ゲーム主人公との青春録   作:ラストオーダー5秒前

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#0 ソレハ全テノ始マリ

 

 

 

色んな世界を旅してきた

 

 

ーーー間違っていたのは俺じゃない、世界の方だ

 

 

多くの出会いと別れを経験してきた

 

 

ーーー最後に一度ぐらいは、先輩のお役に、立ちたかった

 

 

己という存在が擦り切れるほど、地獄を見てきた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも最後には達成感と満足感があった

 

 

これがあるから俺は壊れない

 

 

これがあるから俺は壊れられない

 

 

 

壊れた方が楽なのだろうが世界は、神はそれを赦してはくれない

 

 

だから俺は今日も旅を続ける

 

 

たった今踏破された世界(全クリしたゲーム)を乗り越えて

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

(………?此処は何処だ?)

 

視界が上手く映らない、まるで世界全体を曇りガラスを通して見ているような感じだ。

しかし規則的な音と揺れで今電車に乗っていることを察する。

 

(今回は電車スタートか……いつもは主人公(宿主)の自室かそれに近しい場所で目を覚ますから情報集めるのは簡単なのに、よりにもよって電車かぁ……)

 

後々発生するであろう苦行イベントに嘆くが仕方ないと割り切り、今出来ることを確認しようとする。

しかし、身体が動かない。さながらこたつに入った疲れ切っている社会人の如く、動かない。動く気配さえしない。

 

(な〜んで動かないんでしょうねぇ、アレか。セメントか何かでガッチガチに固定でもされてんのか俺)

 

手も、足も、頭はおろか瞼さえも己の意思で動かすことが出来ない。

これはどうしたものか、そう悩んでいると

 

 

「……私のミスでした」

 

 

不意に、声が聞こえた。

 

 

「私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況。結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて……」

 

 

名も分からず、姿さえも視認する事が出来ない誰かの告白。声から若い女性だと判断したが最近女の子にしか見えない男の子も居るので正直当てになるとは思えない。

 

(誰誰誰誰誰なの分かんないよ怖いよぉ!ぼやけた視界は自分の膝しか映ってないしさぁ!情報無さ過ぎんだろ今回!!)

 

心の中で慌てる間も女性の告白は続いていく。

 

 

「……今更図々しいですが、お願いします。

 

 

 ーーー先生」

 

 

(………SENSEI?……せんせい……先生……先生?誰が?……え、これ俺か?教員免許持ってないし勉強教えることもすることも苦手だしそもそも多分まだ未成年だぞ俺!?)

 

女性から打ち明けられた事実に混乱する。正直疲れてきているがまだ開始してから数分程度、序盤も序盤である。

 

 

「きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません。

 何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから。

 ですから…...大事なのは経験ではなく、選択」

 

 

混乱していた為気付かなかったが、女性の言葉に違和感を感じた。

 

(あなたの方が正しかった、同じ状況で同じ選択をする……俺はこの女性と面識があるのか?恐らく交流した数はそこそこ多いような発言をしているが……重要人物だったりしそうだよなぁこの感じだと)

 

 

「責任を負う者について、話したことがありましたね。」

 

(無いです)

 

「あの時の私には分かりませんでしたが……。今なら理解できます。

 大人としての、責任と義務。

 そして、その延長線上にあった、あなたの選択。

 それが意味する心延えも…」

 

 

「ですから、先生」

 

 

「私が信じられる大人である、あなたになら、この捻れて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を…...。

 そこへ繋がる選択肢は……きっと見つかるはずです」

 

 

女性は信頼やらなんやらを込めた言葉を告げる……が。そんなものは微塵も届いていなかった。何故なら

 

(おいおいおいおい待て待てよ待ってくれ頼むから。

今なんて言ったよ大人か大人って言ったかおい!?確かに大人になった回数は何回かあるが俺自体は未成年だぞ!?この身体もまだ幼さが残ってるから多分きっと恐らく未成年の筈だぞ!!?見た目がどう見ても子供な大人とか居るから断言出来ないけどさ!?多分あれだよな比喩表現だよなそうだよなこの身体今までの身体よりしっくりするから若いって信じたいんだけど大人って認めたらもう成長の余地ないじゃん!!)

 

………それはそれは素晴らしいほど典型的な動揺をしていた。あらゆる大人を敵に回すようなことを考えているが、幸いなことに口に出ていないので聞かれる心配はなかった。

 

 

「だから先生、どうか……」

 

 

女性が話し終える前に、彼の意識は飛びかけていた。寝不足によるものではなく、身体が限界を迎えたときの失神に近い感じだ。

 

 

(ヤバい……そろそろ落ちそう……)

 

 

意識が消える直前、視界に人が映った。

青い髪に、一部血に染まった白い制服。

そして、片目が隠れた、可愛らしい少女の顔。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーあぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(顔に血が付いてるのが気にならない程、可愛いじゃねぇか………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで彼の意識は完全に沈んだ。

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