亜人種と俺   作:iw

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2話

終礼が終わり、それぞれが部活や帰宅の準備を進める中隣から声を掛けられる。

 

「レンは今日もバイトだったよね?」

 

「エレナは演劇部だろ、どのみち暇じゃねぇだろ」

 

「いや、たまには練習観にこないかなって誘うつもりだっただけだよ」

 

「まあ、あれだ。暇な時にでも観に行くさ」

 

「・・・約束だよ」

 

何時にも増して子供っぽい顔で嬉しそうに言う彼女の微笑みしか目に映らなくなる。

やばい、惚れ直しそう

どうにか心を保ち、別れを言うと足早にバイト先に掛けて行った。

 

「いらっしゃいませ。メニューはお決まりですか?」

 

慣れた手付きで接客を行い、商品をお客様の席に運ぶ。

最初は、各種族に対応したメニューの多さに絶句したがなれてしまえばどうと言うことはないのだろう。

 

「レン君も慣れてきたね」

 

「本当、最初の頃は緊張してたけどもう大丈夫そうね」

 

「いや、まだまだですよ。タクさん、サキさん」

 

この店は実父の知り合いが経営しているお店で自分と同じ人間種である御家族のお店だ。

タクさん、サキさん、そして娘のリナちゃんの3人家族の経営する店に高校進学を機にバイトさせてもらっている。

タクさんの入れる紅茶とコーヒー。そしてサキさんの作る料理が有名な喫茶店には、昼夜問わず色んな種族のお客様が来店される。

自分も幼い頃から通っており、慣れ親しんだ味である。

 

「いやーそれにしても助かるよ。レン君が入ってくれたお陰で店も前より回るようになったし、やはりバイトを増やした方がいいのかもね」

 

「まあ、昔から私達夫婦でやってきたけどここまで多くの人が来てくれるようになって、人手も足りなかったものね」

 

「まあ、正直TVでも紹介される人気店ですからね。お客様も多いからそれもいいのかもしれないです」

 

なんて雑談をしているとドアベルが鳴り、急いで出迎えに向かう。

 

「ただいまレンにぃ〜」

 

「リナちゃんおかえり、塾お疲れ様」

 

ドアが開くと共に胸に飛び込んでくるのは、一人娘のリナちゃんだった。

中学三年生にもなり塾で疲れてるだろうに元気だなと苦笑いする。

 

「リナちゃん、女の子が歳上のお兄さんに抱きつくのはやめなさい。男の子はね、距離の近い女の子に勘違いしてしまう哀れな生き物なんだよ」

 

この子の距離感の近さに他の子が打ちのめされる前に矯正しなくては、きっと不憫な思いをする子も多いだろうと思い説得する。

 

「えぇ〜お兄ちゃんだけにしかしないもん、それにリナが高校受かったら晴れてレンにぃの後輩なんだかね!」

 

「いや、俺相手でもダメなものはダメだよ」

 

困った顔を浮かべながらそう答え、助けを求めるように夫妻を見つめるが、そのやり取りを微笑ましく見てるだけで助け舟は一向に来ない。

どうにか言いくるめ、閉店準備をする頃にはもう20時過ぎとなっていた。

 

「えぇ〜夕飯食べてけば良いのに〜」

 

「いや、流石にそこまで御厄介には慣れないよ。てか、リナちゃんは勉強頑張りなよ。うちの学校偏差値は高いし、人気校なんだから頑張らないと落ちるよ」

 

そう言って喫茶店を後にし、帰路につく。

夜は街灯があるとはいえ、やはり何処となく不安を感じさせる。

鞄から香水を取り出して、振り掛ける。

自分の体質で亜人種の異性を惹きつけるフェロモンがあるらしい。

人間種に稀に見られる特異体質だか、この体質は常に香水で誤魔化さないと大変な目に遭う。

興奮した亜人種を相手にしたら脆い人間の身体など耐え切る事もできずポックリと逝くのだから。

昔それが原因で幼いエレナに血を吸われすぎて以来、相手も自分も傷つけてしまうこの体質を疎ましく思う毎日だ。

 

「おにぃ捕まえた」

 

「ヒィッ・・・ってニナかよ、ビビらせんなよ。死んだと思っただろうがよ」

 

忍足どころか気配もねぇ。

気付けば後ろから抱きしめられる。

フワフワの尻尾は足に巻き付けられ。背中には大きく柔らかい感触が二つある。

妖狼の人狼族である希少な種族の義妹が後ろから現れてビビらされる。

いつもクールで口数少ない義妹は何故かスキンシップはとても激しい。

 

「・・・・・リナの匂いがする。抱きしめられたでしょ、後蝙蝠女の匂いも。血吸われたんだ」

 

無言で匂いを嗅いでくるかと思えば、身体を抱き寄せ匂いを付けてくる。

部活終わりの彼女の香水と、ほのかに香る汗と甘い体臭を感じる。

マーキングして上書きされる頃には制服もシワだらけである。

満足した彼女は無言で手を繋いでくるので、そのまま繋いであげると顔が綻んで尻尾を振りながら一緒に歩いていく。

嬉しそうな妹に何を言っても無駄だろうと思ってそのまま帰路につくことにした。

相変わらず独占欲に溢れた可愛い妹だが最近甘やかし過ぎている気がしなくもないが、夜にベッドに入り込み散々マーキングして、噛み跡付けるのだけはどうにかしないとと頭を捻る毎日である。

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