東方三界録   作:肩幅ひろし

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第14話: 虚境、霊夢の“コピー”を送り込む

 虚境が消えてから数時間後。

霊夢・魔理沙・麟の三人は、森の奥で次の空白域の調査をしていた。

 

「……静かすぎるな」

魔理沙が周囲を見回す。

 

「うん。虚境の気配はないけど……

“何か”が近づいてる……」

麟が測定器を握りしめる。

 

「何かって何よ」

霊夢が眉をひそめた、その瞬間――

 

森の奥から、霊夢が歩いてきた

 

「……え?」

「……え?」

「……え?」

 

三人が同時に固まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 森から現れた“霊夢”は、

本物とまったく同じ姿、同じ歩き方。

 

ただひとつ違うのは――

表情が、完全に無表情だった

 

「……あなたたち、何してるの?」

 

声も霊夢そのもの。

しかし温度がない。

 

「お、おい霊夢……あれ……お前だよな?」

魔理沙が震える声で言う。

 

「私じゃないわよ!!

私、ここにいるでしょ!!」

 

「じゃああれは……」

麟が測定器を見て青ざめる。

 

「虚境の……“コピー”だ……!」

 

「コピーって言った!?」

霊夢が叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コピー霊夢は無表情のまま、

本物の霊夢をじっと見つめた。

 

「博麗霊夢。

あなたの力を渡しなさい」

 

「渡すわけないでしょ!!」

 

「渡さないなら……奪うだけ」

 

コピー霊夢の周囲に、

黒い蝶が舞い始めた

 

「麟!! あれ……虚境の空白エネルギーだ!!」

「うん……しかも霊夢の“浄化の波動”も混ざってる……!」

 

「混ざってるってどういうことよ!!」

「虚境が霊夢の力を“模倣”してるんだよ!!」

 

「模倣すんなぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 コピー霊夢が手をかざすと、

金色の光が黒に反転し、

周囲の草木が“色を失って”いく。

 

「うわっ……!」

魔理沙が後ずさる。

 

「霊夢の浄化の力を……

“逆方向”に使ってる……!」

麟が叫ぶ。

 

「逆方向って何よ!!」

「霊夢が癒やすなら、コピーは“消す”んだよ!!」

 

「消すなぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コピー霊夢が無表情のまま言う。

 

「あなたの力は……私が使うべきもの」

 

「使わせないわよ!!

私の力は……私が選んで使うの!!」

 

霊夢の周囲に金色の光が灯る。

 

「霊夢!! 怒りを浄化して!!

“本物の波動”を見せてやれ!!」

魔理沙が叫ぶ。

 

「霊夢!!

コピーは“感情がない”から、

怒りの浄化には絶対に勝てない!!」

麟が続ける。

 

「……そうね」

 

霊夢は深呼吸し、

胸の奥にある怒りを静かに受け入れた。

 

「怒りも、苛立ちも、全部……

私の力よ!!」

 

金色の光が爆発し、

コピー霊夢の黒い光とぶつかり合う。

 

――森が震えた。

 

そして、霊夢の光がコピー霊夢を包み――

 

黒い蝶が一斉に散った

 

コピー霊夢は、

虚境の残滓となって消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……ふぅ……」

霊夢が肩で息をする。

 

「霊夢!! 大丈夫か!!」

魔理沙が駆け寄る。

 

「うん……なんとかね……」

 

麟が測定器を見ながら呟く。

 

「虚境……本気で霊夢の力を奪いに来てる……

次はもっと強いコピーを作ってくるかもしれない……」

 

「コピーなんて何体来ても、

私が本物よ」

 

霊夢は強く言い切った。

 

「……でも、ちょっと怖かったわね」

「怖いって言うなよ霊夢」

「怖かったのよ!!」

 

三人の声が森に響く。

 

――虚境との戦いは、さらに深まっていく。

 

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