異世界の辺境でサキュバスにTS転生した。歪んだ愛を向けてくる姉から貞操と尊厳を守るには、魔王となって世界を統べるしかない。   作:パッタリ

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35話 お仕置きの名を借りた調教と甘く蕩ける地獄

 土と布で密閉された簡易テントの中は、外の乾燥した空気とは無縁の、湿り気を帯びた濃密な空間になっていた。

 充満しているのは、イリスお姉さんから立ち上る芳醇な魔力の香り。

 そして、獲物を追い詰めた捕食者の気配だ。

 

 「ん……っ、ぐ……ぅ……!」

 

 地面には、手足を拘束されたレジエが転がっている。

 口には猿轡(さるぐつわ)のように魔力の枷らしきものがはめられ、声が出せない。

 だが、その瞳だけはギラギラと燃え上がり、目の前で繰り広げられる光景を凝視していた。

 

 「よく見ていなさい、泥棒猫さん」

 

 お姉さんは、俺を膝の上に抱きかかえながら、レジエに向かって優雅に微笑んだ。

 俺の背中は、お姉さんの豊かな胸に押し付けられ、両手は後ろで拘束されている。

 逃げ場はない。完全にまな板の上の鯉だ。

 

 「私の可愛いミアを連れ去って、あなたは何をしたかったのかしら? 自分好みに躾けたかった? それとも、ただ貪りたかった?」

 

 お姉さんの指先が、俺の首筋を這う。

 ぞくり、と背筋に電流が走る。

 ただ触れられただけではない。指先から、粘度の高い媚薬のような魔力が直接神経に流し込まれているのだ。

 

 「サキュバスの躾というのはね、こうやるのよ」

 

 お姉さんが俺の耳元でささやく。

 

 「まずは私の魔力にどっぷりと漬け込んで、芯まで私の色に染め上げる。……時間をかけて丁寧に、快楽による下拵えをするとね、とろっとろのミアが出来上がるの」

 「ひぁ……っ、な、なに……言ってやがる……」

 「ふふ。それを今から、特等席で見せてあげるわ」

 

 お姉さんの手が、ゆっくりと下がっていく。

 脇腹を通り、腰のくびれを撫で、そして──豊かな臀部へと到達した。

 

 「んっ!?」

 

 びくっ、と体が跳ねる。

 お姉さんの両手が、俺の柔らかいお尻を左右から鷲掴みにしたのだ。

 服の上からではない。

 いつの間にか、魔法で下着ごと衣服の一部が消滅させられ、素肌が晒されている。

 

 「や、やめろ……っ! レジエが見て……!」

 「見ているからこそ、興奮するでしょう?」

 

 お姉さんの指が、肉に食い込むように動き始めた。

 ただ揉んでいるのではない。

 パン生地をこねるように、あるいは硬い果実を熟れさせるように、絶妙な力加減で揉みほぐしてくる。

 

 「あ、ぅ……っ、んんっ!」

 

 声が漏れる。止められない。

 揉まれるたびに、そこから熱い波紋が広がり、腰の奥が痺れていく。

 

 「最初は固いところも、こうやって周囲を優しく、執拗に揉んでいくと……少しずつ、抵抗をやめて柔らかくなるの」

 

 お姉さんの手つきは、いやらしいほどに手慣れていた。

 外側から中心へ。

 円を描くように撫で回し、時折、指先が危険な谷間をかすめる。

 一歩間違えれば、お尻の穴に触れかねない。

 

 「ひぐっ……! そ、こは……だめっ……!」

 「だめじゃないわ。ここが一番、正直に震えているもの」

 

 お姉さんは楽しげにささやき、さらに深く、重く、肉をこねくり回す。

 俺の意思とは無関係に、体は快楽を受け入れ、力を失っていく。

 レジエが喉を鳴らし、苦しげに唸った。

 目の前で、自分が欲しかったお宝が、他人の手によって無様に喘がされている。

 それは彼女にとって屈辱であり──同時に、強烈な刺激でもあった。

 

 「そして……とろとろに柔らかくなって、指がするっと入りそうなほど、ほぐれるようになったら……」

 

 お姉さんは言葉を切ると、俺の肩越しに顔を出した。

 そして、サキュバス特有の人間よりも遥かに長く、艶かしい舌を出し、だらりと垂らしてみせた。

 先端がピクリと動き、空気を舐めるように蠢く。

 

 「このながーい舌で、ぐりゅぐりゅと中を綺麗にしてあげるの」

 

 レジエの目が釘付けになる。

 あれが何を意味するか、本能で理解してしまったからだ。

 俺もまた、直接見せつけられた凶器に、戦慄した。

 あんなものが、もし、俺の──。

 

 「い、いやだ……! やめろ、それだけは……!」

 

 俺は必死に首を振った。大変なことになる。

 物理的な意味でも、精神的な意味でも、後戻りできない領域に踏み込んでしまう。

 

 「うふふ。そんなに怖がらなくてもいいのに」

 

 お姉さんは舌をしまうと、パシッと音を立てて俺のお尻を叩いた。

 そして、名残惜しそうに手を離す。

 

 「まあ、まだここは早いわね。焦らすのも大事なスパイスだから」

 

 た、助かった。とりあえず一線は守られた。

 俺は安堵のため息をつこうとしたが、それは甘かった。

 

 「でも、下拵えはまだ終わらないわよ?」

 

 お姉さんの両腕が、今度は俺の胸元に回された。

 背後から強く抱きしめられる。

 俺の背中にお姉さんの鼓動が重なり、鼻先には甘く危険なフェロモンの香りが漂ってくる。

 

 「すぅーっ……はぁ……。恐怖の混ざったいい匂いね、ミア」

 「んぅ……っ、苦し……」

 「暴れないで。私の匂いを、もっとよく嗅ぎなさい」

 

 お姉さんは俺の顎を持ち上げ、無理やり自分の方へ向かせると、首筋を押しつけてきた。

 脳が麻痺するような、芳醇な甘い香り。

 吸い込むたびに、思考が白く濁っていく。

 男の時には感じなかった、胸の奥がキュンと締めつけられるような切なさと、熱さ。

 

 (……あ、れ? なんだ、これ……気持ち、いい……?)

 

 抵抗する力が抜けていく。

 ただ、お姉さんの腕の中にいることが、世界の正解であるかのような錯覚。

 俺が陶酔に瞳を潤ませ、口元をだらしなく緩めていると、お姉さんは満足げに頷いた。

 そして、視線を床のレジエに向けた。

 

 「……さて」

 

 お姉さんが指を弾くと、レジエの拘束魔法の一部──口元と首の自由を奪っていた枷だけが、ふわりと解かれた。

 

 「ぷはっ……! はぁ、はぁ……!」

 

 レジエが荒い息を吐く。

 お姉さんは俺の体を抱きかかえたまま、俺の右足をすっと持ち上げた。ブーツを脱がした状態で。

 白く、滑らかな太ももから、華奢な足首、そして指先まで。

 それを、レジエの目の前に突き出す。

 

 「とろとろになったミアを、少しだけお裾分けしてあげるわ」

 「……な、にを」

 「足だけなら、味わってもいいわよ? 敗者への慈悲よ、感謝なさい」

 

 本来なら、あまりにもふざけた物言いだ。

 力ある竜族に対して、残飯をあさる野良犬のような扱い。

 激怒して噛みついてもおかしくない。

 

 「……ミア」

 

 だが、レジエは震えていた。

 屈辱にではない。

 目の前に差し出された、甘い蜜の匂いに、抗いがたい渇望を刺激されて震えているのだ。

 

 「いい、匂い……」

 

 レジエは這いつくばり、俺の足先に顔を寄せた。

 鼻をひくつかせ、くんくんと匂いを嗅ぐ。

 歩きや戦闘で酷使されて蒸れた足に、俺の体から発散される魔力とお姉さんの濃厚な残り香が混ざり合った、背徳的なアロマ。

 

 「おい、やめ……きたな……っ」

 

 俺が足を引っ込めようとすると、お姉さんががっちりと太ももを固定した。

 

 「動かないの。……ほら、あの負け犬にご主人様を味わわせてあげなさい」

 「ん……いただきます……」

 

 レジエの口が開かれる。

 中から現れたのは、先割れした爬虫類の舌だ。

 それが、俺の足の甲をべろりと舐め上げた。

 

 「ひっ!?」

 

 ザラザラとした感触と、生温かい粘液。

 人間とも、サキュバスとも違う、獣の舌触り。

 俺の悲鳴を合図に、レジエの理性が崩壊した。

 

 「んっ、ちゅ……じゅる、じゅるり……っ!」

 

 むしゃぶりつく。

 まさにその表現が相応しかった。

 レジエは俺の足首を両手(拘束されているが可動域は少しだけある)で抱え込み、夢中で舐め、吸い、噛みついた。

 

 「あ、が……っ! 指、指の間はやめろぉ!」

 

 敏感な指の間に舌をねじ込まれる。

 かかとを甘噛みされ、くるぶしを吸い上げられる。

 レジエの瞳は完全にイッていた。

 目の前のご主人様の一部を、必死に味わおうとする執着。

 そこには竜族の誇りも尊厳もない。後戻りできない中毒者の姿があるだけだ。

 

 「あ、ぁ……んぅ、ひぐっ……!」

 

 俺の脳がショートする。

 上からはお姉さんに抱きしめられ、フェロモンを吸わされ、媚薬のような魔力を注入され続ける。

 下からはレジエに足を犯され、未知の快感を刻み込まれる。

 情報量が多すぎる。

 処理できない。

 男としての理性が、音を立てて崩れ落ちていく。

 

 「あー……ぅ、あ……」

 

 俺の口から、力の抜けた声が漏れる。

 視界が白く霞み、口の端からよだれが垂れ落ちた。

 

 「ふふ。いい顔よ、ミア」

 

 お姉さんは俺の顔を覗き込み、垂れたよだれを自分の舌で優しく舐め取った。

 

 「んっ……ちゅ。……甘いわ」

 

 そして、俺の足を夢中で貪り続けるレジエを見下ろす。

 手足の自由を奪われ、這いつくばって他人の足を舐めるその姿は、まるで巨大な芋虫のようだ。

 無様で、惨めで、そして最高に滑稽な敗者の姿。

 

 「……うふふふふ」

 

 お姉さんは、心の底から満足そうに喉を鳴らした。

 自分の所有物が、他者を狂わせるほど魅力的であること。

 そして、その狂った他者すらも、自分の手のひらの上で管理できているという事実。

 その歪んだ優越感が、彼女を至高の悦びへと導いている。

 

 (……勝て、ない……)

 

 俺は薄れゆく意識の中で、ぼんやりと思った。

 この人は、強すぎる。

 力も、魔力も、底なしの欲望も、悪意も。

 俺がいつか、この人を征服する日なんて、本当に来るのだろうか……。

 今はただ、二人の怪物に挟まれ、甘い地獄の中で蕩けることしかできなかった。

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