ブルアカ世界にTS転生したから先生をからかおうと思ったら普通に食べられた話   作:息抜きのもなか

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何から何まで作者らしからぬ作品です。
思いついたから勢いで書いた。後悔はしていない。


食べられた

 やっほー。こちらキヴォトス。

 エナドリの飲み過ぎでカフェイン中毒になっていつの間にか死んでた城崎(きのさき)ナナコが通りますよーっと。学校で友達に勧められて転生後初のエナドリを飲んだら一気に記憶がこうぐわぁーって押し寄せてきてね、お目々ぱちくりしてたらエナドリの味に驚いてるんだと誤解されましたわ。

 でもまあ今世を生きてきた私がベースなのは変わんないし、前世の私も愉快な奴だったみたいで私とそんな変わらないっぽいから、あんまり気にはしてないんだけどね。

 しかし、今世の感覚が大きすぎて実感ないけどTS転生ってやつになるのかな? あ、でも男の人への憧れみたいなのはちょっと薄くなったかも。さっき友達とも先生ってどんな人だろうって話してたんだけど、雲の上って感じがあんまりしなくなってるんだよね。

 よし、決めた。

 他にも会いたい娘もいっぱいいるけど、まずは先生に会いに行こうっと。元男だからできる距離の詰め方でドギマギさせて、めちゃくちゃからかってやる。

 他の人ならいざ知らず、先生は絶対生徒に手を出さないから安心だしね!

 そうと決まればレッツゴーシャーレ!

 私褐色でそこそこスタイルいいし、もしかしたら先生を狂わせちゃうかもね。

 

 

「あれ、誰もいないのかな?」

 

 シャーレに到着したものの、人の気配がないよー。

 まあイベントシナリオとか絆ストーリーとかを考えると色んなところ飛び回ってそうだし、不在にしてることの方が多いのかな?

 だとしたら正面入口が開いてたのが不用心すぎるね。こんなの侵入し放題で爆弾設置したり盗聴器仕掛けたりなんでもし放題じゃない? いや、私はやんないよ。やったら間違いなく先客に見咎められて詰められるでしょ。

 人の居ないシャーレを見学。気分は聖地巡礼だね。

 お、この付箋いっぱいついてるモニターがあるってことは、ここが先生のデスクかな? じゃあこの辺から見ると……おお、お時間頂戴されちゃう画角と完全一致。ちょっと感動。

 あれ、デスクにマグカップ残ってる。中身はコーヒーかな?

 ほんのちょっとだけ飲み残しが入ってるね。勿体ないけど、これが兎さんとか狼さんとかに見つかったらぐいっと行っちゃうだろうし、流石に戻ってきて飲むことはないと思うけどもしかしたら先客に変なもの入れられてるかもしれないから、一応片しておこうかな。

 先生のマグカップを持って、流し台はどこかなとぐるりと見回す。奥の方にそれっぽいスライドドアを見つけて、そこに向かって歩いていく。否、シャーレにいる自分っていう事実にちょっと気分上がってスキップしちゃってた。

 そしてシュタッとスライドドアの前に立って、気付いちゃった。

 息の音。ゆっくりと規則的に聞こえてくるそれは、私の勘違いでなければ寝息じゃないかと思う。

 やばいやばい、あれかな、誰かが潜り込んでるのかな? それとも、宿無し勢の誰かだったりするかも?

 跳ねる心臓をぎゅぎゅっと押さえつけながら、スライドドアの開いてる隙間からそっと中を覗いてみる。

 

「んむ…………」

 

 休憩室っぽい内装の部屋に置かれた簡易ベッドの上に大人がいた。男の人。

 外回りしてると思ってたから無意識のうちに選択肢から外してた、本日のメインディッシュ。そこですやすやと寝息を立てている大人が先生だってことは、なぜかストンと腹の底に落ちてきた。

 西陽が差し込んでいる部屋の中に見るその景色はなんだか特別に思えて、ゲームのスチルを見ているような気分になる。先生が映り込むスチルなんてないから、余計に特別感。

 気を取り直して部屋の中を見れば休憩室らしく流し台もあるみたいだし、持ってきたマグカップを洗うのに使わせて貰おうっと。

 そこで気持ちよく寝ている先生を起こさないようにそろーりスライドドアの隙間を通って、流しにマグカップを置く。

 西陽が先生の顔に掛かりそうだったからカーテンをちょこっとだけ引っ張って、ついでにその顔を観察させてもらう。

 アニメ先生、いや便利屋先生、その中間ぐらいかな。普通にモテそうな顔なのがちょっとムカつく。ツンと頬をつついても全く起きなかったので、ついでに三回ぐらいツンツンしておいた。

 モチモチ肌にちょっとの髭の剃り残し。夢じゃなくて本当にブルアカ世界に転生したんだって実感する。これで実感ってのもどうかと思うけどね。

 

「ンん……?」

 

 おっと、危ない危ない。

 これ以上やると起きちゃいそうなので、覗き込んでいる体勢から身体を起こして流しに向かう。

 うん、ぐっちゃぐちゃ。さっきマグカップを置いたときも思ったけど、先生はあまり片付けが得意じゃないみたいだね。

 わかる。わかるよ。ついつい後回しにしちゃうよね。やればすぐ終わるってわかってるんだけど、なかなかやる気が出ないの。

 仕方ないから、今回は私がやってあげましょう。特別だよ?

 私は別に、洗い物は嫌いじゃない。ただの作業だし、ゲームのデイリークエストみたいなもんだと思ってる。だからそう、こんな風に鼻唄でも歌いながら、いや、私は結構ガッツリ歌いながらやることが多いけどさ、まあとりあえず終わったからいいでしょ。やり方なんて人それぞれよ。

 ふう、スッキリした。積み上がってたカップ麺のゴミも片付いたし、いいことしましたわ。

 そんなルンルン気分で片してたから、後ろでもぞりと誰かが動く音がするまで先生が後ろにいることを忘れてた。

 でもこれはチャンス。第一印象の掴みはいいだろうし、ここで私というキャラをアピールしなきゃ!

 

「あ、起こしちゃった?」

 

 そんな言葉を吐きながら振り返る。

 どう、初動は完璧でしょ。

 先生は私が歌ってる最中に起きたのかあんまり寝ぼけ眼って感じじゃないね。ならちょこっと恥ずかしいところを見せちゃったかもしれないけど、私はそんなことで恥ずかしがるようなヤワな乙女じゃないんでね!

 ふと先生を見て違和感に気づく。おや、先生はメガネ勢だったのか。なかなかお似合いではないですか。ますます便利屋先生味が増してくね。

 

「はじめまして、だよね?」

「そ。トリニティ総合学園、ボードゲーム同好会所属、城崎ナナコだよ。よろしく、せーんせっ」

 

 そんな私と先生と、どちらにとっても印象的な出逢いをした翌日。

 

「ほら、ナナコ、そろそろ起きて」

「うーん、あと五時間半……」

「それはさすがに寝坊助さんだなぁ」

 

 誰かに肩を揺すられて起こされて、私は布団の(ぬく)さにしがみつく。

 でもカーテンを開けてくれたのか薄っすら目を開けて見えた空がもう青かったのを見て、しぶしぶ私は体を起こす。さらばふかふか毛布。

 

「ほら、とりあえずシャワー浴びてきたら?」

「ん、そうするー。連れてってー」

 

 両手を上に突き出して待ちの姿勢を取っていたら、仕方ないなーと文句を垂れる誰かに抱っこされてベッドから降ろされた。

 そのまま促されるままに脱衣所について、万歳してって言われるままに万歳してバスローブを脱いで、そうして風呂場に叩き込まれて、シャワーの栓を捻って温かいお湯が出るまで待つ。

 まだ冷たい水の段階で家の風呂にしては豪華なバスタブが見えて、頭に疑問符が一つ。

 温くなってきたお湯で顔を一つ洗って家じゃないことを確信して、二つ目の疑問符が浮かんでくる。

 そして頭からシャワーを浴びて、あーめちゃくちゃ気持ちいい、いやそうじゃなくて流石に目が覚めて思い出しちまったんですわ。

 

 なんか普通に先生に食べられちゃったんですけど!?

 

 え待って!  あれ、そうなの? てっきり手を出してないと思ってたんだけど、先生って普通に生徒食っちゃうの?

 もしかしてあれか? 先生によって違う感じ?

 だったら煽りに煽る行動した私が馬鹿じゃん! どうせ手は出さないだろと高をくくってたら流れるように処女消し飛びましたけど!? なんなら転生に気付いて男だからとかイキってた当日に女にされちゃってますけど!?

 うわー、マズった。マズったよー。

 こんなハズじゃなかったのにー。もっと先生をからかって遊ぶ予定だったのにー!

 あれかな? 二次創作のめっちゃいろんな生徒と関係持ってる先生を引いちゃった感じなのかな?

 先生は生徒に手を出さないから安全とか言ってた馬鹿は誰だよー。ガセ情報掴まされたー!

 こう思うととことん自分で墓穴掘ってる気がするね。

 いや、生徒に手を出すなって話だから先生に責任はあるんだけど! 間違いなく! あるんだけど!

 

「えー、普通にどうしよ……」

 

 先生のハーレムに加わるのは癪だけど、正直逃げようとしても捕まる気がするんだよね。昨日の感じだと私、押されるとダメっぽいし。逃げてたらある日突然先生に待ち伏せされてそのまま連れてかれて……、あ、無理だわこれ。ビジョンが見えない。

 何がまずいって、正直、嫌じゃなかった。これが一番ヤバい。

 だって、嫌じゃないから、断れない。

 私ってこんなチョロかったっけ。自分が心配になる。

 うん、事故だったことにしよう。なんかそういう雰囲気に流されて、ヤッちゃっただけ。

 これで変な動きになる方が、先生もやり辛いだろうし。いや、慣れてるならその挙動不審も面白がるのかも。その方が先生的には喜ばしいのか?

 いやいや、無駄なことは考えるな。昨日の作戦だって、途中までは上手く行ってたんだ。だからいつも通りの私で、何もなかったように振る舞えばいいの。

 お腹に力を入れる。唇を引き結ぶ。よし、大丈夫。

 私は城崎ナナコ。どうやら元男。

 目標は、先生をからかってドギマギさせること。




主人公の容姿は「ジャヒー様はくじけない」のジャヒー様をイメージください。さすがに制服はトリニティ。羽根は生えてないよ。
続きのプロットはあるけど気分次第。
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