ブルアカ世界にTS転生したから先生をからかおうと思ったら普通に食べられた話   作:息抜きのもなか

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勢いで書いた続き。後悔はしていない。


また、食べられた

 先に入っていたんだろうね。私がシャワーから戻ると、先生はもう着替え終えていて、昨日のスーツ姿に戻ってた。

 当番の生徒から呼び出されちゃったからとひとまずモモトークだけ交換して、先生は払っておくと言って出て行っちゃった。一応調べたところオンライン決済みたいで、十一時までに出ればとりあえず大丈夫らしい。

 昨日の食事中に聞いた話だと昨日は休みだったみたいだから、悪いことしちゃったかなと思う。

 いや、悪いことされたのは私なんだけれども。

 

「十時十分、まあ、身支度は間に合うかな」

 

 のんびり支度をしながら、昨日のことを思い返す。

 先生と挨拶して、折角だからご飯に行かないと誘われて、了承して、道中でからかうために腕を組んであててんのよをやってみて、結構いい反応を貰った記憶がある。いや、ほんとにいい反応だったんだって。あれで計画の成功を確信したぐらいだよ? 初心(うぶ)で可愛い先生、これは手を出さないな、と思ってたんだけどねぇ。

 ひとしきり楽しんでからご飯を食べて、その帰りにホテルがあったから、ちょっとからかおうと思って誘ったんだ。

 

「せーんせっ、休憩、どうです?」

 

 たぶんそれで何か怒らせちゃったんだろうね。

 先生の目つきがその辺りからちょっと厳しくなったことを覚えてる。

 

「うん、入ろっか」

 

 まさか了承されるとは思ってなかったから、一線を引いてくれると勝手に思ってた私はびっくりして動けなかったんだけど、先生がその私の腕を引っ張ってこうして連れ込まれちゃって。

 部屋に入ってからお説教されるんだろうなと思ってたら、普通にそのまま哭かされましたわ。

 匂いフェチってやつなのかね。せめてシャワー浴びたいって言ったんだけど、ダメ、って言われちゃって、あんま覚えてないけど要約すると「そのままの匂いを堪能したい」みたいな理論で押し切られた記憶がある。

 うん、普通にセクハラだね。イオリにやってたみたいな。いや、私はセクハラどころか一線超えちゃってるんだけどね!?

 そこからは特に語ることはなく哭かされ続けただけだから、まあこれが昨日の流れだね。

 うん、やっぱこれ私が悪くない?

 先生に言い訳与えて、そのまま連れ込まれた形でしょ? キリノの言を信じれば先生と生徒の恋愛は犯罪じゃないってことだから、やっぱり私の自己責任になりそうな気がしてる。これが恋愛なのかは置いておくとして。

 そんなことを思案している私のスマホに着伝。

 

「はい、こちら城崎ナナコ」

「あ、ナナコ! 無事でよかった! ――じゃなくて! 無断欠席と無断外泊! さっきティーパーティーの人たちが来てたよ!」

 

 あ……。

 無断欠席はまあ最悪許されたかもしれないけど、無断外泊の方はちょっとヤバい。

 トリニティっていう学校柄もあるから風紀にはうるさいんだよね。外泊したら不純性交遊だと疑われてすごい白い目で見られる。いや、今回の私はガッツリアウトなんですけど。ガッツリ先生とヤっちゃいましたけど!

 うー、まあ先生のお手付きになったってことで許されないか? 無理か?

 だって私に手を出すぐらいだから多分毒牙に掛かってる生徒は多いだろうし、ティーパーティとかそういう生徒用の特別措置みたいなものを用意してそうなもんだけど。いっそダメ元で言ってみるか?

 とりあえず、さっさと学校に戻らないといけない理由ができちゃったので早々に支度をしてホテルを出る。

 最後に忘れ物チェックをして、

 

「あれ? これ、先生のかな?」

 

 一応落ちてたものがあったので、拾っておく。今度会ったときに渡して、違ったらばっちいし捨てちゃおう。

 いや、待て。無意識で先生ともう一回会おうとしてないか、私。

 送り付けろ送り付けろ。モモトークで写真撮って先生のか聞いて、そうだったらシャーレ宛てに送り付ける。それで解決でしょ。

 

『これ、先生の?』

『あ、それ、拾ってくれたんだ。ありがとう。仕事終わったらトリニティに回収しに行くね』

『ん、わかった』

 

 やっぱり先生のだったみたい。これでよし、と。

 いや、良しじゃないが? 昨日も夜に会ってあんなことになったのに、今日も夜に先生と会う気なの? 馬鹿じゃないの? 何? もう一回ヤられる気なの? 馬鹿なの?

 でももう『わかった』って返しちゃったし、ぐぬぬ。

 

『教室で待ってるね?』

 

 仕方ない。これは仕方ないから。今日は忘れ物渡して、そのまま帰るから!

 

 

 はい、自宅の城崎ナナコです。

 私の現在地は、自室のベッドの上。部屋には一人です。

 

「ああああああああああ!! 何やってんだ! 何やってんだ! 馬鹿か! 馬鹿なのか私は!」

 

 私は自分の行動を振り返って、ばたばたと布団を痛めつけることぐらいしかできない。ぼふぼふと気の抜けた音を出す布団(こいつ)にちょっとだけ腹が立つけど、筋違いな怒りだと理解してる。

 いや、待ち合わせ場所が分からなくならないように教室を指定したのは良かった。良かった、筈なんだけど……。

 先生は仕事が立て込んでたみたいで、八時ぐらいになっちゃって。

 そんな時間だからもう、みんなはもう帰っちゃっててさ。

 つい、からかっちゃったんだよね。

 

「昼間はいっぱい生徒がいたのに、今は二人だけ。先生、今なら何しても誰にも見られないね?」

 

 うん、まあ、後はもう、言わなくても分かるよね。

 ……先生のスイッチ入れちゃったみたい。

 馬鹿だよ! 学習しろよ! 一回乗って来られてるんだから、そりゃ今回も乗るに決まってんでしょうが! 何で分かんないかなぁ!

 しかも私、今度は明確に誘ってるじゃん! 自分で思うけどこれはからかったとかでギリギリ言い訳できないラインじゃない!? 何で煽る!? ほんとに何で煽る!? 元男のプライドはないの!? 自分が馬鹿すぎてどうしようもないよ!

 そんなことをやってると、ピコンとスマホが着信を伝える。

 

『もう寮には着いた? 無理させちゃったかもしれないから、しっかり休んでね』

『着いたよー! 喉ガラガラで酷いことになってるけど』

『ほんとにごめんね……』

『いいのいいの。煽った私が悪いし。じゃ、またね、先生!』

 

 いやホントに私が悪いんだよ。でも先生は生徒に手を出すなよ。

 はあ、シャワー浴びよ。いろんなものでべとべとしてるし。

 栓をひねって、頭からお湯を被る。冷たい水にびっくりするけど、上気していた自分の思考が冷えていくようで心地いい。だんだんと(ぬる)くなって、温かいお湯に変わるまで待つ。

 あー腰痛い。噂になるのが嫌で一人で寮まで戻ってきたけど、正直結構きつかった。先生の手前隠してたけど足ガクガクだったし。コンビニでご飯を調達した時なんか店員の子からすごい変な目で見られたもん。

 

「あー、酷い声」

 

 ガサガサで風邪ひいたみたいな声だ。

 外泊のことを知ってる人からしたら、疑われても仕方がない気がする。いや、疑いじゃなくて普通に有罪(ギルティ)なんですけどね。

 今日は昨日と比べたら時間的にはそこまでだったけど、なんかこう、状況と言いますか、シチュエーションと言いますか、普段過ごしてる教室でっていうのが、うん、言わせるなよ恥ずかしい。

 ふふ、先生も可愛かったなあ。余裕なくしちゃって、あれはケダモノと言って差し支えないお姿でしたわ。

 …………あー、やっぱり順調に絆されてきてる気がするね。いや、仕掛けたのはこっちだし、元々そこまで先生への評価が低いわけじゃないんだけどさ、楽しみ始めたら終わりな気がする。

 昨日の時点では楽しんでなかったのかって? ……黙秘権を行使します。

 

「前世の私が先生がめっちゃいい人だって知ってたから、その男の時の好感度がスライドしちゃってるのかな?」

 

 だとすると自分の先生への態度に説明がつく気がする。キャラ愛と親愛で大分属性が違う気もしちゃうけど。

 いや、ただの言い訳かな。先生を受け入れちゃってる自分を認めたくなくて、こんなことを考えているだけなのかも。

 もしかして転生モノで思考が体に引っ張られるって言うけど、こういう感じなのかな。モラトリアムの二周目なんて碌なもんじゃないからやめてほしいのに。

 まあ、これはただ、自分のしたことが信じられなくて戸惑ってるだけの子供の戯言か。

 だって、鏡に映ってる自分の顔を見て見ろ。

 

「戸惑ってるやつの顔じゃないでしょ、それは」

 

 もう本当に、私はチョロいんだから。

 

 

 コンビニで調達したご飯を食べて、ベッドに寝転がりながらSNSを見る。

 そうそう、今日の朝は授業のコマを調べるのに使ったけど、ホントは先生の性事情を調べようと思ってたんだよね。手が早い先生のことだから、結構SNSでもそういう話題があふれてるはず。

 今日のお相手が私だったのは忘れ物の件もあるけど、多分私を確実に落とそうっていう目論見だったんじゃないかな。まあ昨日の時点でもう絆されてるからあんまり意味な――落ちてない落ちてない私は落ちてないから! 全然まだまだ落ちてないから!

 ふう、それはさておき、SNSのチェック。

 先生の毒牙がネームドの生徒に行き渡っているなら、そこら中にそういう発信で溢れているんじゃないか、と高を括っていたんだけど。

 

「……全然、ない」

 

 どういうことだろう。そういう発言をするときのマナーでもあるのかと思って調べたけど、そっちも空振り。

 調べ方が悪いのかもしれないけど、少なくとも表立って先生との関係を公言している生徒はいないということになる。

 だとすると、考えられるのは三つ、いや二つ。

 一つは先生が関係を持った生徒に口外しないようにお願いして、皆がそれを律儀に守っている可能性。

 いやー、これは普通にない気がするんだよね。だってみんないい子だとはいえ、年相応の子たちだよ? マウントを取りたい子もいるし、あと単純にそういうコトをして平然としてられる子ばかりじゃないから。まあ、そういう子は避けている可能性はあるのかもしれないけど。

 ヒナとかナギサとか、立場があってちゃんと約束を守れる子だけに限定しているとか?

 だとしたら、私が食べられた理由が解らないよね。だからこの説はパス。

 もう一つの可能性は、先生が外に言いふらさない生徒を選んでつまみ食いをしてる可能性。

 正直こっちの方がありそうかな、とか思っちゃう。私が食べられたのも、なんかそういう雰囲気を察されて押し切られた可能性もあるから。ストーリーが壊れるかもって不安があるとはいえ、実際全然言えてないわけだしね。

 うん、やっぱりこっちなのかな。あんまり、認めたくはないんだけど。

 先生にはもうちょっと、清廉でとは言わないけど、誠実で居て欲しかったから。先生がクズで悪い大人なんて、認めたくないじゃん。

 

「探してみよっか」

 

 先生の毒牙に掛かって、言い出せない子を。

 いや、あんまり嬉しくないんだけどさ、こういう形でネームドの子に会うの。

 もし本当に先生がクズだった場合、どうしよっかな。その場合は先生を、は無理か。シッテムの箱を突破できないし、多分それこそヒナとかミカとかツルギに抑えられて終わるだけ。

 上手く回ってる世界を壊す必要なんてない。先生がクズならどこかで(ほころ)びが起きるような気もするけど、それは先生の自業自得でしょ。でも見て見ぬふりをするのもなあ。

 消した三つ目の可能性はないのかって、ちょっとだけ考える。

 ……いや、ないないない。そんなの、あり得ないって。

 だから私の当面の目標は、私以外に先生に手を出された生徒を見つけること。

 

 私がこそこそ嗅ぎまわってるのが先生にバレたら?

 うーん、よくわからないけど、その時は『お話』して終わるんじゃないかなぁ、私が。




主人公の行動も大概。
続きは気分次第。
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