世界の真理を解き明かした天才──に、憑依した地球人 作:刹那木ヤクモ
レーヴァテイン──アロンダイトの近隣都市。天才が各地に撒いた星墜としの種、《聖剣》。アロンダイトもそうだが、その剣の名を冠した都市である。
「《解明者》! ここにいたのですね」
そしてレーヴァテインを振るう、茶髪碧眼の青年。《星堕ちる夜に明ける夢》にいち早く加盟した《最優》──記録にはそこまでしか残されていないが、それだけでも十分。会話を聞かれないよう、一度検問所から離れてから
「⋯⋯スルトさん、であってるかな」
確認のためそう問う。と、
「はい。⋯⋯やはり、彼は死んでしまったのですね」
少し驚き、そして悲しい目をしながらそう答えた。⋯⋯忠誠を誓った相手の、姿しかもう残っていないのだ。私には計れないほど残念でたまらないだろう。
「どうしてここに? 」
「あなたが目覚めたと聞いて、いち早く駆けつけなければと。ここ、アロンダイトはあなたに害をなす要因が多くあります。星墜を成し遂げるためにも、何かしらの補助が必要かと思いまして」
大変ありがたい話だ。正直、天才の能力を受け継いだとは言え、それを使いこなすどころか発動もしたことのない身で一人旅は難しいだろう、そう思っていた。
「ところで、害をなす要因というのは? 」
「アロンダイトの領主にして、《反逆》のジェーン。元は管理者ナンバー13として星墜機関の同志でもありましたが、彼女はあなたを──いえ、天才を裏切り星墜を遠のけた人物です。あなたがこうして活動を開始した、となると何をしてくるか分かりません。⋯⋯最悪、あなたの命をも狙っている可能性すらあります」
歯噛みしながらスルトは語る。その時であった。
「さすが。あたしのこと、よくわかってますね」
「ッ!? 《レーヴァテイン》! 」
巨大な炎剣と、蒼い光剣の放つ斬撃波。それが目にも留まらぬ速さで、連撃の応酬を起こす。
「ジェーン! 」
スルトの視線の先。青い髪を腰ほどまで伸ばし、領主にふさわしい白と金の煌びやかな服装をまとった少女──ジェーン。彼女が、空に佇む。
「彼が解明者⋯⋯天才と姿形は同じ。けれど魂の形は少し違いますね。識別がうまく機能しなかったのもわかります。──ですが、あなたの旅はここで終わりです」
前へ、とジェーンが告げると、検問所の向こうから出てきたアロンダイトの騎士団が整列する。彼我の距離は十数メートル。しかしジェーンとスルトは互いに制圧圏内だ。
「神への叛逆者たるアスト・グラトナレジは殺しても構いません。総員、戦闘開始」
「来ます⋯⋯! 解明者、星墜理論の行使を! 」
運命の窓を開く。ファーストコンタクトは最悪だが──
なら、彼女のどこか懐かしいものを慈しむような目は、なんだ?