ごめんなさい
体が、冷たい。
心臓は……もう止まったはずだ。
エリナは無事だろうか。
もうすぐ、この船は爆発する。
――ディオ君と僕。
確かに、一人で二つだったのかもしれない。
(もし次があるなら……どうか、幸せに……)
意識が闇に沈み――
そして、目を開けた。
広がっていたのは、静寂に包まれた巨大な屋敷。
幻想的で、どこか物悲しい空気。
風が運ぶのは、ほのかな桜の匂い。
「……ここはどこだ?」
確か、船の中で死んだはずでは。
「……ッ、ディオは!?」
周囲を見渡す。
だが、あの金髪の姿はどこにもない。
「……あの世、なのだろうか。
だとしたら、なぜディオはいない……?」
足元の感触に違和感を覚え、視線を落とす。
白砂が、波のような筋模様を描いている。
「これは……まるで海のようだ」
石と砂だけで描かれた庭。
波紋のような線が静かに広がる。
「日本の文化で……見たことがある気がする。
もっと学んでおくべきだったな」
その時。
視線の先に、少女が立っていた。
銀色の髪でボブカット。
黒いカチューシャに、小さな黒いリボン。
腰には――二振りの刀。
「君、すまない。
ここがどこか教えてもらえないだろうか。
どうやら迷ってしまったようなんだ」
少女は振り返り、一瞬驚いた表情を見せた。
だがすぐに、鋭い眼差しへと変わる。
「あなた……侵入者ですよね?
どこから入ったんですか」
すっと、二本の刀を抜く。
「違うんだ。誤解だ。
僕は本当に、気づいたらここにいたんだ」
「意味が分かりません」
次の瞬間。
地を蹴る音。
速い。
刀が一直線に振り下ろされる。
ジョナサンは寸前で身を捻る。
「――ッ! 早い……!
それに、この剣筋……迷いがない!」
「よけられるんですね。
でも、いつまで持ちますか?」
次々と繰り出される斬撃。
砂庭が裂け、白砂が舞う。
(このままでは、押し切られる……)
ジョナサンは呼吸を整える。
深く、強く。
「コォォォォ……」
体表が、淡く輝く。
「……光っている?」
(波紋は本来、吸血鬼に対する力。
だが……止めることくらいならできるはずだ!)
少女が踏み込む。
その瞬間。
ジョナサンは地面すれすれに沈み込み、拳を突き出す。
「山吹色の波紋疾走
(サンライトイエローオーバードライブ)!!」
拳は一瞬だけ触れ、すぐに引かれる。
衝撃ではない。
“流し込まれた”のは、波紋のエネルギーだけ。
「なっ……!?」
少女の動きが止まる。
「体が……しびれて……うっ、動けない……!」
ジョナサンはゆっくりと近づいた。
膝をつき、穏やかな声で言う。
「大丈夫かい?
手加減はした。痛みはないはずだ」
少女は驚いた顔で見上げる。
「あなた……何者なんですか。
侵入者じゃ……ないんですか?」
ジョナサンは、真っ直ぐに答えた。
「僕は――
本当の紳士を目指している者だ」
「本当に、気づいたらここにいた。
君と戦う理由はない」
少女はしばらく彼を見つめ――
やがて、ゆっくり立ち上がり、刀を収めた。
「……変な人ですね。
さっきまで斬り殺されそうだったのに」
「紳士として、女性を傷つける気はないよ」
「……」
少しの沈黙。
やがて少女は名乗った。
「私は魂魄妖夢。
ここの庭師と、剣術指南役をしています」
「僕はジョナサン・ジョースターだ」
「やっぱり外国の方なんですね」
ジョナサンは辺りを見回す。
桜の花びらが、静かに舞っていた。
「では……ここはどこなんだい?」
妖夢は、真っ直ぐに答えた。
「――ここは、幻想郷です」
どうだったでしょうか面白かったらコメントなどお願します
m(_ _)mあとジョナサンが生きていた時代にはカチューシャとボブカット知らないのですが説明が大変だったのでそのまま出しましたごめんなさい