東方三界録   作:肩幅ひろし

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後日談:戦いの後の三人の会話

 異変が終わって数日。

博麗神社には、ようやく“日常”と呼べる空気が戻っていた。

 

夕暮れの境内。

朱色に染まる空の下、霊夢・魔理沙・麟の三人が縁側に腰を下ろしていた。

 

「……ふぅ……

終わったわね……」

 

霊夢は空を見上げて深く息を吐いた。

 

「終わったなぁ……

今思い返しても、あれはマジでヤバかったぜ……」

 

「僕も……

測定器が壊れた時は本気で焦ったよ……」

 

「壊したのは虚境でしょ。

あんたじゃないわよ」

霊夢が苦笑する。

 

「いや、霊夢の怒りの波動で壊れた可能性も……」

「言うなぁぁぁ!!」

「ごめん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「でもさ霊夢……

“誰かに必要とされたい”って言った時、

ちょっと可愛かったぜ」

 

「言うなぁぁぁ!!

忘れなさい!!」

 

「いやいや、忘れられるかよ。

あれは名シーンだぜ。

私、ちょっと泣きそうになったし」

 

「泣いてないでしょ」

「泣いてないけど泣きそうにはなったんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「霊夢……

本当にすごかったよ。

怒りも悲しみも孤独も……

全部受け入れて、

最後に“核心”まで……」

 

「……あんた、あれ見てたの?」

「見てたというか……

霊夢の揺らぎが全部伝わってきたんだよ」

 

「やめてよ……恥ずかしい……」

 

霊夢は顔を赤くしてそっぽを向く。

 

「恥ずかしがることじゃないよ。

霊夢の核心は……

とても強くて、優しい感情だった」

 

「……麟……

あんた、そういうこと言うとモテないわよ」

「なんで!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「でもさ霊夢」

魔理沙が空を見上げながら言う。

 

「お前が“必要とされたい”って思ってるなら……

私はこれからも必要とするぜ。

ずっとな」

 

「……魔理沙……」

 

「僕もだよ霊夢。

霊夢がいるから、

僕は境界の研究を続けられる。

霊夢が必要なんだ」

 

「……あんたたち……

ほんと……バカね……」

 

霊夢は目を細め、

夕焼けの空を見上げた。

 

「でも……

ありがとう。

あんたたちが必要としてくれるなら……

私は何度だって立ち上がるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……さて。

異変も終わったし……

お茶でも淹れようかしら」

 

「おっ、霊夢のお茶だ!」

「霊夢の淹れるお茶、好きだよ」

 

「……あんたたち……

そういうところよ。

私が必要とされる理由は」

 

霊夢は少し照れながら、

湯呑みを三つ並べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三人はしばらく沈黙し、

夕暮れの空を眺めた。

 

その沈黙は、

気まずさではなく、

“戦いを乗り越えた者だけが共有できる静けさ”だった。

 

「……なぁ霊夢。

次の異変は、もうちょい軽いやつがいいな」

 

「そんなの、私に言われても困るわよ」

 

「でも……

もしまた何か起きても、

僕たちならきっと大丈夫だよ」

 

「……そうね。

あんたたちがいるなら、きっと」

 

――虚境との戦いは終わった。

でも、三人の日常はこれからも続いていく。

 




 これにて東方三界録、完結です。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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