東方三界録   作:肩幅ひろし

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第11話:霊夢の新能力、“次の異変”の鍵となる

 境界本体の残滓が浄化され、

森に静けさが戻った――はずだった。

 

「……終わった、のよね?」

霊夢が胸に手を当てる。

 

「うん。境界の揺らぎは完全に収束したよ」

麟が測定器を確認しながら頷く。

 

「よっしゃ! これで異変解決だな!」

魔理沙が笑う。

 

――その瞬間。

 

空気が“ひゅるり”と逆流した

 

「……え?」

霊夢が振り返る。

 

森の奥、空間の一点が“黒く沈んで”いた。

 

「麟……あれ、何?」

「わからない……でも、境界の揺らぎじゃない……

これは……“浄化されたはずのエネルギーが、逆流してる”……?」

 

「逆流って言った!?」

霊夢が叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒い点はゆっくりと広がり、

周囲の色や音を“吸い込む”ように消していく。

 

「おいおい……なんだよこれ……」

魔理沙が一歩後ずさる。

 

「境界が……“癒やされた”ことで、

逆に“何もない領域”が露出したんだ……」

麟が青ざめながら呟く。

 

「何もないって……どういう……」

「境界の“裏側”だよ。

本来は誰も触れられない、完全な空白……

霊夢の浄化が強すぎて、そこが表に出てきたんだ……!」

 

「私のせいなの!?」

「半分はね」

「半分なのねぇぇぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空白域が“じわり”と広がり、

木々の影が吸い込まれていく。

 

「やばいぞ霊夢! このままじゃ森が消える!」

「どうすればいいのよ!!」

 

麟が測定器を見て、息を呑む。

 

「霊夢……空白域は“霊夢の浄化エネルギー”にだけ反応してる……!」

 

「反応って……どういう……」

「霊夢の力だけが、空白域を“閉じる鍵”になるんだよ!!」

 

「鍵って言った!?」

「霊夢が怒りを浄化したからこそ、

“空白を埋める力”を持ってるんだ!!」

 

「埋めるって……私、そんな便利機能ついてた!?」

 

「ついたんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空白域がさらに広がり、

森の音がひとつ、またひとつ消えていく。

 

「霊夢!! 早く!!」

魔理沙が叫ぶ。

 

「わ、わかったわよ!!」

 

霊夢は深呼吸し、

胸の奥に残る“金色の光”を呼び起こす。

 

「怒りを……浄化して……

その力で……空白を埋める……」

 

霊夢が手を伸ばすと、

金色の光が指先から溢れ――

 

空白域に触れた瞬間、世界が震えた

 

「っ……!!」

 

霊夢の足元が揺れ、

空白域が“抵抗するように”波打つ。

 

「霊夢!!」

「大丈夫よ……!

これは……怒りじゃない……

“私の中の、全部の感情”……!」

 

霊夢の光が強まり、

空白域がゆっくりと“色”を取り戻していく。

 

「……すげぇ……」

魔理沙が呟く。

 

「霊夢の力……境界を癒やすだけじゃなくて……

“存在の空白”すら埋めてる……!」

麟が震える声で言う。

 

「つまりどういうことだよ!!」

「霊夢がいないと次の異変は解決できない!!」

 

「最初からそうでしょ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空白域が完全に閉じ、

森に色と音が戻った。

 

「……ふぅ……」

霊夢が膝に手をつく。

 

「霊夢、すげぇよ……」

「霊夢、ほんとに“鍵”だったんだね……」

 

「鍵って言うなぁぁぁ!!

……でも、まぁ……

私にしかできないなら……やるしかないわね」

 

霊夢は少し照れながら笑った。

 

――こうして、霊夢の新能力は

“次の異変”を解く唯一の鍵となった。

 

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