『ディーラー』   作:栄養分

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久しぶりに物書きをいたします…。
誤字等ございましたらご報告をよろしくお願いいたします。


第1話 『ディーラー』

 

 どこの世界にも違法組織は存在する。暗殺、密売、麻薬、違法賭博に人身売買…種類を挙げ出したらキリがない。

 

 

 

 それが例え、男女比が1:30の剣と魔法の世界であってもだ。

 

 

 

 

「『ルーレット』、出番だ着替えて3番テーブルに着け」

 

 ディーラー待機室のドアを開けて艶やかな灰色のウルフヘアの『支配人』がやってくる。どうやら今日のお客様は僕を御指名らしい。

 

 座っていた椅子から立つと、机の対面でだらけていた金髪のツインテールの少女が頭をぐわんぐわんと揺らしながら「むーっ」とむくれていた。

 

「いいなぁいいなぁ『ルーレット』君はぁ…!貴重な男の子だから御指名いっっっぱいだもん…最近は『お仕事』も少ないからワタシも遊びたいよぅ」

「心配しなくても『ハイロー』さんならそのうち『支配人』からお声がかかりますよ」

「んー、それってディーラー?それとも『お仕事』?」

「ふふっ、どっちもですよ」

 

 自分の雪のように白く長い髪を耳にかけながらニコッと金髪のツインテールの少女『ハイロー』さんに微笑むと「アハァッ!」と狂ったような笑顔を見せ、ガシッと僕の腕を掴む。

 

「もー『ルーレット』君大好き!!ワタシのお婿さんになっちゃおうよぉ?」

「だめですってば…ほら、放してください…『支配人』に怒られちゃいますから」

 

 いつものように振り払うが、こういう時の『ハイロー』さんの目はいつも光が無く、どこか吸い込まれてしまいそうになる。

 

「………。ざぁんねぇん…でもぉ…諦めないからねぇ?キャハッ…!」

 

 弧を描くように不気味な笑顔を浮かべる『ハイロー』さんを背にして、専用のフィッティングルームに入り、置いてある衣装を着替えるために手に取る。

 

「うげっ…今日もこれぇ…?はぁ…」

 

 ってことはあのお客が来てるのかな…はぁ…ちょっと憂鬱…

 

 

◆◆◆

 

 

 フィッティングルームにシュルシュルと絹がこすれる音がした後にエナメル質のキュッキュッという音が小さく響く。付け耳を付けた後に少年は鏡を見て衣装を確かめる。

 

「バニースーツ…はぁぁ…すっかり着慣れちゃったなぁ…」

 

 鏡の前には赤いバニースーツに網タイツ、そして付け耳を付けた『ルーレット』自身が立っていた。その見た目は華奢で色白な少女にしか見えないが、唯一股間部分が男であることを主張していた。

 通常は他のディーラー同様にフォーマルなスーツなのだが、『ルーレット』に関してだけは多くの客からの要望でオプションとしてこういった衣装を着せることが出来るのだ。

 

「…似合っているじゃないか」

「うわっ!?もー『支配人』!いつもびっくりするからやめてっていってるじゃん…もう…」

 

 物陰もないような場所から突如伸びてきた手が『ルーレット』の白い肌を撫でる。その手はそのまま太ももに伸びてゆき、優しく網タイツごと撫で上げ、『ルーレット』の背中には『支配人』が自らの胸を柔らかく押し当てる。

 

「…ねぇ『支配人』、この衣装ってことはまたあの客?」

「そうだ」

「そろそろ全額搾り取っていい?」

「いいだろう…アレももう潮時だ…だがその後は私がお前をベッドの上で搾り取ってやろうか」

 

 『支配人』の手が『ルーレット』の顎に伸び、口づけをしようと顎を上げさせたが、突如『支配人』の顔に「ふぅっ!」と勢いよく息が吹きかけられる。

 

「これからお仕事だからだめでーす」

「フッ…終わってもシてくれないくせに…やれやれ相変わらずガードが堅いな?」

「そりゃそーですよ、まだまだ清い身体でいたいですからね」

「なら安心だ…さぁ行ってこい。アイツから財産をむしり取ってやれ」

「了解!」

 

 フィッティングルームから直接場内に出れる扉から出て行った『ルーレット』を見送った『支配人』は「ふぅ…」とため息をついた後、腕を組んで身を震わせた。

 

 

「…ッスー…ヤッッッベェ…危なかったァ…マジで抱き潰すとこだったァ…てか抱きてェェェ…!『ルーレット』ぉぉぉ…!」

 

 

 腕を組んでいた実は残念系の『支配人』の胸にある立派な双丘には鼻から垂れた血が滴っていた。

 

 

 

 

 

 

 違法賭博場『ディーラー』、ここでは高レートかつスリリングな賭けが出来るという噂があり、貴族や豪商などが夜な夜な人目をはばかりながら通っていた。

 更にはかつて王族が通ってしまっていたという事で弱みを握られており、王国も『ディーラー』が非合法、違法を分かっていても手が出せないでいた。

 

 勝てれば天国、負ければ地獄。負けた者の中には身ぐるみを剥がされ、金歯すら抜き取られたという者もいるが…臓器や人権などがはく奪されていないだけまだ良心的である。

 

 さて、この『ディーラー』で連日勝ち続けている貴族がいた。名をアディアス・ユス・ベトネーゼといい、40を過ぎた貴族で、ゴテゴテと着飾るでっぷりと肥え太った赤毛の女だった。

 

 『ルーレット』が場内に入ると場内の客の視線が彼に集まる…のだが、ここ連日はさらにアディアスという獣が雄叫びのような声を上げていた。

 

「ル、『ルーレット』きゅうぅぅん!!でゅふ…む、迎えに来たよぉぉぉぉ!!」

「ハァイ、アディアス様?ご機嫌麗しゅう?」

「おふっ…!昨日は眠れなかったよぉ…!今日私が勝てば『ルーレット』きゅんが貰えるんだよねぇぇ!?」

「ふふっ、そうですねぇ…ちゃぁんと勝って僕を手篭めにしてくださいまし?…ふぅぅ…」

「!!!!」

 

 アディアスに近寄った『ルーレット』はそのまま脂ぎった彼女の耳元でささやき息を吹きかけてやった。すると顔を赤くし、興奮状態となったアディアスは『ルーレット』に抱き着こうとする。が『ルーレット』はするりとすり抜けてディーラー側のテーブルに立った。

 

「おや、いけませんよアディアス様?僕は勝者のモノですから、ちゃんと勝ってから…ね?」

「!か、勝つ…勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ!!おい!掛け金だ!掛け金を持ってこい!早く!!」

「は、はい!た、ただいま!!」

 

 後ろに控えていた従者が掛け金のチップが入った袋をドサドサと積み上げる。額にすれば、中級の平民の年収30年分ほどだろうか

 

「わぁ!僕のためにいっぱい用意してくれたんですね!!うれしい!」

「でゅふ…!そうだよぉ!と、ところで、今日の明確な勝利条件って…なにかな?」

 

「んー…そうですねぇ…あ!こういうのはどうです?アディアス様がルーレットで勝つたびに僕が脱いでいきます」

「「「「「「「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 その言葉にアディアスどころか場内にいた他の客全てが驚き、一斉にこちらを見る。

 

「それでぇ、僕の着るものがなくなったらアディアス様の勝ち…なんてどうですかぁ?」

「ぶひっ…!いい!いいよぉ!!その白くて綺麗な肌…!私のモノにする前に皆に見せびらかしてやる…!」

 

 アディアスのその言葉に『ルーレット』はニッコリと微笑み、ルーレット台の足元にあるくぼみに足を掛けた。

 

「ふふっ…決まりですね…じゃあ『ルーレット』スタート!」

 

 こうしてこの夜のゲームが始まったのだった。

 

 




貞操逆転モノの男の娘っていいよね
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