東方三界録   作:肩幅ひろし

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第11話:霊夢の新能力、“次の異変”の鍵となる

 境界本体の残滓が浄化され、

森に静けさが戻った――はずだった。

 

「……終わった、のよね?」

霊夢が胸に手を当てる。

 

「うん。境界の揺らぎは完全に収束したよ」

麟が測定器を確認しながら頷く。

 

「よっしゃ! これで異変解決だな!」

魔理沙が笑う。

 

――その瞬間。

 

空気が“ひゅるり”と逆流した。

 

「……え?」

霊夢が振り返る。

 

森の奥、空間の一点が“黒く沈んで”いた。

 

「麟……あれ、何?」

「わからない……でも、境界の揺らぎじゃない……

これは……“浄化されたはずのエネルギーが、逆流してる”……?」

 

「逆流って言った!?」

霊夢が叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 黒い点はゆっくりと広がり、

周囲の色や音を“吸い込む”ように消していく。

 

「おいおい……なんだよこれ……」

魔理沙が一歩後ずさる。

 

「境界が……“癒やされた”ことで、

逆に“何もない領域”が露出したんだ……」

麟が青ざめながら呟く。

 

「何もないって……どういう……」

「境界の“裏側”だよ。

本来は誰も触れられない、完全な空白……

霊夢の浄化が強すぎて、そこが表に出てきたんだ……!」

 

「私のせいなの!?」

「半分はね」

「半分なのねぇぇぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 空白域が“じわり”と広がり、

木々の影が吸い込まれていく。

 

「やばいぞ霊夢! このままじゃ森が消える!」

「どうすればいいのよ!!」

 

麟が測定器を見て、息を呑む。

 

「霊夢……空白域は“霊夢の浄化エネルギー”にだけ反応してる……!」

 

「反応って……どういう……」

「霊夢の力だけが、空白域を“閉じる鍵”になるんだよ!!」

 

「鍵って言った!?」

「霊夢が怒りを浄化したからこそ、

“空白を埋める力”を持ってるんだ!!」

 

「埋めるって……私、そんな便利機能ついてた!?」

 

「ついたんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 空白域がさらに広がり、

森の音がひとつ、またひとつ消えていく。

 

「霊夢!! 早く!!」

魔理沙が叫ぶ。

 

「わ、わかったわよ!!」

 

霊夢は深呼吸し、

胸の奥に残る“金色の光”を呼び起こす。

 

「怒りを……浄化して……

その力で……空白を埋める……」

 

霊夢が手を伸ばすと、

金色の光が指先から溢れ――

 

空白域に触れた瞬間、世界が震えた。

 

「っ……!!」

 

霊夢の足元が揺れ、

空白域が“抵抗するように”波打つ。

 

「霊夢!!」

「大丈夫よ……!

これは……怒りじゃない……

“私の中の、全部の感情”……!」

 

霊夢の光が強まり、

空白域がゆっくりと“色”を取り戻していく。

 

「……すげぇ……」

魔理沙が呟く。

 

「霊夢の力……境界を癒やすだけじゃなくて……

“存在の空白”すら埋めてる……!」

麟が震える声で言う。

 

「つまりどういうことだよ!!」

「霊夢がいないと次の異変は解決できない!!」

 

「最初からそうでしょ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 空白域が完全に閉じ、

森に色と音が戻った。

 

「……ふぅ……」

霊夢が膝に手をつく。

 

「霊夢、すげぇよ……」

「霊夢、ほんとに“鍵”だったんだね……」

 

「鍵って言うなぁぁぁ!!

……でも、まぁ……

私にしかできないなら……やるしかないわね」

 

霊夢は少し照れながら笑った。

 

――こうして、霊夢の新能力は

“次の異変”を解く唯一の鍵となった。

 

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