俺は――あと何回死ぬんだ。
もう嫌だ。
火に焼かれ、潰され、裂かれ、沈み、凍り、砕ける。
終わらない死。
終わらない絶望。
何故こんなことになった。考える暇もない。
(もし次があるなら……今度こそ――)
意識が途切れる。
――目を開けた。
そこは、赤い外観の不気味な洋館だった。
壁は血のように赤く、窓は闇を映し、空気は重く淀んでいる。
生き物の気配すら感じない、静まり返った空間。
「……次は何で死ぬ?」
火か? 地割れか? 怪物か?
「死ぬなら早くやってくれ!!」
叫ぶ。
だが――何も起こらない。
静寂。
「……死なない?」
いつもなら、もう“何か”が始まっているはずだ。
「まさか……レクイエムから解放されたのか?」
その瞬間、ディアブロの顔に歓喜が浮かぶ。
「やったぞ!! もう死ななくて済むのか!!」
――背後から声。
「ボス……なぜあなたがここに?」
振り向く。
そこにいたのは、金色の髪を持つ青年。
「ジョルノ・ジョバァーナ!!」
心臓が凍る。
「なぜおまえがここに」
ジョルノもまた驚いていた。
「ボス……あなたもこの世界に?」
(まずい。殺される!)
「やめろ! くるな! 俺のそばに近寄るなァァー!!」
ジョルノは静かに歩み寄る。落ち着いた声で言った。
「いったん落ち着いてください。取引をしませんか?」
「……取引だと?」
「今、あなたのレクイエムの効果を停止しています。元に戻すことも可能です」
ディアブロの喉が鳴る。
「この状態を維持したいなら、僕の指示に従ってください」
「貴様……!」
「いいんですか? もう一度、発動しても」
沈黙。歯を食いしばる。
(屈辱だ……だが……死ぬよりは……!)
「……分かった」
ジョルノは内心でほくそ笑む。
(もちろん嘘だ。今の僕に矢はない。つまりレクイエムは使えない)
その時――
ギィィ……
洋館の門がゆっくりと開く。
現れたのは、中華風の服を纏った赤髪の女。
帽子には「龍」の字。
鋭い視線が二人を射抜く。
「あなたたち……どこから入ったんですか?」
ジョルノが先に答える。
「気づいたら、ここにいました」
ディアブロも続く。
「嘘ではない」
女の目が細まる。
「……侵入者ですね」
瞬間。
地面が抉れるほどの踏み込み。
風が裂ける。
「ッ速い!」
鋭い蹴りがジョルノを襲う。
ゴールド・エクスペリエンスがかろうじて受け止める。
だが衝撃は凄まじく、骨にひびが入る感覚が走る。
「ハァッ……!」
(ただの人間じゃない……!)
「ゴールド・エクスペリエンス!」
地面を殴る。
そこから木が生まれ、急成長し、壁のように立ちはだかる。
「なっ……木が!?」
女が目を見開く。
ジョルノはその隙に上へ退避する。
「ボス! 彼女の相手を!」
「分かった。だがお前は本当にレクイエムを任意で発動できるんだな?」
「ええ、もちろん。僕の能力は任意で生命を与えられる。レクイエムも同じです」
(嘘だが)
「……信じよう」
女が拳を構える。空気が震える。
「私を無視して話してる余裕あるんですか?」
木を粉砕する拳。
だが――
女が逆に吹き飛んだ。
「これは!! 攻撃が自分に返った!?」
ディアブロが道を塞ぐ。
「俺が相手だ……小娘」
女はゆっくり立ち上がる。口元に笑み。
「私に勝つつもりですか」
蹴りが飛ぶ。
だがディアブロは軽々とかわす。
エピタフ。未来視。
軌道はすでに見えている。
「お前じゃ俺には勝てない」
「私を舐めないでください」
速度が上がる。
拳が、蹴りが、嵐のように襲いかかる。
「これは……速い!」
未来は見えている。
だが、体が追いつかない。
スタンドで防御する。
だが――
追いつけなくなっていく。
女が拳を構える。
(来る!! 防御した瞬間にキング・クリムゾンで反撃だ!!)
両腕を構える。
しかし――ディアブロは遅れてしまった
来たのは拳ではなかった。
下からすくい上げる動作。
ガードを強制的に上げさせる。
そこに“見えない何か”の存在を感じ取った動き。
「見えないですが……やっぱりいますね。そこに“人の形をした何か”が」
隙が生まれる。
「しまった!!」
拳が迫る。
――しかし。
気づけば、ディアブロは女の後ろに立っていた。
キング・クリムゾン。
時を飛ばした。
「いつの間に!!」
その瞬間、女を押さえつける。
「危なかった……発動が遅れていたら終わっていた」
ジョルノが駆け寄る。
「ボス、殺さないでください。この人には聞くことがあります」
「分かっている」
女は悔しそうな顔をしていたが、やがて観念した。
「まず一つ目の質問だ。ここはどこだ? 少なくともイタリアではない」
女は驚く。
「あなたたち……本当に知らないんですか?」
「二度も言わせるな。本当に知らない」
ディアブロが拘束を解く。
敵意はもうない。
女は深く息を吸い――
「ここは――幻想郷です」
どうだったでしょうか面白かったらコメントなどお願します
m(_ _)mちなみに作者はディアブロ推しアクスタなども持ってあと第八部は出す予定なしです