顔には、不思議と清々しい笑みが浮かんでいた。

 

「……あーあ。昨日のカッコいい花火師の姿が台無しだね」

 

サキが冷えたスポーツドリンクのボトルを、あなたの頬にピタッと当てた。

見渡せば、仲間たちも肩で息をしながら、今までで一番楽しそうに笑っている。

 

「……へっ。ざまあみろ。これで昨日の貸しはチャラにしてやるよ」

 

親友がニカッと笑い、大きな手を差し伸べてきた。

あなたはそれをガシッと掴み、立ち上がる。

 

手荒すぎる「復讐」と、容赦のない「巻き込まれ」。

しかしそれは、あなたが昨日一人で守り抜いた仲間たちが、あなたを再び自分たちの輪の中に引き戻してくれた、最高に騒がしい「感謝」の形だったのだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。