巨大化した境界の本体が、森を揺らすほどの圧力を放つ。
空間がひび割れ、風が逆流し、三人の影が揺れた。
「……くっ、強いわね」
霊夢が額の汗を拭う。
「麟、何かわかったか!?」
「境界本体は“感情エネルギー”に反応してる……!
特に霊夢の怒りに強く反応するんだ!」
「つまりどういうことだよ!!」
「霊夢の怒りが“武器になる”ってことだよ!!」
「武器って言った!?」
霊夢が振り返る。
「霊夢、怒りをコントロールできれば……
境界本体に“直接干渉”できるはずなんだ!」
「ちょっと待って。
私、怒りを武器にする巫女なの?」
「そうだぜ霊夢! 怒りの巫女だ!」
「言い方ぁぁぁ!!」
霊夢が叫んだ瞬間――
境界本体が“ビクッ”と震えた。
「……あ、効いてる」
「霊夢の怒り、やっぱり境界に刺さるんだよ……!」
「刺さってほしくないわよ!!」
◆
境界本体が空間をねじり、
巨大な裂け目を三人に向けて放つ。
「来るよ!!」
麟が叫ぶ。
「くっ……!」
霊夢はお札を構えたが、
その手が一瞬だけ震えた。
「……怒りを、コントロール……ね」
霊夢は深呼吸し、
自分の胸の奥にある“怒り”を静かに掴む。
魔理沙が不安そうに見つめる。
「霊夢、大丈夫か……?」
「大丈夫よ。
怒りに飲まれるんじゃなくて……
怒りを私が握るの。」
霊夢の周囲の空気が、
ふわりと赤く揺らめいた。
「……これが……霊夢の怒りの波動……?」
麟が息を呑む。
「怒ってるわけじゃないのよ。
“怒りを使ってる”だけ」
霊夢の目が鋭く光る。
◆
境界本体が巨大な腕を振り下ろす。
「霊夢、避けろ!!」
「避けないわよ」
霊夢は一歩前へ踏み出し――
怒りの波動を拳に集中させた。
「――っはぁぁぁ!!」
霊夢の拳が空気を裂き、
境界本体の腕に直撃する。
――バチィィィィン!!
境界本体の腕が“ひしゃげた”。
「お、おい……霊夢、今……殴ったのか?」
「殴ったわよ」
「巫女が殴るなよ!!」
「怒りを使うなら殴るのが一番早いのよ!!」
霊夢が叫ぶと、
怒りの波動がさらに強くなる。
「麟、どうなってるんだよこれ!!」
「霊夢の怒りが“境界干渉力”に変換されてる……!
つまり霊夢は今、境界本体に“直接ダメージ”を与えられる!!」
「つまりどういうことだよ!!」
「霊夢が最強ってことだよ!!」
「最強なのねぇぇぇ!!」
霊夢が再び拳を構える。
「……あんたたちのせいで怒りを覚えたんだから、
責任取って手伝いなさいよ!!」
「「はい!!」」
◆
「麟、弱点は!?」
「境界本体の“揺らぎの核”が胸部にある!
霊夢の怒りなら貫ける!!」
「魔理沙、援護お願い!」
「任せろ!! 怒りの巫女のサポートは私に任せな!!」
「怒りの巫女って言うなぁぁぁ!!」
霊夢が怒鳴ると、
怒りの波動がさらに強くなり、
境界本体が“ビクッ”と震えた。
「……よし。
怒りを……制御して……!」
霊夢は拳を握りしめ、
境界本体の胸部へ一直線に飛び込む。
「――これで終わりよ!!」
怒りの波動をまとった拳が、
境界本体の核へと突き刺さった。
――空間が、光に溶けた。