東方三界録   作:肩幅ひろし

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第9話:霊夢の怒り制御、暴走開始

 霊夢の拳が境界本体の核を打ち抜き、

空間が光に溶けた――その直後。

 

「……はぁ……はぁ……」

霊夢は肩で息をしながら拳を握りしめていた。

 

「霊夢、大丈夫か?」

魔理沙が駆け寄る。

 

「うん……大丈夫……のはず……なんだけど……」

 

霊夢の周囲の空気が、

赤く揺らめいたまま消えない。

 

「麟、これ……霊夢の怒りの波動、まだ収まってないぞ」

「うん……むしろ……増えてる……?」

 

「増えてるって言った!?」

霊夢が振り返る。

 

その瞬間、怒りの波動が“ボッ”と膨れ上がった。

 

「ひっ」

魔理沙が一歩下がる。

 

「霊夢、落ち着いて!

怒りを制御してるんだよね!?」

 

「してるわよ!!

……してるつもりよ!!」

 

霊夢が叫ぶと、怒りの波動がさらに強くなる。

 

「麟、これどうなってんだよ!!」

「霊夢の怒り制御が……逆に“怒りの増幅回路”になってるんだよ!!」

 

「増幅すんなよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 霊夢の怒りが高まるたびに、

周囲の空間が“ビキビキッ”とひび割れた。

 

「ちょっと待って!

私、怒ってないわよ!?

なんで怒ってないのに空間が割れてるのよ!?」

 

「霊夢、それ怒ってる時のセリフだぜ」

「怒ってないって言ってるでしょ!!」

 

――バチィィィィン!!

 

霊夢の怒号に反応して、

空間が“さらに”割れた。

 

「麟!! 霊夢の怒り、どうにかしろ!!」

「無理だよ!!

怒りの波動が境界と共鳴して、

“怒り=エネルギー”になってるんだ!!」

 

「つまりどういうことだよ!!」

「霊夢が怒るほど世界が壊れる!!」

 

「壊すなぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 「ちょっと!

私、怒ってないって言ってるでしょ!!

怒ってないのに!!」

 

霊夢が叫ぶたびに、

怒りの波動が“ボンッ”と膨れ上がる。

 

「霊夢、怒ってないって言うのが一番怒ってる証拠だぜ」

「魔理沙、黙りなさい!!」

 

――バチバチバチィィィ!!

 

怒りの波動が爆発し、

境界本体の残滓が“ビクッ”と震えた。

 

「麟、霊夢の怒り……境界本体の残りカスにまで効いてるぞ」

「うん……霊夢の怒り、もはや“概念攻撃”になってる……」

 

「概念攻撃って言った!?」

霊夢が振り返る。

 

怒りの波動がさらに強くなる。

 

「麟!! 霊夢の怒り止めろ!!」

「無理だよ!!

霊夢の怒りは霊夢にしか止められない!!」

 

「霊夢!! 落ち着け!!」

「落ち着いてるわよ!!」

 

――空間が“バキィィィン”と割れた。

 

「落ち着いてないぃぃぃ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 霊夢の周囲の空気が赤から白へ、

そして“無色の光”へと変わり始めた。

 

「麟……これ……どういう状態だ……?」

「怒りが強すぎて……

色を失ってるんだよ……!!」

 

「怒りが色を失うなよ!!」

 

霊夢は震える声で呟く。

 

「……私……どうすればいいの……?」

 

麟は必死に答える。

 

「霊夢!

怒りを“抑える”んじゃなくて……

“手放す”んだ!!」

 

「手放す……?」

 

「怒りを握ってるから暴走するんだよ!!

怒りを“流す”んだ!!」

 

霊夢は目を閉じ、

深く息を吸い――

 

「……怒りを……流す……」

 

怒りの波動が、

ふっと弱まった。

 

「よし……その調子だ霊夢!!」

「霊夢、頑張れ!!」

 

しかし――

 

境界本体の残滓が、

霊夢の怒りの波動に反応して“再起動”し始めた。

 

「麟!! あれ動いてるぞ!!」

「霊夢の怒りが弱まったことで……

“今なら勝てる”って思ったんだよ!!」

 

「思うなぁぁぁ!!」

 

霊夢の怒り制御は、

まだ終わっていなかった。

 

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