「――ここは幻想郷だ」
その一言に、二人は同時に首をかしげた。
「幻想郷? 聞いたことねぇな。なあ吉良、知ってるか?」
「いや、私も知らん。そんな場所が本当にあるのか?」
少女はため息をつき、淡々と答える。
「本当だ。ここは外の世界とは隔離された場所だ」
「突然そんなことを言われても、信用できるわけが――」
「なら、見てみるか」
言葉を遮るように、少女は手のひらを上に向けた。
――次の瞬間。
ボッ、と音を立てて炎が灯る。
「なッ……!? 手から火が……!」
仗助が目を見開く。
「お前たちの知ってる奴は、こんなことができるのか?」
吉良はわずかに目を細め、仗助に小声で囁いた。
「……見たか? スタンドを」
「いや、見てねぇ。スタンドもなしに火を出してやがる……」
少女は怪訝そうに眉をひそめる。
「さっきから何をヒソヒソ話してる」
「いや、なんでもないっす」
(危なかった……)
吉良は内心で舌打ちする。
(もし仗助との戦いを見られていたら……この女の能力とは相性が悪い。下手をすれば――)
その時、ウサギの耳を持つ少女が口を開いた。
「とりあえず中に入るか? そこの変なあた――」
「いや、結構です!! 問題ないです!!」
食い気味に吉良が遮る。
(こんな場所で騒ぎを起こすわけにはいかん……)
「……そうか? なんか必死だけど」
「気にしないでくれ。それより、聞きたいことがある」
「いいけど」
仗助も口を挟む。
「ここが元いた場所じゃねぇのは分かったんすけど……帰る方法って知ってます?」
白髪の少女が少し考えてから答えた。
「たぶん、“霊夢”なら分かると思う」
「霊夢?」
「博麗神社の巫女だ」
「そこに行けば帰れるのか?」
「……たぶんな」
吉良の眉がわずかに動く。
「“たぶん”とは随分と不確かな話だな」
「行けば分かる。案内してやろうか?」
「できるなら頼みたいっすね」
「じゃあ行くか」
三人は歩き出す。
「そういえば傷は大丈夫なのか」
「ああ、大丈夫っす。俺は軽傷だし吉良の傷は――」
一瞬の間。
「――俺の“クレイジー・ダイヤモンド”で治せるんで」
「……クレイジー・ダイヤモンド?」
空気が変わった。
「仗助!! 貴様――!」
少女の目が鋭く細められる。
「……さっきからお前、何か隠しているな」
「隠す必要なんてねぇだろ。あんたこそ何かする気か?」
吉良は小さく息を吐く。
「クソッッ……ハァ。仕方あるまい」
「私と仗助には、“スタンド”と呼ばれるものがある」
「スタンド?」
「精神力が具現化した存在だ。スタンド使いにしか見ることはできない」
「……なぜ隠した?」
「私の能力は――」
その瞬間。
言葉が、“消えた”。
音だけが途切れたように、空白が生まれる。
「……?」
少女が眉をひそめる。
「今、なんて言った?」
吉良の目が見開かれる。
「……ッ!!」
次の瞬間、背後に“キラークイーン”が現れる。
「おい吉良!! 何やってんだ!!」
「気付かなかったのか!! 今――“何かが消えた”!!」
「は? 何もなかっただろ?」
空気が、妙に静かだ。
風の音すら遠い。
(おかしい……確実に異変があった……!)
吉良は歯を食いしばる。
(だが、私以外は気付いていない……?これ以上状況を悪くするわけにはいかない!!)
一瞬の沈黙の後、吉良は表情を戻した。
「……すまない。頭を打って少し混乱していたようだ」
少女は疑いの目を向けたまま言う。
「本当か? 次に妙な真似をしたら俺のクレイジーダイヤモンド叩き込む」
「……ああ、分かっている」
吉良はゆっくりと口を開く。
「私の能力は……触れたものを“爆弾”に変えることができる」
仗助が続ける。
「こいつの言ってることは本当っす」
少女はしばらく見つめた後、頷いた。
「……分かった。ひとまず信じよう」
「俺の能力は、物を直すことっす」
「なるほどな」
少女は背を向ける。
「じゃあ案内しよう」
「見せなくていいんすか?」
「お前はまだ信用できる。……それに、このままじゃ話が進まない」
少し歩いた後、少女が振り返る。
「そういえば名前を聞いてなかったな」
「俺は東方仗助っす」
「吉良吉影だ」
「……私は妹紅だ」
三人は再び歩き出す。
その中で、吉良だけが沈黙していた。
(さっきの現象……“言葉が消えた”……)
(あれは偶然ではない……何者かの能力だ)
吉良は小さく息を吐く。
「……本当に、なんて世界だ」
どうだったでしょうか面白かったらコメントなどお願いしますm(_ _)m
最近6部の漫画をやっと大人買いできた(*´▽`*)