東方三界録   作:肩幅ひろし

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第21話:霊夢の“核心の感情”が明らかになる

 虚境の手が霊夢の胸元へ伸びる。

空白界の空気が震え、

霊夢の視界が白く染まっていく。

 

「……っ……!」

 

「霊夢!!」

「霊夢!!」

 

魔理沙と麟の声が遠ざかる。

霊夢の意識は、深い深い“内側”へと沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霊夢は、白い空間に立っていた。

怒りも、悲しみも、孤独も――

すべてが薄れていく。

 

「……ここ……どこ……?」

 

その時、

霊夢の前に“もう一人の霊夢”が現れた。

 

怒りの霊夢でも、悲しみの霊夢でもない。

ただ静かに微笑む、

“本当の霊夢”

 

「……あなた……誰?」

 

「私はあなた。

あなたがずっと隠してきた“核心の感情”。」

 

「核心……?」

 

霊夢は息を呑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あなたはずっと……

怒りを力に変えてきた。

悲しみを受け入れてきた。

孤独を抱え込んできた。

でも――」

 

もう一人の霊夢は、

霊夢の胸にそっと触れた。

 

「一番隠してきたのは……

“誰かに必要とされたい”という気持ち。」

 

「……っ……!」

 

霊夢の目が大きく見開かれる。

 

「違う……私は……

そんな弱いこと……」

 

「弱くなんてない。

むしろ一番強い感情。

あなたはずっと……

“誰かに必要とされる巫女”でいたかった。

でもそれを言えば、

巫女としての自分が崩れる気がして……

ずっと隠してきた。」

 

霊夢の胸が痛む。

 

「……私は……

誰かに……必要とされたい……?」

 

「そう。

怒りも悲しみも孤独も……

全部その裏返し。

“必要とされない自分”が怖かったから。」

 

霊夢の膝が震える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現実世界。

虚境が霊夢の胸に触れようとしていた。

 

「……見えたわ、霊夢。

あなたの核心……

“必要とされたい”という感情。

それを奪えば……

あなたは空白になる。」

 

「やめろぉぉぉ!!」

魔理沙が叫ぶ。

 

「霊夢!!

その感情を否定しないで!!

“必要とされたい”って気持ちは……

君の力なんだ!!」

麟が必死に叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霊夢は胸に手を当て、

震える声で呟いた。

 

「……そうよ……

私は……

誰かに必要とされたい……

ずっと……ずっと……

そう思ってた……!」

 

その瞬間――

 

白金色の光が霊夢の胸から爆発した

 

「……っ!?

この光……何……!?」

虚境が後退する。

 

「霊夢の“核心の受容”だ……!!

怒りよりも、悲しみよりも、孤独よりも……

ずっと深い……

霊夢の本当の力……!!」

麟が叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霊夢の光は、

虚境の空白を押し返し、

空白界そのものを震わせた。

 

「私は……

誰かに必要とされたい。

でもそれは弱さじゃない。

私が“誰かを守りたい”と思う力の源よ!!」

 

霊夢の光が虚境を包む。

 

「……霊夢……

あなたは……

私の想定を……完全に超えた……」

 

虚境の身体が揺らぎ、

空白界が大きく軋む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「虚境……

あんたの空白なんかに……

私の“心”は奪わせない!!」

 

霊夢が叫ぶと、

空白界の中心が大きく崩れ始めた。

 

「霊夢!!

空白界が不安定になってる!!

虚境を倒すなら……今しかない!!」

麟が叫ぶ。

 

「行くぞ霊夢!!

ぶっ飛ばして帰るぜ!!」

魔理沙がミニ八卦炉を構える。

 

霊夢は二人を見て、

静かに微笑んだ。

 

「……ありがとう。

あんたたちが必要としてくれるなら……

私は何度だって立ち上がるわ。」

 

三人は虚境へ向かって走り出した。

 

――最終決戦が、ついに始まる。

 




 次回、最終話です。
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