履修登録も終わったところで、授業の時間なども確定しましたのでようやく落ち着けそうです。更新はまだまだ遅いままかもしれませんが、少なくとも二章分完結までは何とか駆け抜けたいところ。
今の私にとって、剣の道は苦痛を忘れる唯一の手段だった。
ただひたすらに剣を振るい人を切るという行為は、私にすべてを忘れる時間をくれるからだ。肉を切り裂き、骨を断ち切り、血が空を舞うその瞬間は、私がかつて持っていた義務感を忘れさせてくれる。
だから、私に人を切る理由を与えてくれるこの場所に私がたどり着いたのは、ある意味必然だったのかもしれない。
迷い込んだ裏路地でただ無意味に人を切っていた私に、組長は意味を与えてくれた。
組にとって邪魔だからとか、敵対組織だからとか、そんな理由だったけれど、今の私にとってなら、それは人を殺す理由たり得る。
...以前の私なら違ったかもしれない。それはただ無意味に犠牲を増やしているだけだといったかもしれない。けれど、私があの町でやったことが無意味な犠牲を増やすことだった。だから私がそういう権利はないのだ。
この剣を振る理由など何でもよかった。これを与えられたとき、私は正しい理由でのみ振るわなければとずっと思っていた。わたしがこの剣を与えられたのは、見初められたからだと。けれど今こうして大した理由もなく振るっても、剣は私に答えている。所詮剣は道具だ。
だから私という剣がどんなに残酷な理由で振るわれても、理由さえあればなんでもいいのだ。だからこそ、その理由を与えてくれたこの場所は、私にとって心地いい場所だ。
♢
周囲が妙に騒がしくなっているような気がして、目を開ける。
どうして私はここにいるんだろう。...ああ、そうか。たしか今後の組の方針を決めるから来い、とイシュメールさんに言われていたんだった。周りが妙に騒がしいのも、会議がいつの間にか始まっていたからなんだろう。
上座から副組長たちが騒いでいるのを眺めていると、そのうちの一人がこちらに目を向け、そして言った。
「...どうやら組長代理殿はようやくお目覚めのようですが。やはりあのような幼い娘に組のかじ取りが務まるとは思えん!」
「それはもう決まったことだと何度もお伝えしたはずでしょう。彼女を後釜に据えるよう指示したのは組長ご自身です。本人が図書館に飲まれて死亡したということも、遺書の筆跡も確認されていて、彼女があの場所に座る正当性は証明されているはずでしょう。」
騒ぎ立てる副組長を、同じ立場のイシュメールさんがそうたしなめる。
彼の顔を見て組長が言っていたことを思い出す。組の古株である彼は政治的能力が高い分自尊心が高く、次の組長は自分であると信じて疑わないとかなんとか。もっとも武力の高いものが上に座るべきだと考えていたらしい組長としては、邪魔な存在だと話していたことも思い出す。
...ならば、斬ってしまおうか。
「...話はよく分かりました。あなたは私がこの立場にいることが不満で、そして自分こそがここに座るべきだと、そう主張されているのですね。」
「な、何もそこまでは言っておりませんが...」
「組長は以前もっとも強い力を持つものが組をまとめるべきだとおっしゃられていました。ですからここは...手っ取り早く、斬り合いで決めてしまいましょう。」
いまだ呆けている彼の前で大剣を抜き放ち、その勢いのまま首に一閃を放つ。
数瞬のち、首は思い出したかのように物理法則に従って地面に落ちた。
...イシュメールさんがあきれたようにため息をついた瞬間、彼の後ろに控えていた手勢が怒りに湧き上がる。
「おや、あなたたちもですか。ではまとめて斬ってしまいましょうか。よいでしょうか、イシュメールさん?」
「...もう、お好きにどうぞ。反乱分子は殺しておくに越したことはありませんし。」
「ああ、そうですね。ではそれも理由にしてしまいましょうか。」
ひい、ふう、みい、よお。斬っていい首がたくさんある。今晩はそれなりの時間、難しいことを考えずに済みそうだ。
良秀さんのVAさんが歌ったSAIKAIがとてもいいなと思っている今日この頃。