FF16×ベルセルク ―生贄の烙印とドミナント― 作:ほろにが
人は求め続ける。
力を、資源を、名誉を──飽くなき欲望は幾重にも重なり、いずれ世界そのものを歪めてしまう。
求め、奪い合い、世界は軋む。
熱く脈打つ
ならば、せめてこの連鎖だけは断ち切らねばならない。
すべてはこのような惨劇を繰り返させないためだ。
人が自らの意思で生きられる世界を──
“人が人として生きられる場所”で生を紡げるように!
胸奥の誓いとともに、クライヴの肉体が赤橙の炎を噴き上げた。
内なる力の覚醒──周囲の空気が一瞬震え、地を這う炎の気流が敵を圧倒する。
「グオアァッ!」
奪い手の頭目と思われる巨漢が、その変貌に一瞬怯むも、
獣じみた怒声と共に巨大な戦斧を振り下ろす。
しかし──ラグナロクの刃が受け止めた瞬間、
斧頭は乾いた音とともに亀裂を走らせ、鳴動とともにそのまま砕け散った。
全身を灼く焔をまとい、クライヴは決然と咆哮を放つ。
「この手で──断つ。 まずは貴様からだ!」
巨漢が大きく傾ぐ。
しかし、後方からも手下どもが殺到する気配。
クライヴは振り返らず、眼光を閃かせる。
「遅い!」
猛攻を誘い、寸前で滑るように横へ回避──身体が残像のように素早く流れた。
当然その後の反撃に備える暇などあるはずもなく、
次の瞬間には、すでに豪快な太刀筋が視界を横切っていた。
「ギャッ」
「グェ !」
耳に残る短い断末魔。
後から襲い掛かる群れも光る剣筋の前に、灯蛾の如く燃え尽き、
分断されていく。
……闇の奥で揺らめく剣影に、あの男の姿が重なる。
空間をも断つ剣を振るい、全てを押し返してきた“王”の姿が──
──バルナバス!
名を呼んだのは、怒りでも恐怖でもなく、反射だった。
「うおおぉぉぉっ!」
連続した火炎波状の斬撃が、群がる敵を薙ぎ払う。
朱に燃える軌跡が重なり、肉を裂き、焼き切り、蒸気となって立ち昇る。
──!
その中から、黒き巨漢がよろめきつつも、再び態勢を整えた。
倒れ伏した仲間の剣を拾い上げ、それを両手で握り潰す勢いで、
クライヴめがけて振り下ろしてくる。
──だが。
「無駄だ!」
次の瞬間、視界を裂く閃光。
巨漢の太い両腕が根元から斬り飛ばされ、空中に血の弧を描いて飛んだ。
「──アガァッ!!」
断末魔が形になる前に、手放された剣は惰性のまま回転──
別の敵の頭部へ突き刺さる。
砕けた頭蓋から黒く濁った脳漿が噴き出し、地に散った。
そして──
クライヴは地を蹴り、そのまま虚空へ。
──!?
敵の視線が、一斉に天を仰ぐ。
狙いはひとつ。
両腕を失い、絶叫を上げ続ける巨漢へ──燃え盛る剣を携え、急降下。
「──終わりだ!」
轟音。
頭蓋は縦に割れ、焼け焦げた脳髄と眼球が宙を舞う。
黒煙と血臭が立ち込める中、
地に伏せる音が、粉塵が──広場一帯に響き渡った。
「フゥー……」
クライヴは剣を下ろして静かに息を吐いた。
身体に纏っていた炎は徐々に収束していく。
だが瞳の奥には、まだ消えぬ戦意の火が宿っていた。
視線は倒れた首魁へと向けられたまま、次の対象へ。
「今度はお前たちの絶望を、俺が刻み込む
──さあ、どこからでもかかってこい!」