『ディーラー』   作:栄養分

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第6話 『ハイロー』

 

 『ディーラー』の屋敷の厨房。ここに朝から『ハイロー』の姿があった。 

 いつもの金色のツインテールをぴょこぴょこ可愛らしく揺らしながら、手元では金属製のボウルの中でぐちゃっぐちゃっとひき肉を握り潰していた。

 

「ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ、ぐっちゃぐちゃ~♪ハンバーグっ!ハンバーグっ!」

 

 ハンバーグ。『ハイロー』が唯一自分で作れる料理で、その味は料理が上手な『バカラ』が認めて作り方の教えを乞うほどの腕前である。

 

「いひひひひひ…!今日、今日だよぉ…!久しぶりの『お仕事』ぉ…!」

 

 出来上がったハンバーグの種を丸めて形にした後、フライパンで焼き始めると、得も言われぬ肉のいい香りが厨房に広がっていく…しかし今『ハイロー』の頭の中では『仕事』の事で頭がいっぱいであった。

 前回の『仕事』から実に2か月。その間にも『ディーラー』に依頼はあったものの、『支配人』が『ハイロー』の選出を渋ったのだ。

 

 

 『ディーラー』における業務には、賭博場でのディーラー業務のほかに『仕事』と呼ばれるものがある。暗殺、諜報、小規模な破壊工作、そのほかにも様々である。

 当然平民が手を出せるような価格では請け負っておらず、かといって金さえ出せば必ず請け負うというわけでもない。すべては『支配人』のさじ加減で決められるのだ。

 

 今回の依頼は少し特殊で暗殺…のようなものではあるのだが、追加された条件が『出来るだけ惨たらしく』、とのことだった。そこで『支配人』がやむなく選出したのが『ハイロー』だった。

 『ハイロー』の得意とする得物は『ハイロー』自身よりも巨大なハンマーで、木製、岩製、鉄製、そのほか希少な高硬度の魔石の物や伝説と言われた金属のハンマーなどを何故か所持している。

 さて、『支配人』が『仕事』に『ハイロー』を選出するのを渋っていたのはこのハンマーも原因の一つである。

 

 彼女はハンマーで対象をまるでハンバーグをこねるかのようにミンチにして遊んでしまうからだ。

 

 これは『支配人』ですら改めさせることが出来なかった。いくら力でねじ伏せても、いくら縛り付けて精神的に疲弊させようともこの『シミ』を取り除けなかった。

 …『ハイロー』は壊れているのだ。原因は誰にも分っていない。少なくとも『支配人』が『ハイロー』と初めてあった時にはすでに彼女はこうなっていた。

 

 暗殺対象とはいえぐちゃぐちゃになった対象をそのまま放置することは出来ず、『ハイロー』が『仕事』をする際には魔法で現場を高圧洗浄及び焼却隠滅できる『スロット』が必ず選出される…のだが、今回『スロット』は急遽別件で参加できなくなり、代わりに先日の罰を兼ねて『ポーカー』が同行することとなった。

 

 

「あ、『ハイロー』さんおはよー…わ、ハンバーグだ!」

「!『ルーレット』君!」

 

 『ハイロー』の顔が先ほどより一層明るくなる…のだが、反対に見開かれた目からは光が失われていく。

 

「キャハハ!『ルーレット』君!『ルーレット』君の言う通りだったよぉ!ワタシにもすぐ『お仕事』来ちゃった!!」

「みたいですね!おめでとうございます!」

「『ルーレット』君は何でも分かっちゃうんだねぇ…!ホント、すごいよォ…!」

「えへへ…ほめても何も出ませんよ?」

「いひ…!そぉだ!はいこれ!」

 

 にっこりと微笑む『ルーレット』に『ハイロー』は今焼きあがったばかりのハンバーグに特製のデミグラスソースをかけて差し出す。

 

「わぁい!いいんですか!?」

「アハ…!もちろんだよぉ…!まだまだあるからお弁当にも入れられるしね…!」

「やった!僕『ハイロー』さんの作るハンバーグ大好き!」

「ッ!!」

 

 瞬間、『ハイロー』の背筋にゾクゾクとした高揚感が溢れ、電気信号のように頭をバチバチと刺激する。この感覚が『ハイロー』にはたまらないのだ。

 同じような感覚は人を潰した際にも感じるのだが、それよりももっと心地が良かった。

 

「『ルーレット』君はちゃんと食べてくれる…!他の男なんかとは違う…!キャハッ…!」

 

 2人で食堂に行き机に座り、ハンバーグを食べ始めるのだが…『ハイロー』は『ルーレット』が美味しそうにハンバーグを食べる様子を穴が開くくらいにじぃっと見つめる。

 

「んー♪美味しい!『ハイロー』さん、今日のハンバーグのソース、トマト変えました?」

「…!!アハァ☆気づいたァ…?」

「うん!酸味よりも甘みが深くなったって言うか…うーん、上手く表現できないですけどね」

「うんうん大丈夫だよォ…!ヒ、イヒヒヒ…!やっぱり『ルーレット』君は最高だねぇ…!」

 

 にっこりと笑みを浮かべる『ハイロー』の顔は柔らかで、あどけない少女の様であった。このような状態の『ハイロー』は珍しく、いつもは笑っていても目に光が無かったり、ドス黒く濁っていたりする。しかしながら今のように『ルーレット』にハンバーグを振舞うこの時だけ、『ハイロー』はまとも(当社比)になるのだ。

 

 『ルーレット』がハンバーグを食べ終わった後、『ハイロー』は自分の作ったハンバーグを食べ始めるのだ。が…

 

「はい、『ハイロー』さん、あーん」

「あー…むっ」

 

 いつも『ルーレット』に食べさせてもらうのだ。というより『ルーレット』が食べさせないと『ハイロー』は自分で作ったハンバーグを食べないのだ。

 

「…キヒッ…美味しい!」

「うん!美味しいですねぇ」

 

 決して嫌いというわけでなくむしろ肉料理なので大好きなのだが何故か自身の作ったハンバーグだけは自分から進んでは食べようとしない。

 過去に『ポーカー』が食べさせようとしたのだが、口の近くに運ぶと『ポーカー』の手にガブリと噛みつき、「ショタを撫でるためのアタシの右手がぁ!!」とのたうち回る事態になった。

 

 

「アハァ…!ごちそうさま…!」

「あ、もー『ハイロー』さんお口の端にソースついてますよ?」

「…!ん!」

 

 ずいっと『ルーレット』に顔を向け、ふき取るようにねだり、白くて細い指で拭き取って貰う…そのあと『ハイロー』はその『ルーレット』の指を…

 

「あむ」

 

 ちうちうと吸い始めるのだ。それもじっと『ルーレット』の目を見つめながら。

 これもまた一悶着あるのだが、以前に全員で食事をしている際に同じように吸い始めた時、それを見てしまった『バカラ』が「ちゅうちゅう…!?おぎゃっ……!?」と全員の前で幼児退行しそうになるという事件があった。

 幸いにもそれに気づけた『ルーレット』によって何とか全員の気を逸らし、『バカラ』も部屋から逃げることが出来たので事なきを得た。

 

 『ルーレット』の指を舐める『ハイロー』の舌は次第にねちっこくなり、じゅるじゅると吸い付くようになる。『ルーレット』的にもそろそろ指がふやけてしまうので勘弁してほしかったので「そろそろ…」と言うと、『ハイロー』は少し悲しそうな顔をしてチュパリと指を解放する。

 

「もー…そろそろ『お仕事』なんじゃないですか?」

「………。ア、ハ…そうだね…『お仕事』も楽しい…!うん!楽しい!ヒヒッ!今日はどんな人かなァ!?どんな人だと思う!?キャハハハッ!」

 

 すっかりいつも通りの『ハイロー』に戻り、ケタケタと笑っていると、食堂の入り口から「おーい」と黒のコートを着た『ポーカー』がナイフを片手で弄びながら入ってくる。

 

「『ハイロー』よぉ、『支配人』が今日の『仕事』の説明するから来いってさ…ってまたハンバーグか?朝からなんて…ホンット好きだねぇ…アンタも」

「ちぇ…『ルーレット』君との時間もおしまいかぁ…ごめんね『ルーレット』君!帰ったらどんな風に潰したのか教えてあげるね!アハハッ!」

「うげ…やっぱ潰すのは確定かぁ…」

「はーい、洗い物は僕がやっておきますのでお気をつけて行ってきてくださいね!『ハイロー』さん!」

「…わぁぁ…!うん!うんうんうん!!キャハハッ!ありがとぉ!愛してる!!」

 

 顔を明るくさせた『ハイロー』はご機嫌のままぶんぶんと手を振りながら食堂を後にした。

 

「………」

「………」

 

 …『ルーレット』と『ポーカー』を残して。

 

「なぁ、『ルーレット』、アタシに『いってらっしゃいのチュー』は?」

「………。寝言は寝てから言ってくださいね!」

「え?一緒に寝たいってこと?」

「ぜっっっったいに嫌でーす♡」

 

 にっこりと拒否する『ルーレット』の顔はそれはそれでそそったと、後日『ポーカー』は語った。

 

 

◆◆◆

 

 

 その日の昼、とある商業都市にて。

 

 路地裏の奥の壁に怪しい魔法陣が浮かび上がり、黒いコート姿の『ハイロー』と同じく黒いコート姿で青みがかった巨大な金属の塊のハンマーを持った『ポーカー』が姿を現した。

 

「ふぅ…しっかし便利だよなぁ…『スロット』の作った転移陣…設置した決まった場所にしか出れないとはいえ王都からここまで一瞬だぜ?」

「うんうん!『スロット』ちゃんにはいっつもお世話になりっぱなしだぁ!」

「さて、と…改めて今回の目標についてだが…えーっと?」

 

 『ポーカー』は『支配人』から手渡された資料を見返した。

 

「……今回殺すのはこの商業都市のトップの伯爵サマ…っと。うへぇ…裏では奴隷商に麻薬、更には地下に男を10人くらい監禁ってか…こりゃあすげぇや」

「何人潰していいの?」

「おまっ、『支配人』の話聞いてなかったのかよ!この伯爵…イリジア・ハールディ1人だけだ!オラ、ちゃんと見ろ!コイツ以外は殺しちゃいけないんだぞ!」

 

 写真付きの資料を目の前に出された『ハイロー』だったが、たった1人と言われた標的に不満の声を漏らす。

 

「えぇ~…つまんない…。!じゃあそいつは殺して、他の奴は殺さないように手加減して潰すのは!?」

「ナシに決まってんだろ…てか、アンタ手加減できるのか?」

「形は残るよ!」

「………ふぅ…帰りてぇ…!」

 

 深夜まで周辺の下見を済ませた後、気落ちする『ポーカー』と標的とはいえ久々の『仕事』の『ハイロー』はそのまま伯爵邸へと潜入する。

 

 

 ……潜入……しようとしたのだが…

 

 

「と~お~れ~な~い~!!」

「いやそりゃアタシよりでけぇハンマー持ってりゃそうなるだろ!」

 

 伯爵邸の屋敷の窓に引っかかっていたのだ。身長180㎝の『ポーカー』でさえギリギリ通れる窓に2mを越えるハンマーは無理があった。

 

「ったく!おい、縦じゃなく横向きにしてみろ!…いや違う!こう、柄の部分を先に部屋側へ入れてだな…クソ!そもそも横もデカいのかよこのハンマー!」

「むぐぐぅ…!ワタシこんな窓……!キライ!!えい!」

 

 ボコォ!!

 

「あ」

 

 我慢が出来なかった『ハイロー』により窓枠ごと破壊された窓が落ち、ガシャァン!!と大きな音を立てる。当然物音を聞き付けて屋敷内の人間たちが騒ぎ出す。

 

「あーあーあー…どーすんだよ…なんでこんなデケェハンマーなんて持ってくるんだよ…」

「ワタシは悪くないもん!こんなッ窓が…!」

「はぁ…八つ当たりはそのくらいにしとけ…もうこうなっちまったのは仕方ねぇ。アタシが屋敷の中の警備を無力化しに行くからアンタはさっさと伯爵サマを潰してこい。屋敷の地図くらいは頭の中に入ってるだろ?」

「!キヒヒィ!わかったァ!!」

 

 元気を取り戻し、ニィッと不気味な笑顔を浮かべた『ハイロー』はハンマーを片手に屋敷内のドアをぶち破りながら駆けて行った。

 

「…これ後で『支配人』にこっぴどく怒られるだろうなぁ…ははっ…」

 

 死んだ魚の目で茫然とする『ポーカー』だったが、警備兵の「いたぞ!」と叫ぶ声で我に返る。

 

「…お出ましか…よかったなお前ら?アタシが相手だから命令通り殺されないし…何より、形も残るぜ?」

 

 ナイフを両手に構える『ポーカー』は、自身と相対する警備兵にニヤリと笑ったあと、宙を舞うかの如く襲い掛かった。

 

「こちとらストレスとムラムラ抱えてんだ!ちったぁ発散させてもらうぜ!!」

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 伯爵邸、主寝室。ここでは騒ぎに少し遅れてこの屋敷の主人が目を覚ました。

 

「…何の騒ぎだ…?ッ!夜襲か!?」

 

 下の階層から響く音に気付いた女主人は一糸纏わぬ姿から、近くのバスローブを掴み取り、羽織る。

 

「ええい…!どこの奴だ!?…誰かいないか!!」

 

 従者たちを呼ぼうと部屋の扉を開けようとカギに手を掛けたその時、扉の先から「ひぎぃ…!」と言う聞き覚えのある小さな声とぐちゃり…と何かが潰れる音がした。

 

「っ……!?」

 

 背筋が凍るようなその音に伯爵、イリジア・ハールディは扉から後退る。見たわけではないのに、この扉の向こうで何が行われたかが何故か分かる。

 

「い、今……潰さ、れ…!?ひっ…!」

 

 その後、コツリコツリと足音がこの部屋に向かってくる。『次はお前だ』と言うように聞こえるその足音に、イリジア・ハールディはただ、怯え、腰を抜かすことしかできなかった。

 

 足音はガチャガチャと扉を開けようとする音に変わった。イリジアは先ほどカギを開けなくてよかったと安堵した…その時だった。

 

「えい」

 

 木製とは言え重い造りであるはずの扉がハンマーで軽く粉砕されたのだ。そして、その元凶たるハンマーの持ち主がぬぅっと部屋に顔を突っ込む。

 

「あー!いたぁ☆探したよぉ!!」

「ひいぃぃ!?」

 

不気味な笑みを浮かべながら自身よりも巨大なハンマーを片手で振るうそのツインテールで金髪の少女にはいくつもの返り血がべっとりと付いていた。

 

「イリジア・ハールディさんだねぇ?よいしょ…っと!やっと遊べるねェ…!キャハァッ!」

「な、なんだと…!?」

「今までの人たちは手加減したけど…脆くて意図せず潰しちゃって困ってたんだよね…でも、でもでも!!ヒヒッ…!あなたは潰していいって『お仕事』だからァ!やっっっっっと!!いっぱい潰せるよォ…!!」

「ひっ…!?く、狂ってる…!!」

 

 部屋に入ってきた少女…『ハイロー』はイリジアのその言葉にグリンと顔をかしげる。

 

「なんでぇ?あなたも狂ってるよォ?いっぱい悪い事したんだもんねぇ?」

「!…な、なにが望みだ!金か!?」

「いらなーい」

「な、なら男はどうだ!?地下にいい男が10人ほど」

「知ってる。でもそんなのいらなーい」

「そ、そんなの!!?」

 

 冗談でもなく全く男に興味を出さない『ハイロー』にイリジアは、目をむいて驚く。この世界で貴重で尊い存在の男を嘘偽りなく目の前の少女は「いらない」と言い捨てたのだ。

 

「だってワタシ、『ルーレット』君がいいんだもん」

「『ルーレット』…!?あの『ディーラー』の、か…」

「!おねぇさん知ってるんだァ!ヒヒヒ!」

「解せん男だと認識しているがな」

「ヒヒ、ヒ……?」

 

 その言葉に『ハイロー』は今までが嘘のように静まり返った。

 そしてそれを見たイリジアは『ハイロー』が動揺したと思い、言葉で畳みかけることにした。なるほど、目の前のツインテールの少女がどこの者かは知らぬが、『ディーラー』の『ルーレット』を利用し隙を作り、魔法で返り討ちにしてやろう。そう考えていたのだ。

 

 …それがこのイリジア・ハールディという女の最大の失態になるとはイリジア自身も思っていなかっただろう。

 

「あの美麗だと言われる少女のような少年を私も見たことがある…だがアレはただ美麗なだけだ」

「…!…ち、が…」

「手元に置けるか?いいや叶わぬ!置けたとして男のくせに女を下に見るかのようなあの態度…!いけ好かぬわ」

「ちが、う…そんなんじゃ…」

「あぁ、しかしそれを調教しいたぶるのもまた良いなぁ…?地下の男どもと同じようにいい悲鳴が聴けるだろう…!」

「…ちがうッ…!」

「そもそも貴様のようなバケモノじみた女が欲したところで『ルーレット』は―――」

 

「違うッ!!!!」

 

 イリジアの言葉が言い終わる前に『ハイロー』は力強くそして目にもとまらぬ速さでハンマーをイリジアの脳天に振り下ろす。

 断末魔も命乞いも無いままに潰れた音だけを出す肉となったイリジアに『ハイロー』はさらにハンマーを叩きつける。

 

「『ルーレット』君はそんなんじゃないッ!!」

 

 べき、ばきっ、ぐちゃり!

 

「『ルーレット』君は他のゴミみたいな男と違うッ!!」

 

 ぐちゃり、どちゃり!

 

「ワタシに笑いかけて、ハンバーグも食べてくれるッ!!」

 

 ぶちり、ぐちゃ、ぐちゃっ!

 

「『ルーレット』君は!『ルーレット』君は!!『ルーレット』君はァッ!!!」

 

 ぐちゃっ!ぐちゃっ!ぐちゃっ!ぐちゃっ!ぐちゃっ!ベちゃっ!べちゃっ…!べちゃっ…

 

 そこから『ハイロー』は目の前の肉を狂ったようにハンマーで潰し続けた。

 10分後、『ポーカー』が部屋を見に来た時には、もはや肉とも呼べないほどまで加工されていた。

 

「うっわ…廊下もえぐいけどコッチはコッチでハデにやったなぁ……ん?『ハイロー』…?泣いてるのか?」

 

 『ポーカー』に声を掛けられてもなお、『ハイロー』は肉だったものを潰そうとハンマーを叩き続けていた。そして『ポーカー』の言うように目からはボロボロと涙がこぼれていた。

 

「なにがあったよ?相談くらいなら乗るぜ?」

「…『ルーレット』君……ばかに、された…」

「あー…………そっか。ならしゃあねぇな…気が済むまでやりな。掃除はまかせとけ」

「わかった…」

 

 『ハイロー』の言葉に転がる肉片に冷たい目を一瞬向けた『ポーカー』だったが、「やれやれ」と肩をすくめて、部屋の中の高級そうなソファにドカリと座った。

 

「バッカだねぇ…アタシらが『ディーラー』かどうかも分かってない状態で…よりによって『ルーレット』をディスったか……ま、この場合『ハイロー』に殴られて一発で死ねてよかったかもな…アタシなら意識がある状態でちょっとずつ切り刻んでたなぁ……ふわあぁ…『ハイロー』、終わったら起こしてくれよ…ちょっと寝るわ…」

「………」

 

 

 その後も部屋では、べちゃ…べちゃ…と潰す音がしばらく続いたという………。

 

 

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