良秀章マジで最高すぎましたね...8章がサラジネ(文字通り)だったのに9章サラジネ(みんな無事とは言ってない)だったので普通に落差で風邪ひきそうになりました。
あとアラヤがちで大好きです。健気に金庫の中で待ってるのもかわいいし放置されてたせいでつんつんになっちゃったけど最後は結局お母さんのところに帰ってくるってのがほんとに愛を感じられてめっちゃグッドだったしママはママでずーっと一途に愛してるのがほんっとに最高でした。
あとRolandならぬPolandだったリアンさんも好き、指令とかいう本物の人間の屑さえいなければまじでいいパパだったんだろうなと考えるとかわいそうで仕方ないです。
あ、指令とかいう人間の屑は本当に許しません。ローラン気に入ったからってお人形遊びで再現してんじゃねえよバーカ!!!!!!
4話
バスの揺れが止まる感覚でふと目を覚ます。
窓の外を見てみれば、ボロボロになった建物が目に入る。どうやら、ここが目的地らしい。
「起きたか。」
「わ、良秀さん。」
急に声をかけられ、少し驚きながら横を見れば、そこには煙草の代わりに飴をくわえた良秀さんがいた。
「ずいぶんぐっすりだったから起こしに来てやったんだが...寝覚めはいいらしいな。」
「あ、はい。地響きとかには敏感なので、バスの揺れが止まったりすると目が覚めちゃうんです。」
「...そうか。なら行くぞ。」
頭で跳ねる髪を少し直しながら、良秀さんの後を追いかける。
バスの外に出てみれば、窓から見えたぼろぼろの建物があった。
「旧L社...すごく、ぼろぼろです。」
「建物が吹っ飛んだように見えるな。...はっ、見てみたかったもんだ。」
「建物が爆発するのを見るのって...そんなに面白いのですか?」
「違う。俺が見たいのは爆発に巻き込まれて瓦礫に押しつぶされていく哀れな死体たちだ、爆発自体はどうだっていい。...お前には早かったか。」
「いえ。圧死した死体などは見慣れていますから。...でも、あまり見たいとは思いません。」
私の言葉に、良秀さんは瞑目したかと思えば私の頭をポンポンとなで、何も言わずにその場から離れて行ってしまった。
「...圧死した死体を探しに行ってしまったのでしょうか。」
【そういうわけではないと思うがな。...多分。】
ふと横を見てみると、バスの一行、それから見知らぬ二人と何やら話していたヴェルギリウスさんが一人バスのほうに戻っていくのが見えた。
「ヴェルギリウスさんは戻ってしまうのですか?」
「ギッタギタのメッタメタにされて来い、ってことらしい。」
グレゴールさんがそう言いながらため息をついた。
一方でなんだかずいぶんやる気のあるヒースクリフさんが言った。
「はっ、要はそこのボロ小屋を行って帰ってくりゃいいってだけだろ。そんだけなら簡単じゃねえか。」
「はぁ。中を見てもないのによくそんな短絡的なことが言えますね。バカみたいです。」
「...てめえ、今なんつった!」
「もう一回言ってあげますよ。短絡的でバカみたい、です。」
火に油を注ぐようなイシュメールさんの言葉がまたヒースクリフさんを怒らせてしまう。
また武器を互いに向けあう二人の間に、慌てて割って入る
「だ、だめです!バスの中でも言ったじゃないですか、仲間同士で殺し合いはやめてください!」
「てめえ、また邪魔すんのか?ならてめえから...!」
そういってヒースクリフさんが振り上げたバットが、私に振り下ろされることはなかった。
なぜなら極寒の赤い視線が彼を射抜いていたからである。
バスにすぐに戻らず、ダンテさんと何か話していたヴェルギリウスさんは、ヒースクリフさんがおとなしくなったのを見ると、あきれたようなため息をついてから、ようやくバスの中へと戻っていった。
「あの視線にさらされるのは二回目ですが...慣れないですね。」
【...慣れなくていい。】
「...ふふ、確かに。」
♢
ダンテさんが戻ってきてすぐ、私たちはぼろぼろの建物...ロボトミーコーポレーション支部の建物へ入った。
中は外見以上に血で汚れていて、とても不気味な場所だった。
それもそうだろう、どうやらここは廃棄されて以降誰かに管理されることもなく、どこからかやってきた不法侵入者たちの殺し合いや中にいる幻想体との争いによって血で血を洗う凄惨な場所になっていたからだ。
実際ダンジョンに入ってすぐのところでは、支部までの道中で戦った虫の特徴を持った人たち(G社というところが作った兵士らしい)がエンケファリンを奪い合っていた。きっとここではそんなことが繰り返されていたのだろう。
「...しかし、どうしてこんな危険な場所にこぞって集まるのでしょうか。...エンケファリンは、殺しあってでも奪い合う価値のあるものなのでしょうか。」
道中で見た殺しあったであろう死体や襲い掛かってきたG社の兵士たちの必死な目を思い出し、思わずそうつぶやく。
すると神様が言った。
【L社はエネルギーとしてエンケファリンを提供していた企業だ。その効率はすさまじいもので、エネルギーを大量に必要とする翼はどこもその膨大なエネルギーを欲しがっていた。だがL社が存在していた時、エンケファリンは半ばL社によって独占された状態だった。...そんなすさまじい価値を持ったものが管理の手を離れたとあれば、それを独占するために殺しあう。君は見慣れないかもしれないが、都市ではそれが道理だ。】
「...でも、ここには幻想体という存在がいるのですよね。」
【L社はあれらの存在を隠していた。我々のようにそれを知るだけの情報源があるほうが珍しいだろう。】
ふと先ほど幻想体と戦った後のことを思い出す。支部の建物の外で合流した見知らぬ二人のうちの一人...ホプキンスさんはもちろん、L社の元社員であるユーリさんでさえも知らない個体だったという。
外部の人間だけでなく社員でさえも知らない存在がいる、という時点で外部に対してどれほど厳重に隠されていたかはわかるだろう。
【...しかし、社員でさえも知らない幻想体がいるというのは厄介だな。】
「?なぜ、ですか?」
【幻想体の多くは固有の能力を持っている。それがいつどこで何をしたらどのように発動するのかというのは戦う上では重要だろう。】
神様にそう言われ、私ははっとした。戦いは刃を交える前から始まっている、それは人でも怪物でも同じだと神父様が言っていたことを思い出す。
【情報がないとなると、面倒だがしっかり観察するしかないだろう。気をつけなさい。】
「...はい!」
神様に激励され、意識を切り替える。
ふと前を見ると、ダンテさんが時計を回そうとしていた。
「...あれ、ダンジョン内では時計を回せないはずでは?」
【...私の話だけでなく、周りの話にも集中するべきでな、君は。】
神様によれば、安全な場所であれば少し時間はかかるが時計を回してけがを治すことができるという話をファウストさんがしていたらしい。
...なるほど、確かに先ほどの幻想体と戦った時にできた擦り傷がなくなっている。
「安心しました、治療なしであんな怪物たちとこの先何度も戦うなんて無理だと感じていましたから。」
そんな風に神様と話していると合流した二人のうちのもう一人、アヤさんが言う。
「その時計、本当に不思議ですね~。見たことも聞いたこともない技術ですよ。」
「こ、これくらいなら特異点レベルだよ...。いったいどんな翼が裏に...。」
イサンさんが続けて言う。
「ファウスト嬢。管理人の持給う時計は彼らの命を助けられぬか?」
「時計は囚人にのみ作動します。」
ファウストさんの答えを聞いたアヤさんが笑って言う。
「ああ~むしろそれでよかったよ~、おなかに穴がぽっかり空いたのに、死ねずに生き返ったらそっちのほうがもっと怖いでしょ?」
そんな会話を何とはなしに聞いていると、ふとアヤさんの後ろで何か音が聞こえた。例えるなら...何かが這いずる音だ。
その音が聞こえていたのかはわからないが、神様が叫ぶ。
【ッ、彼女の後ろだ!】
神様の声に合わせて体が動く。
アヤさんの腕に手を伸ばして、勢いよくこちら側に引っ張る。
わぁ~、という間抜けな声が私の真横を通り抜けていった時。アヤさんの体があったところにちょうど植物のつるが通り抜けていく。
「ま、間に合いました!」
「全員、戦闘準備!」
「一般的な攻撃の形態をとっていませんね。幻想体である可能性が高いです。」
私たちの目の前に姿を現したのは、私たちの数倍はありそうな、まるで木を人間にしたような異形だった。
いつも通り剣を抜き、それと相対そうとした時、ダンテさんが叫ぶ。
「ラヴクラフト、ヒースクリフ、イシュメール、それからムルソー!今から君たちに人格をかぶせる!何とか頑張ってくれ!」
「じ、人格ですか?」
人格。入社が決まった後、ファウストさんから少しだけ聞いていたものだ。何やら可能性の自分をかぶせると言っていたけれど...。
果たしてそれがこの戦闘に役立つのだろうかと困惑していると、神様も言った。
【...少なくとも、今の君よりは戦闘力が上がる、受け入れておきなさい。】
「わ、わかりました。」
人格をかぶせられる感覚は奇妙だった。
【...チッ、やはり気に入らんな。】
最後に神様のそんな声が聞こえた気がした。
♢
パッドを操作し、私は囚人たちに人格をかぶせる。
正直、人格をかぶせて戦うのは今回が初めてだった。
確かにファウストから説明を受けはしたが、今まで戦った相手はそれほど強くなく、人格をかぶせる必要なんてなかった。
でも今回の敵は違う。「黒檀女王の林檎」という名前のそれは、今までの比じゃない強さをしていそうだった。
ふと前を向くと、囚人たちの服装が変わっているのが見えた。とりあえずかぶせられそうな人格をかぶせただけだったけれど、どうやら成功したらしい。
「ははっ!ウサギが草を食みに来てやったぞ!」
R社第4群、ウサギチームのヒースクリフがそう叫び、銃を打ち込む。
「ああもう、本当にウサギチームは勝手に突っ込んでいきますね!巻き込まれても知りませんよ!」
隣ではトナカイチームのイシュメールがそう叫びながら何やら杖から光線を発射している。
その光線がヒースクリフを危うく直撃しかけると、ヒースクリフが振り返り、イシュメールに向けて叫ぶ。
「おい!あぶねえだろうがこのトナカイ!何仲間に向かって撃ってやがんだ!」
「ああもう、うるさい!頭痛が余計に響くんですよ!それにあなただってこっちの射線も考えずに動き回ってるじゃないですか!お互い様ですよ!」
「なんだと!」
そう言い争う二人の後ろに、彼女はいつの間にか立っていた。
彼女は大きくため息をつくと、剣を抜き放つ音をわざと立てながら二人に向けて歩く。
「ウサギチーム、ヒースクリフ。トナカイチーム、イシュメール。敵前でいつまでも言い争っているなら戦闘放棄とみなす。この場で処分されたいか?」
「ッ、てめえは...。」
「...普段前に出できもしないカラスが何の用ですか。」
R社第4群カラスチームの人格のラヴクラフトが言った。
「我々の任務はあれの処分だ、敵前で言い争い無駄につぶされることではない。...私のように身軽に飛び回ることさえできない身でのんきにおしゃべりに興じているとはな。」
「ほんっと、相変わらず一言多いですね、あなたは。...でもまあ、仕事はしっかりこなさないといけませんね。」
「ヒースクリフ、お前もだ。お前は目の前に生えている草さえも食めない臆病者だったか。」
「はっ、そんなわけあるかよ!」
そういって前に進んでいく二人を見たラヴクラフトは言った。
「それでいい、それでこそ我々だ。...さて、私も行くとしようか!」
その表情は、囚人の彼女のそれよりも何倍も感情的に見えた。
前書きで限界化してしまいましたのでこちらは簡潔に。
赤評価とか感想とかお気に入り登録とかありがとうございます、それから投稿遅れて申し訳ありません。僕はあんまり筆の進みが早いほうではないので、これからものんびり待っていただけたらなと思っております。