霊夢軍団を撃破した翌日。
霊夢・魔理沙・麟の三人は、博麗神社で作戦会議をしていた。
「虚境、次は何をしてくるかしらね……」
霊夢が湯呑みを置く。
「霊夢のコピーを量産したんだ。
次はもっとヤバいのが来るに決まってるぜ」
魔理沙が腕を組む。
「うん……虚境の揺らぎが、
“霊夢の感情”に強く反応してる……」
麟が測定器を見ながら呟く。
「感情に反応って……どういう……」
その瞬間――
神社の鳥居が“バキィッ”と割れた。
「なっ……!?」
「鳥居が……!?」
「霊夢、落ち着け!! 今怒ってないよな!!」
「怒ってないわよ!!」
割れた鳥居の向こうから、
ゆっくりと“誰か”が歩いてくる。
◆
現れたのは――霊夢。
ただし、怒りだけを抽出した“純怒霊夢”。
髪は乱れ、
目は赤く光り、
周囲の空間が“怒りの波動”で歪んでいる。
「……あれ……私……?」
霊夢が後ずさる。
「いや、霊夢……あれは……」
魔理沙が震える。
「霊夢の“怒りだけ”を抽出して、
虚境が実体化させた存在だ……!」
麟が青ざめる。
「怒りだけって言った!?
そんなの私じゃないわよ!!」
純怒霊夢は、
霊夢を睨みつけて低く呟いた。
「……お前が……私を……捨てた……」
「捨ててないわよ!!」
◆
純怒霊夢が手を振ると、
金色の浄化エネルギーが“赤黒く反転”して爆発した。
「うわっ!?
霊夢の浄化が……暴走してる……!」
魔理沙が飛び退く。
「霊夢!!
あれは“怒りを受け入れられなかった場合の姿”だよ!!
怒りが浄化されず、ただの破壊衝動になってる!!」
麟が叫ぶ。
「そんなの私じゃない!!」
「でも“君の怒り”から作られてるんだ!!」
「やめてよぉぉぉ!!」
◆
純怒霊夢が霊夢に向かって一直線に突っ込む。
「お前が……私を……否定した……
だから……壊す……!」
「否定してないわよ!!
怒りは受け入れてるわよ!!
むしろ最近は仲良しよ!!」
「霊夢!!
怒りを“受け入れて”!!
怒りを否定すると、あいつが強くなる!!」
麟が叫ぶ。
「受け入れてるって言ってるでしょ!!」
霊夢は胸に手を当て、
深呼吸して怒りを静かに掴む。
「……怒りは……私の一部よ……
あんたは“捨てられた怒り”じゃない……
私がちゃんと持ってる……!」
霊夢の周囲に金色の光が灯る。
◆
純怒霊夢の赤黒い光が揺らぐ。
「……嘘だ……
お前は……私を……捨てた……!」
「捨ててない!!
私は怒るし、苛立つし、ムカつくし!!
でも全部、私の力にしてるの!!
あんたは……私の怒りの“残骸”なんかじゃない!!」
霊夢の金色の光が強まり、
純怒霊夢の赤黒い光を押し返す。
「……やめろ……
受け入れるな……
私は……怒りだ……
壊すための……!」
「違う!!
怒りは壊すためじゃない!!
“前に進むため”の力よ!!」
霊夢が叫ぶと、
純怒霊夢の身体がひび割れ――
赤黒い光が金色に変わり、霧散した。
◆
「……はぁ……はぁ……」
霊夢が膝に手をつく。
「霊夢!! 大丈夫か!!」
魔理沙が駆け寄る。
「うん……でも……
あれは……キツかったわね……」
麟が静かに言う。
「霊夢……
虚境は“君の感情”を武器にしてくる……
次は……もっと深い感情を狙ってくるかもしれない……」
「深い感情って……何よ……」
「例えば……
“悲しみ”とか……
“恐怖”とか……」
「やめてぇぇぇ!!」
――虚境との戦いは、
霊夢の“心の奥”へと踏み込んでいく。