東方三界録   作:肩幅ひろし

4 / 23
第4話: 霊夢の怒り、境界に干渉する

 霊夢の怒号が森を震わせた瞬間だった。

 

――バチッ!

 

背後の“境界の裂け目”が、まるでビビったように震えた。

 

「……え? 今、裂け目が後ずさりした?」

 

麟が目を瞬かせる。

魔理沙もぽかんと口を開けた。

 

「おい霊夢、今の怒鳴り声……境界に効いてないか?」

 

「効くわけないでしょ!!」

 

霊夢がさらに怒鳴る。

 

――バチバチバチィッ!!

 

裂け目がさらに縮んだ。

 

「効いてるぅぅぅ!!」

 

麟と魔理沙が同時に叫ぶ。

霊夢は一瞬固まり、ゆっくりと裂け目を見る。

 

「……ちょっと待って。

私、怒ると境界が縮むの?」

 

「どうやらそのようだね……」

麟は冷静に分析モードに入る。

 

「霊夢の怒りによって、境界の波動が逆位相で――」

 

「難しい説明はいいから!!」

 

霊夢が怒鳴る。

 

――バチィィィン!!

 

裂け目がさらに縮む。

 

「霊夢が怒鳴るたびに裂け目が閉じてる!」

 

「つまり霊夢の怒りは“境界修復効果”があるってことだな!」

 

「そんな効果いらないわよ!!」

 

霊夢が叫ぶ。

 

――バチバチバチバチィィィ!!

 

裂け目がほぼ閉じかける。

 

「霊夢、お願いだから一回落ち着いて!

このままだと裂け目が“怒りで強制修復”されて、

本来の原因がわからなくなる!」

 

「なんで私の感情が異変を解決しようとしてんのよ!!」

 

霊夢が叫ぶ。

 

――バチィィィン!!

 

裂け目が完全に閉じた。

 

「閉じたぁぁぁぁ!!」

 

三人の声が森に響く。

麟は頭を抱え、魔理沙は腹を抱えて笑っている。

 

「霊夢、すげぇな! 怒りで異変解決とか新しいぜ!」

 

「新しくていいことじゃないわよ!!」

 

霊夢は真っ赤な顔で叫ぶ。

 

――バチッ。

 

今度は、閉じた裂け目の“跡地”が震えた。

 

「……え、まだ反応するの?」

 

「霊夢の怒り、境界に刻まれたんじゃないか?」

 

「刻まれてたまるかぁぁぁ!!」

 

霊夢の怒号が森に響き、

境界の跡地が“ぺこっ”と凹んだ。

 

「……霊夢、怒りの波動、強すぎない?」

 

「麟、あんたも魔理沙も!

もうちょっと私を怒らせないようにしなさいよ!!」

 

「いや、霊夢が怒ると異変が解決するなら、

むしろ怒らせた方が――」

 

「言うんじゃない!!」

 

霊夢の怒りが炸裂し、

森の木々が一斉に“ザワッ”と揺れた。

 

――境界異変は収束した。

だが、霊夢の怒りはまだ収束していない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 境界の裂け目は霊夢の怒りで完全に閉じた。

しかし、問題はここからだった。

 

「……はぁ。もう疲れたわ。なんで私の怒りで異変が解決するのよ」

 

霊夢が肩で息をしていると、麟が静かに一歩前へ出た。

 

「霊夢、ちょっといい?

さっきの現象、僕なりに分析してみたんだけど――」

 

「嫌な予感しかしないんだけど」

 

霊夢の眉がピクリと動く。

しかし麟は気にせず、淡々と説明を始めた。

 

「霊夢の怒りは、境界波動に対して“逆位相の干渉”を起こしてるみたいなんだ。

つまり霊夢の怒りの周波数が境界の乱れと――」

 

「周波数って言った!?」

 

霊夢の声が一段階低くなる。

麟は気づかず続ける。

 

「うん。怒りの強度と声量が比例して、境界の歪みが――」

 

「声量って言ったわね!?」

 

霊夢のこめかみに青筋が浮かぶ。

魔理沙は後ろでニヤニヤしている。

 

「さらに、霊夢の怒りには“結界修復効果”が付随していて、

これはおそらく霊夢の精神エネルギーが――」

 

「精神エネルギーって言ったわねぇぇぇ!?」

 

霊夢の怒りが爆発した。

 

――バチバチバチバチィィィ!!

 

閉じたはずの境界の跡地が、再び震え始める。

 

「麟! あんたねぇ!

人の怒りを科学的に分析してんじゃないわよ!!」

 

「えっ、だって現象として興味深くて……」

 

「興味深くてじゃない!!」

 

霊夢の怒号が森を揺らす。

麟は珍しく後ずさった。

 

「霊夢、落ち着いて。これは純粋な研究で――」

 

「研究対象にすんなぁぁぁ!!」

 

怒りの波動が爆発し、境界の跡地が“ぺこっ”と凹む。

 

「麟、お前……霊夢の怒りを数値化しようとしてるだろ?」

 

「してないよ! いや、ちょっとはしてるけど!」

 

「してるじゃないのよ!!」

 

霊夢の怒りがさらに跳ね上がる。

 

「だって霊夢の怒り、明らかに“異常値”なんだよ。

普通の人間の怒りじゃ境界は反応しないし――」

 

「普通じゃないって言ったわね!?」

 

「いや、霊夢は普通じゃないよ。

だって博麗の巫女だし、境界に干渉できるし――」

 

「褒めてるのかバカにしてるのかはっきりしなさい!!」

 

「両方かな」

 

「両方なのねぇぇぇぇ!!」

 

霊夢の怒りが最高潮に達し、森全体が震える。

魔理沙は腹を抱えて笑っている。

 

「麟、お前ほんと霊夢の扱い下手だな!」

 

「魔理沙、笑ってないで助けてよ!!」

 

「無理だぜ。霊夢、今“怒りの巫女モード”に入ってるからな」

 

「そんなモードいらないわよ!!」

 

霊夢の怒号が炸裂し、

境界の跡地が完全に“消滅”した。

 

「……霊夢、怒りで空間消したよ」

 

「麟、黙りなさい」

 

「はい」

 

麟は背筋を伸ばして黙った。

魔理沙はまだ笑っている。

 

「……あんたたち、ほんとに私の寿命縮める気?」

 

「霊夢、怒りで異変解決できるんだから、むしろ寿命伸びてるんじゃ――」

 

「言うんじゃない!!」

 

霊夢の怒りが再び爆発し、

森の木々が一斉に“ザワッ”と揺れた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。