亜人種と俺   作:iw

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セキロウと仕事に揉まれます。
アズレンとエペに時間吸われてます。


4話

キーンコーンカーンコーン

学校の鐘の音がなり、終業を伝える。

 

「よーし、じゃあ今日までの範囲がテストにでるからな。みんなちゃんと勉強しとけよ」

 

数学の教師が黒板消しながらそう言っているのを聞いて、テスト範囲にマーカーを入れた。

テスト1週間前もう間も無くテスト期間の始まりである。

 

「なぁ、レン勉強会しようぜー、鬼のヤラ先が今回もバスケ部でやるらしいぞ」

 

「嫌だよ、俺もうバスケ部じゃねぇし、ていうかどうせ教えてほしいんだろシャナ?」

 

シャナと呼ぶ犬型の獣人にそういうとバツが悪そうに頭を掻く。

 

「まあ、コイツはレンに頼らなきゃ赤点ギリギリだからな助けてやれよ、赤点取ったら練習参加出来なくなっちまうからよ」

 

そう言って後ろから肩を組んできたのは鳥人族のリツである。

シャナとリツは昔からのバスケ仲間で腐れ縁の間柄である。

 

「悪いが今回ばかりはパスだ、気まずいったらありゃしねぇし、ヤラン先生には社会の授業のタイミングでも部活に戻ってこないのかなって声掛けられる始末さ」

 

バスケ部の顧問のヤラン先生もやはり気に掛けてくれているのだろう。怪我が治ったのなら息抜きに見学だけでも如何だろうかと部活に誘ってくれている。

鬼族の情に厚い教師である。

 

「まあ、なんだ・・・・・確かにレンはあの時靭帯やっちまって気にしてるのかもしれねぇけどよ。人間の身で俺ら亜人種と混じってバスケ出来てる時点でレベル高いんだし、お前ベスト5にも名前上がるレベルなんだぜ」

 

「そうだよ、怪我治ってんだからいつでも戻って来いって俺らはまたお前のドライブもシュートもまた見てぇんだからさ」

 

「シャナ、リツ・・・ありがとうな。まあ、やる気でたらまた顔でもだすさ」

 

そう言って、勉強道具を鞄に納めると、軽く膝に触れて答えた。

嘘でしかない。人間の身での限界を既に嫌というほど実感している。

もう、諦めなどとうについてるのだから。

鞄を背負って二人に別れを告げると教室を出る。いかんせんどうしようもない現実なのたまから。

 

「うかない顔するのなら。もう一度挑戦したらどうなんだい?」

 

「人間の身体じゃあもう無理さ、俺には高く飛べる足も、無尽蔵の体力も打たれ強い体もない」

 

しれっと隣に並び立つイケメンにぶっきらぼうにそう答えた。

 

「・・・・・じゃあ、ヤメルかい?人間を」

 

「ハッ、冗談だろエレナ?その先の言葉を理解できない俺じゃねぇよ?」

 

「・・・・・冗談だよ」

 

そう消え入りそうな声で呟く彼女の横顔には淋しさを感じる。

不老長寿な種族と、儚く短命な種族どうしとも命には限りがありそれは大きな隔たりとなる。

異人種同士の恋愛なんていつだってどちらかが悲しい思いしかしないのだから

 

「それでどうかしたかい?王子様」

 

とぼけた様子で声を掛けると彼女のが立ち止まる。立ち止まった姿すら様になる。

スカートからズボンに履き替えれば物語に出てくるようなイケメンそのものである。

 

「もし、良かったらボクと一緒に勉強会しないかい?・・・・今までは君は部活の勉強会に行ってたからね、良かったら一緒に勉強したいのだけど・・・・・どうかな?」

 

困らせてないのだろうかと戸惑いながら質問する彼女を見て溜息をついた。

そんなことを不安がらず聞いて欲しいものだ。

いつもの自信満々な彼女からは想像もつかない彼女の表情にやや面を喰らう。

 

「・・・・・そうだな、たまには一緒に勉強でもするか」

 

「うん♪そう言ってくれて良かったよ」

 

顔が一気に綻び満面の笑みとなる彼女。

その笑顔を見て廊下の彼女のファンの一部が腰砕けになり廊下に座り込む。

これがイケメンの成せる業なのだと思うしかない。

 

「そうだなぁ、今回は勝負でもしようじゃないか。5教科の総合点で勝負なんてのはどうだい?」

 

「自信満々じゃねぇかよ、俺とお前常に上位争いしてんだぜ。今回も俺が勝つからなぁ。今回の罰ゲームは負けたらなんでも一つ相手の言うことを聞くでどうよ?」

 

「君こそ自信満じゃないか、中間考査では遅れを取ったが今回はボクが勝つよ。君の泣きっ面を拝んで、罰ゲームを受けてもらわなきゃねぇ」

 

「煽るじゃねぇかよ。今日から勉強会するのか?」

 

「レンがバイトじゃないならね」

 

「なら、今日からだ。バイトはテスト期間中は休みになってるよ。学生の本分は勉強だってことでね」

 

バイト先の夫妻にはきちんと学業を優先するよう伝えられている。

彼女がスマホを取り出し迎えの者に連絡を入れている姿を横目に中等部の校舎の方を見る。

中等部もテスト期間なのか足早に去る生徒が目に付く。

 

無意識に目が追うその姿。

高い身長にオオカミの尻尾と耳。

まごうことなき義妹である。

ふと彼女がこちらの視線に気付き顔を上げる。

軽く手を挙げると笑顔で手を振る彼女。

スマホを持ち出したかと思うと手元のスマホにバイブと共にメッセが届いた。

それに返信していると無言で横から伸びた手にスマホを奪われると内カメでツーショを取り手早くメッセージを送りつけた。

そして、電源を切るとイタズラっぽく笑う彼女に溜息をついた。

 

「お前やりやがったな、後が怖いんだから」

 

「でも、今は僕を見てくれなきゃ。君との時間は今は僕だけのモノ、それぐらい弁えてくれなきゃね。じゃあ、地下の駐車場に迎え待たせてるから行こっか」

 

手を引かれて階段を駆け降りる彼女は何処か悪戯っぽい笑みを浮かべる。

昔と変わらないその顔に酷く懐かしさを覚えたのは気のせいだろう。

待たせていたリムジンを使用人がドアを開けて、招かれる。

場違い感が否めないが、やはり住む世界が違うのだから仕方ない。

 

鼻唄混じりで手を引かれ乗り込むと、フカフカの椅子にテレビがあり、冷蔵庫まで備え付けてある。

彼女が無言で冷蔵庫から、血液パックとジュースを一本手に持ち、自分の側を叩いて座るよう促すので腰掛けると、ジュースを首元に押し当てられる。

 

「っ冷たいって」

 

ニヘラっと悪戯が成功したように笑う彼女から飲み物をひったくると、お返しとばかりに首下に押し付ける。

ガキのようなやり取りに思わずこちらも笑みが溢れる。

 

「昔みたいだな、悪戯して怒られて無邪気に笑って遊ぶガキの頃みたいだ」

 

「ああ、そうだね。ボクもレンも昔は馬鹿みたいに遊び回ってたもんね」

 

「昔は男女とか揶揄われて泣いてたお前も今じゃ立派な王子様系女子だもんな。昔はなぁ、あんなオドオドしてたのに」

 

そう笑っていると手を握られる。

んだよ、と横を振り向くといつになく真剣そうな顔をしたエレナにドキリと心臓が跳ねた気がする。

 

「・・・今のボクは嫌いかい?」

 

「んだよ、どうした?いつになく真剣に聞いてくるじゃねぇか?」

 

「ねぇ、答えてよ。ボクの事どう思ってんの?」

 

手を握る力が強まり、痛みを感じると同時に真紅の瞳から眼を離せなくなる。

成程、吸血鬼には他者を魅了する力があるというがこういうことなのだろう。有無を言わせぬ

何を不安がってるのか知らんがコイツなりに、思う所があるのだろう。

直接血を吸って癖に何を今更という話ではあるのだがな。

 

「お嬢様車内ではそういった行為はお辞め下さい」

 

その一言がエレナをたしなめる。

ピシャリと放たれた一言で我に帰った彼女は罰が悪そうにそっぽを向いた。

 

「わかってるよ、ごめんなさい」

 

「レン様もお嬢様を煽るのはお辞め下さいね」

 

「すいません。気をつけます」

 

ケンカ両成敗というか、後味の悪い幕引きに双方黙るしかない。

無言で彼女の掌を握る。

 

「そのうちな」

 

「・・・・・耳真っ赤だよ」

 

「ウルセェな、恥ずいんだよ青春させんなや」

 

「・・・・・待ってるよ、ずっと。キミが言葉にしてくれるのを」

 

「ヨボヨボのババァになっても?」

 

「ボクが?まさか不老不死なんだからそうはならないよ」

 

「・・・正論で殴んなよ。例えばの話さ、寿命なんて違う、脆い生き物だぜ俺って人間は」

 

「・・・・・待てないよ。そんな長くなんて。だからボクは・・・いや、なんでもない忘れてくれ」

 

言わんとすることは、分かる。

眷属化しろって話なんだろう。

吸血鬼の眷属。つまり俺にも吸血鬼になれって事だ。

でも、人間辞めちまうと唯一の死んだ家族との繋がりすら切れてしまう気がする。

それを失うともう何も残らない気がして怖いのだ。

彼女に明確に言葉に出来ない。

好きって気持ちを伝えることが出来ない。

俺はエレナより先に死ぬし、コイツは絶対俺の事なんて忘れてくれない。

いつか小説で女は昔の男をすぐ忘れるなんて言っていたが、この女に限ってはあり得ないだろう。執着が、執念が独占欲がこの女持つ重たすぎる気持ちが俺を縛りつける。

共に生きるには人間という生き物では余りに短すぎる命だ。

 

「勝負に勝てばいいだろう。まあ、勝てればの話だけど」

 

「・・・・・二言はない?本気と捉えるよ」

 

「ま、勝てたらな」

 

握り締めた彼女の冷たい体温がほんのりと少しだけ熱を帯びた気がする。

どうしようもない空気感と車の中で流れるラジオにはもうすぐ夏だからか、夏の恋歌特集なんて流れる。

酷く甘酸っぱい空気感が車内を流れる。

 

「あ、言い忘れてたわ!俺が勝ったらバニーガールのコスプレして貰うわ・・・あ、ごめんやっぱなし、お前の胸元だと若干残念バニーだ」

 

ブチギレた彼女の容赦ない吸血されるの見ながら、呆れた運転手のメイドの溜息をつき、車は彼女の家へと向かって進んでいく。

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