東方三界録   作:肩幅ひろし

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第14話: 虚境、霊夢の“コピー”を送り込む

 虚境が消えてから数時間後。

霊夢・魔理沙・麟の三人は、森の奥で次の空白域の調査をしていた。

 

「……静かすぎるな」

魔理沙が周囲を見回す。

 

「うん。虚境の気配はないけど……

“何か”が近づいてる……」

麟が測定器を握りしめる。

 

「何かって何よ」

霊夢が眉をひそめた、その瞬間――

 

森の奥から、霊夢が歩いてきた。

 

「……え?」

「……え?」

「……え?」

 

三人が同時に固まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 森から現れた“霊夢”は、

本物とまったく同じ姿、同じ歩き方。

 

ただひとつ違うのは――

表情が、完全に無表情だった。

 

「……あなたたち、何してるの?」

 

声も霊夢そのもの。

しかし温度がない。

 

「お、おい霊夢……あれ……お前だよな?」

魔理沙が震える声で言う。

 

「私じゃないわよ!!

私、ここにいるでしょ!!」

 

「じゃああれは……」

麟が測定器を見て青ざめる。

 

「虚境の……“コピー”だ……!」

 

「コピーって言った!?」

霊夢が叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 コピー霊夢は無表情のまま、

本物の霊夢をじっと見つめた。

 

「博麗霊夢。

あなたの力を渡しなさい」

 

「渡すわけないでしょ!!」

 

「渡さないなら……奪うだけ」

 

コピー霊夢の周囲に、

黒い蝶が舞い始めた。

 

「麟!! あれ……虚境の空白エネルギーだ!!」

「うん……しかも霊夢の“浄化の波動”も混ざってる……!」

 

「混ざってるってどういうことよ!!」

「虚境が霊夢の力を“模倣”してるんだよ!!」

 

「模倣すんなぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 コピー霊夢が手をかざすと、

金色の光が黒に反転し、

周囲の草木が“色を失って”いく。

 

「うわっ……!」

魔理沙が後ずさる。

 

「霊夢の浄化の力を……

“逆方向”に使ってる……!」

麟が叫ぶ。

 

「逆方向って何よ!!」

「霊夢が癒やすなら、コピーは“消す”んだよ!!」

 

「消すなぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 コピー霊夢が無表情のまま言う。

 

「あなたの力は……私が使うべきもの」

 

「使わせないわよ!!

私の力は……私が選んで使うの!!」

 

霊夢の周囲に金色の光が灯る。

 

「霊夢!! 怒りを浄化して!!

“本物の波動”を見せてやれ!!」

魔理沙が叫ぶ。

 

「霊夢!!

コピーは“感情がない”から、

怒りの浄化には絶対に勝てない!!」

麟が続ける。

 

「……そうね」

 

霊夢は深呼吸し、

胸の奥にある怒りを静かに受け入れた。

 

「怒りも、苛立ちも、全部……

私の力よ!!」

 

金色の光が爆発し、

コピー霊夢の黒い光とぶつかり合う。

 

――森が震えた。

 

そして、霊夢の光がコピー霊夢を包み――

 

黒い蝶が一斉に散った。

 

コピー霊夢は、

虚境の残滓となって消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 「……ふぅ……」

霊夢が肩で息をする。

 

「霊夢!! 大丈夫か!!」

魔理沙が駆け寄る。

 

「うん……なんとかね……」

 

麟が測定器を見ながら呟く。

 

「虚境……本気で霊夢の力を奪いに来てる……

次はもっと強いコピーを作ってくるかもしれない……」

 

「コピーなんて何体来ても、

私が本物よ」

 

霊夢は強く言い切った。

 

「……でも、ちょっと怖かったわね」

「怖いって言うなよ霊夢」

「怖かったのよ!!」

 

三人の声が森に響く。

 

――虚境との戦いは、さらに深まっていく。

 

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