東方三界録   作:肩幅ひろし

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第10話:博麗霊夢、怒りを浄化し“新たな力”を得る

 境界本体の残滓が再起動し、

霊夢の怒りの波動に反応して空間が震え始める。

 

「霊夢!怒りを流せ!」

魔理沙が叫ぶ。

 

「流してるわよ!!

……流してるつもりよ!!」

 

霊夢の周囲の光は、

“無色透明”へと変わりつつあった。

 

「麟!! 霊夢の怒り、どうなってるんだよ!!」

「怒りが……限界を超えて“純粋なエネルギー”に変わり始めてる……!」

 

「純粋って言った!?」

霊夢が振り返る。

 

怒りの波動が一瞬だけ強まるが――

すぐに“ふっ”と弱まった。

 

「……あれ?」

霊夢が自分の手を見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 麟が息を呑む。

 

「霊夢……怒りが……消えていってる……」

 

「消えてるって……どういう……」

 

霊夢の胸の奥から、

柔らかい光がふわりと溢れた。

 

「……あ……これ……怒りじゃない……」

 

「霊夢?」

魔理沙が近づく。

 

「怒りを抑えようとしたんじゃなくて……

“怒りを受け入れた”から……

怒りが……消えていく……」

 

霊夢の声は静かで、穏やかだった。

 

「怒りは悪いものじゃない。

ただ……私が抱えてた“負の感情”が、

境界に反応して暴走してただけで……」

 

霊夢の周囲の光が、

金色へと変わる。

 

「……霊夢、まさか……」

麟が震える声で呟く。

 

「怒りを……“浄化”してるんだよ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 境界本体の残滓が、

霊夢の金色の光に触れた瞬間――

 

バチィィィィン!!

 

残滓が“浄化”され、

空間のひび割れがゆっくりと閉じていく。

 

「……え……?」

魔理沙が目を丸くする。

 

「霊夢の怒りが……

“境界修復エネルギー”に変わってる……!」

麟が興奮気味に叫ぶ。

 

「つまりどういうことだよ!!」

「霊夢が怒ると世界が壊れるんじゃなくて……

怒りを浄化すると世界が治る!!」

 

「治すのねぇぇぇ!!」

 

霊夢は静かに目を閉じ、

両手を胸の前で合わせる。

 

「……怒りも、悲しみも、苛立ちも……

全部、私の中にあるもの。

否定しないで、受け入れて……

境界に流す……」

 

金色の光が霊夢の周囲に広がり、

森のひび割れが完全に修復されていく。

 

「……すごい……」

麟が呟く。

 

「霊夢、なんか神々しいぞ……」

魔理沙がぽかんと口を開ける。

 

「やめてよ、恥ずかしいわよ……」

霊夢は頬を赤らめるが、

その光はまだ優しく輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 麟が測定器を見ながら呟く。

 

「霊夢の新しい力……

“境界浄化(きょうかいじょうか)”……

いや、“怒気転界(どきてんかい)”……?」

 

「名前つけるなぁぁぁ!!」

霊夢が叫ぶ。

 

「霊夢、怒ってる?」

「怒ってないわよ!!」

 

こうして霊夢は、

怒りを浄化し“境界を癒やす力”を手に入れた。

 

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