念願の異世界ハーレム、メンバーが全員“地雷”だったんだが? 作:ぷるぷるうさぎ
今回から「念願の異世界ハーレム、メンバーが全員“地雷”だったんだが?」を書かせてもらいます”ぷるぷるうさぎ”と申します!
拙い文章ですが、どうかお楽しみください!
転生したんだが?
僕の名前は、
物心ついた時から、僕の世界は白い天井と消毒液の匂いがする壁、そして四角く切り取られた空を映す窓だけで構成されていた。
生まれつきの重い病気。それが、僕の人生に与えられた唯一にして絶対の「設定」だった。
友達と走り回ることも、部活に汗を流すことも、好きな子と並んで下校することも。同い年の誰もが当たり前に享受する青春(イベント)は、僕の人生(ゲーム)には実装されていなかった。僕に許されたのは、ベッドの上でただ静かに時間が過ぎるのを待つことだけ。
そんな僕にとって、唯一の救いが「物語」だった。
漫画、アニメ、そしてライトノベル。
ページをめくれば、画面を点ければ、そこには無限の世界が広がっていた。剣と魔法が乱舞し、ドラゴンが空を舞い、個性豊かな仲間たちとまだ見ぬ世界を冒険する。そんなファンタジーの世界に、僕は心を奪われた。
中でも、僕が特に強く憧れたもの。
それは、主人公の周りに自然と可愛い女の子たちが集まってくる、いわゆる「ハーレム」という状況だった。
馬鹿げていると、笑うだろうか。
でも、僕にとってはそれは何よりも眩しい光景だったんだ。病弱で誰かに迷惑をかけることしかできない僕とは違う。主人公は強くて、優しくて、頼りになる。だから、彼の周りには人が集まる。
騎士の少女がその背中を預け、魔法使いの少女がその未来を託し、エルフの少女がその永遠にも等しい時間の一部を彼と共に過ごすことを選ぶ。
それは、ただ女の子にチヤホヤされたいという単純な欲望だけじゃない。誰かに必要とされ、誰かを守れるだけの力を持ち、そして、共に笑い合える仲間がいる。僕がこの人生で決して手に入れることのできない、全ての「当たり前」が、その「ハーレム」という言葉には詰まっているように思えたんだ。
「もし…もし、来世があるのなら…」
意識が薄れていく中で、僕は何度も神様に祈った。
今にも消えそうな、か細い声で。
「どうか、健康な身体をください」
「剣と魔法の、ファンタジーの世界に行きたいです」
「そして…もし、もし叶うのなら…」
僕も、誰かを守れるくらい強くなって。
頼りになる仲間たちと、冒険をして。
可愛い女の子たちに囲まれて、毎日、笑って過ごしたい。
「ハーレムを…作ってみたい、です…」
それが、僕のたった一つの、そして、人生最後の願いだった。
次に目を開けた時、僕の目の前に広がっていたのは見慣れた白い天井ではなかった。
木目の美しい見知らぬ宿屋の天井。消毒液の匂いではなく、焼きたてのパンと、香ばしいエールの香り。
そして、僕の身体は──驚くほど、軽かった。
ゆっくりと、自分の手を見る。
長い闘病生活で、骨と皮だけになっていたはずの腕には、ちゃんと筋肉がついていた。ベッドから起き上がり、自分の足で床を踏みしめる。
立てる。歩ける。走れる!
「夢…じゃない…!」
窓を開けると、そこには僕がずっと夢見ていた光景が広がっていた。
尖塔のある石造りの街並み。行き交う獣の耳を生やした亜人の少女。腰に剣を下げた屈強な冒険者たち。
そして、僕の脳内に直接声が響いた。
《──あなたの願い、聞き届けました》
《新たな世界での生を、存分に謳歌してください》
《ささやかな贈り物として、一つだけ特別な力(スキル)を授けましょう》
その声と共に、僕の頭の中に一つの単語が浮かび上がる。
【絶対的庇護欲(エンジェル・プロテクション)】
──誰かを「守りたい」と強く願う時、その対象にあらゆる攻撃を防ぐ、絶対的な防御結界を張ることができる。
「守るための、力…」
僕は震える手で自分の胸を押さえた。涙が、止まらなかった。
ありがとう、神様。本当に、ありがとうございます。この力があれば、きっと、僕はもう誰かの重荷じゃない。
僕が、誰かを守れる。
僕が、誰かの力になれる。
「よし…!」
僕は涙を拭うと、固く拳を握りしめた。
見ていてくれ、前世の僕。今度こそ、僕は手に入れるんだ。
健康な身体。頼れる仲間。
そして、心から笑い合える最高のハーレムを!
純粋な希望と、ほんの少しの下心。
そして、致命的なまでの女性への免疫の無さを胸に、僕、ユウキの波乱万丈な異世界ライフが、今、幕を開けた。
──この時の僕は、まだ知らなかった。
僕の純粋な願いが、この世界で最も厄介な「地雷」たちを磁石のように引き寄せてしまうことになるということを。
そして、僕の夢見たハーレムが、毎日胃を痛める地獄のような日々の始まりに過ぎないということを。
お読みいただきありがとうございました!
初回はプロローグ的な感じで短いですが、今後は長い内容でお届けいたします!