こういうシチュエーション癖です。あしからず
カーテンから漏れる光で目が覚める。
眩しさに目を擦り、起き上がると隣から寝息が聞こえる。
起こさないようベッドを抜け出そうとするが、小さな物音に身を捩って起き上がってきた。
「んぁ〜おにぃもう朝?まだ眠いよ」
「ニナ、お前また潜り込んできたな。部屋あるんだから自分の部屋で寝ろよ。お前もう中3だから、ブラコンが過ぎるのもどうかと思うよ」
起き抜けに妹を軽く叱りつけ、カーテンを開く。土曜の朝日は何故か平日の朝日よりも清々しい気がする。
というか、枕元のカーテンを開くときに確認したがこの妹脱いでないか。
存在感を大きく主張する二つのたわわな膨らみを覆うスポーツブラに目がいく。
なんというか凶器でしかない。
ある時、妹の走る姿にデカいなと溢した馬鹿な仲間に一生そんな目で見れないよう報復としてソイツのの彼女に密告した時は何故か校舎裏から大きな悲鳴と共にボロボロになって目も当てられない姿の友人とそれを甲斐甲斐しく世話している友達の彼女を見た。
明らかにマッチポンプな介護であったがウチの可愛い妹をそんな目で見る阿呆には中指を立てざまぁと文句だけ垂れたのは記憶に新しい。
「お前なんで脱いでんの?」
「おにぃと寝ると暑くなるから先に脱いでた。こうしたらおにぃのこと全身で感じられるから好き」
そう言われて開いた口が塞がらなくなる。
シスコンであるのは多少認めるが妹よこの異常なまでのスキンシップは本当にけしからん。
目の保養になった。ありがとう
アイツではまず見えない谷間に拝みたくなる。
脳内に幼馴染のスレンダーの身体が浮かべ、一歳でこれだけ変わるのかと思ってしまった。
煩悩にまみれた頭の中をリセットするかの如く頭を振りとりあえず目の前の光景から片付ける。
「いいから、服着て。そして、部屋を出ろよ。俺だって着替えたいんだから」
「ん、・・・着せて」
妹が床に投げ捨てたら服を指差してから、ニヤリと笑い手を広げる。
悪魔かこの女、いや人狼だったわ。
明らかに罠である。そんなことをしてしまえば際限ないおねだりを受けさせられる。
血に飢えた猛獣のギラついた目がコチラを見つめ続けるが、堪え兼ねてその顔に着替えを放る。
「おにぃはいけず」
「なんとでも言え。服も一人で着られないような妹を持った覚えはない」
そう言ってコチラも妹に背を向け、寝巻き代わりのシャツとズボンを着替える。
背中に視線を感じる。
明らかにガン見しているな妹め
無言で脱いだ背中には幼馴染の付けた2本の牙の痕が首筋につけられている。
同族に対する自分のモノだと照明する為につけられているらしい。
意味はボクのだから勝手に血吸ったらコロス
らしい。非常におっかない吸血鬼の一族の独占欲である。ちなみに君が仮に吸われたとしたら、キミには一生血を吸われたことを後悔してもらうし、今後はずっと飼い殺すとハイトーンの入ってない目で両肩を掴まれ言われた。
ゾクゾクきてしまった自分はドMなのかと性癖を捻じ曲げられた気がしてならない。
そんな事を考えていると後ろから伸びた手に引き寄せられる。
ベッドに倒れ込む形で引き寄せた相手はあろう事かその反対の首筋に齧り付く。
「ぐっ、痛えよ、何で思いっきり噛み付いてんの?死ぬが俺」
香水は念の為夜に自分に吹きかけたが匂いが飛んだかと焦る。
首筋噛みちぎられれば最期の時である。
慌てて後ろから噛み付く妹の手を握ると強く握り返され、彼女の爪が目に入る。
爪が手に刺さらないように握られてるのを確認して、どうやら匂いに当てられた訳ではないことを悟る。
「落ち着いた?」
無言で首筋から口を離す妹に語りかけると、後ろから抱きしめられる。
「ごめんねおにぃの事噛んじゃって、・・・・でもさ・・・・・」
言い淀む彼女には何も叱れない。
独占欲から来たマーキングだろう、軽く首筋に手を当てると薄らと血が滲む。
机の上にあるティッシュに手を伸ばし何枚か取り、噛み跡を抑えるようにあてる。
痛みに対して傷は然程酷くないのか、血が止まる。加減はしてくれいたのだろう。
「満足した?」
「ん、ごめんね痛かったよね」
抱きしめられた身体が解放されたのを確認して、妹に向き直る。
叱られる子犬かという程、大きな身体を縮こませ尻尾抱きしめる彼女を見つめ、軽くハグをした後に、おでこに口付けする。
そんな一連の動作を受けた義妹が顔を真っ赤にした後に枕に顔埋め、布団を被り全身を隠す。
その姿を見て満足し、幼馴染から貰った化膿止めと、血止めの効能がある塗り薬を首筋に塗り、部屋に置いてある救急箱から取り出したガーゼを傷口に貼り付ける。
その間も義妹はというと布団に隠れて完全ガードの姿勢を貫き続けていた。
「さっさと、起きて準備しなよ。午後から女バスも練習だろ。遅れんなよ」
「おにぃ出掛けるの?・・・ねぇ、蝙蝠女のとこでしょ」
「そういうこと〜じゃ、また夜にな」
「おにぃ・・・なかなか手に入らないエモノって昂っちゃうから本当に」
最期の言葉は聞かなかったことにしたいドアの隙間から目があった彼女はまさしく狩人の目をしていた。
身震いしながら身支度を整えて家を出る。
今日は幼馴染の家にご招待を受けているのだから遅刻したらアイツはきっと何かと理由をつけて血を吸おうとするだろう。
吸血鬼が週一回の吸血で済むのは知ってるし、何より血液パックを定期購入してるはずだから本当はこうやって直接血を吸わなくていい筈だ。
だが、彼女が言うには俺の血が一番らしい。
他人の血を吸うより好きな人の血を吸うのが一番だと血液パックを片手にそう言っていた。
最近に至っては週3で手作り弁当を渡される。良い血液は良い食事と生活らしい。
毎日のように早く寝なさいと連絡してくる幼馴染にもはや俺はアイツに世話される子供かよと思ってしまう。
そうこう思い耽っていると大きな門とその奥に広がる立派な庭園と屋敷が広がった場所に辿り着く。
「お待ちしていました篠木様。お嬢様がお待ちしています。さあ、どうぞ」
「ありがとうございます」
頭を下げて、何百キロとありそうな門を開けるワニの獣人種のガードマン。
ガタイの良さとこの強面な顔に反しては趣味はお菓子作りという可愛らしい一面と、子煩悩なパパである。
以前、顔を綻ばせながら家族と過ごしている姿を見てギャップが凄かった。良いパパさんである。
開いた門を潜り、屋敷の大きなドアの前に立つとメイドや執事といった方々から総出のお出迎えを受け恐縮する。
毎度これをされるとやりづらいのだがこれも仕事なんだと思い挨拶を返して、幼馴染の部屋へと案内された。
ノックを3回重厚感のあるドアを叩くと
「どうぞ入ってくれ」
その声に応えるように部屋に入る。
昔から変わらない部屋のソファーに寛ぐ彼女が立ち上がり歓迎してくれる。
ラフな格好でありながら彼女のスタイルと顔の良さを引き立てる。
彼女のファンクラブが見たら卒倒モノだろうよ
彼女に招かれソファに座り、手づから作ったクッキーに舌鼓をうち、紅茶を飲む。
彼女と過ごすようになって紅茶や、コーヒーといった嗜好品に興味を持つようになり今のバイトをしようと思うに至った訳だが、やはり高級品は違う。
香りと深みが違う。
他愛無い話を広げ、世に言うお家デートを繰り広げる。
大型モニターには今彼女が演劇部として演じる予定の舞台を映画化したものだ。
演技なんてものは自分にはよく分からないが、熱心に語る彼女の姿に自分も頬が緩む。
そして、その一瞬ふと目が合い彼女にスイッチが入った。
「今日は本当は吸うつもり無かったけど・・・キミがいけないんだよ、そんな顔しちゃったら映画に集中出来ないじゃんか」
そう言って頬を撫でて、唇を重ねる。
その様一つ取っても腹立たしいくらいに様になる。
目を瞑り、唇に当たる柔らかな感触。
無意識に彼女を抱き寄せ、手を握ると優しく握り返された。
彼女のこれからの行為に同意したという知らせになる。
唇を離しやや、口惜しそうな顔をした彼女が軽く咳払いをするとそそくさと立ち去る足音がいくつか。
どうやら見られていたらしい。
「ねぇ、ボクの王子様・・・・・服脱いでよ」
「脱がしてくれねぇの?」
「そっちが趣味ならそうするよ・・・・どっちがいいの?」
「リードされるのも良いけど、やっぱり男だからね、リードしたいかな。・・・・・さぁ、お姫様お手をどうぞ」
軽く咳払いをして片膝をついて手を差し出すと、彼女はその手を嬉しそうに取ってくれる。
その手を引いて彼女のベッドに向かって行った。
まあ、言うまでも無いが義妹に噛み跡でマーキングされてるの見た彼女は、リードされるなんて話はなくなり嫉妬で少しだけ痛い目に遭わされた。
我ながらいつか悲惨な最期を迎えるのかもしれない。
馬乗りになった彼女の吸血鬼特有の少し冷たい体温を感じながら自分のタラシっぷりに自嘲するしかなかった。
帰る頃には吸血痕どころか赤く、蚊に刺されたような痕が見える所にいくつもあり、焦ってコンシーラー使ってるのを義妹に見られたのは運の尽きだったのかもしれない。