境界本体の残滓が再起動し、
霊夢の怒りの波動に反応して空間が震え始める。
「霊夢!怒りを流せ!」
魔理沙が叫ぶ。
「流してるわよ!!
……流してるつもりよ!!」
霊夢の周囲の光は、
“無色透明”へと変わりつつあった。
「麟!! 霊夢の怒り、どうなってるんだよ!!」
「怒りが……限界を超えて“純粋なエネルギー”に変わり始めてる……!」
「純粋って言った!?」
霊夢が振り返る。
怒りの波動が一瞬だけ強まるが――
すぐに“ふっ”と弱まった。
「……あれ?」
霊夢が自分の手を見つめる。
◆
麟が息を呑む。
「霊夢……怒りが……消えていってる……」
「消えてるって……どういう……」
霊夢の胸の奥から、
柔らかい光がふわりと溢れた。
「……あ……これ……怒りじゃない……」
「霊夢?」
魔理沙が近づく。
「怒りを抑えようとしたんじゃなくて……
“怒りを受け入れた”から……
怒りが……消えていく……」
霊夢の声は静かで、穏やかだった。
「怒りは悪いものじゃない。
ただ……私が抱えてた“負の感情”が、
境界に反応して暴走してただけで……」
霊夢の周囲の光が、
金色へと変わる。
「……霊夢、まさか……」
麟が震える声で呟く。
「怒りを……“浄化”してるんだよ……!」
◆
境界本体の残滓が、
霊夢の金色の光に触れた瞬間――
バチィィィィン!!
残滓が“浄化”され、
空間のひび割れがゆっくりと閉じていく。
「……え……?」
魔理沙が目を丸くする。
「霊夢の怒りが……
“境界修復エネルギー”に変わってる……!」
麟が興奮気味に叫ぶ。
「つまりどういうことだよ!!」
「霊夢が怒ると世界が壊れるんじゃなくて……
怒りを浄化すると世界が治る!!」
「治すのねぇぇぇ!!」
霊夢は静かに目を閉じ、
両手を胸の前で合わせる。
「……怒りも、悲しみも、苛立ちも……
全部、私の中にあるもの。
否定しないで、受け入れて……
境界に流す……」
金色の光が霊夢の周囲に広がり、
森のひび割れが完全に修復されていく。
「……すごい……」
麟が呟く。
「霊夢、なんか神々しいぞ……」
魔理沙がぽかんと口を開ける。
「やめてよ、恥ずかしいわよ……」
霊夢は頬を赤らめるが、
その光はまだ優しく輝いていた。
◆
麟が測定器を見ながら呟く。
「霊夢の新しい力……
“境界浄化(きょうかいじょうか)”……
いや、“怒気転界(どきてんかい)”……?」
「名前つけるなぁぁぁ!!」
霊夢が叫ぶ。
「霊夢、怒ってる?」
「怒ってないわよ!!」
こうして霊夢は、
怒りを浄化し“境界を癒やす力”を手に入れた。