東方三界録   作:肩幅ひろし

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第6話:博麗霊夢の“静かに怖い説教タイム”開幕

 逃げようとした麟と魔理沙の肩に、

ふわりと白い袖が触れた。

 

「……捕まえた」

 

霊夢の声は、優しい。

優しいのに、背筋が凍る。

 

「ひっ……」

「霊夢、あの……これは誤解で……」

 

「誤解じゃないわよ?」

 

霊夢は二人を森の切り株の前に座らせる。

まるで“反省会の椅子”のように見える。

 

「じゃあ、始めましょうか」

 

「な、何を……?」

麟が震える声で聞く。

 

「説教よ?」

霊夢はにっこり微笑む。

その瞬間、森の空気が“ピシッ”と凍りついた。

 

 

 

 

 「まず魔理沙。

なんで光るキノコを踏んだの?」

 

「いや、あれは……反射的に……」

 

「反射的に危険物踏む人がどこにいるのよ?」

 

「ここに……」

 

「自覚あるなら直しなさい」

 

「はい……」

 

魔理沙がしゅんと肩を落とす。

麟は横で震えている。

 

 

 

 

 「次、麟」

 

「ひっ……はい……」

 

「なんで私の怒りを“周波数”とか“波動”とか言ったの?」

 

「そ、それは……科学的興味で……」

 

「人の怒りを研究対象にするんじゃないわよ」

 

「す、すみません……」

 

「あと、怒りの強度を数値化しようとしたわよね?」

 

「……はい」

 

「やめなさい」

 

「はい……」

 

麟は完全にしおれている。

魔理沙が小声で囁く。

 

「麟、お前……霊夢の怒りを数値化しようとしたのかよ……」

 

「だって……興味深かったから……」

 

「興味深くてじゃない!!」

 

霊夢のツッコミが炸裂し、

森の木々が“ビクッ”と揺れた。

 

 

 

 

 「で、二人とも」

 

「「はい……」」

 

「なんで異変調査中に私を怒らせるの?」

 

「いや、それは……」

「不可抗力で……」

 

「不可抗力じゃないわよ。

魔理沙は突っ走るし、麟は分析しすぎるし……」

 

霊夢は深いため息をつく。

 

「……私、異変解決しに来たのよ?

なんで“怒りで境界を閉じる巫女”になってるのよ?」

 

「霊夢の怒り、すごかったぜ……」

「境界が怯えてたよ……」

 

「褒めてないわよね?」

 

「「褒めてます!!」」

 

二人が即答する。

霊夢はしばらく無言で二人を見つめ――

 

「……まあ、反省してるならいいわ」

 

「「してます!!」」

 

「じゃあ、次はちゃんと協力してね?」

 

「「はい!!」」

 

霊夢がようやく微笑むと、

森の空気がふっと軽くなった。

 

 

 

 

 「……で、麟」

 

「はい……?」

 

「さっきの“怒りの周波数”の続き、聞かせて?」

 

「えっ、聞きたいの!?」

 

「怒ってない時なら聞いてあげるわよ?」

 

「じゃあ喜んで……!」

 

「おい麟、また怒らせる気かよ……」

 

魔理沙が呆れた声を出すが、

霊夢はもう怒っていなかった。

 

――こうして、博麗霊夢の“静かに怖い説教タイム”は幕を閉じた。

 

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