ウルトラ怪獣がスキルとして出るのは間違っているだろうか 作:サイセンサイ
夢を見た、見たことない街並みに自分がポツンと佇んでいるのだ。キョロキョロと周りを見渡してみれば誰もいない、地面は何か石とは違う黒い塊のようなものが真っすぐと道を作っておりとても頑丈そうな通り道だった、周りには何やらすごく高い建物だ並んでおり窓ガラスが大量についている。四角形の形の縦長のそれは【ビル】と呼ばれ地面にあるのは【アスファルト】と呼ばれるものだが、【別世界の人間であるベル・クラネル】には名称など知る由もない。
「ここは一体?」
何もわからぬままベル・クラネルは【道路の真ん中】を歩いていく。見たことのないものだらけで道の脇には木が何本か植えられているようだが、鳥や小動物、ましてや虫の気配すら感じないのは異常だった。
ベル・クラネルは今まで数多の緊急事態に遭遇しては、ひどい目にあってきた。今まで出会った人たちは今でこそ良好な関係を気づいてはいるが、その出会った人たちの半分以上から善悪関係なく何らかの危害を受けている。
軽視 侮辱 贔屓 差別 窃盗 裏切り 置いてけぼり 巻き込まれ パス・パレード 嫉妬 謀略 暴力 神のイタズラ 悪神 悪意ある挑発 袋叩き 卑劣 卑怯 貞操の危機 強者からの理不尽な扱い 道理の通らない不道徳 残酷 残虐 冤罪 石投げ 掌返し 過酷 暴虐 女の嫉妬 監禁 誘拐 洗脳未遂 拷問の形をとっていないだけの99%の拷問 その他エトセトラinエトセトラ
よくもまぁこれだけの事を経験しておいて人間不信にならないなぁ〜と感心してしまう。
中には仕方なかったものもあるかもしれないが流石に過酷が過ぎると皆が思うだろう。
しかしそれでもなお誰かの良いところや見なければならないところを見てその人のことを考えた善意を貫くからこそベル・クラネルはベル・クラネルなのである。
さて、そんな彼の目の前に【巨大なモンスター】がいる
普通なら逃げるか戦うかするところだ、事実ベル・クラネルも戦闘態勢に入っている。
しかしここからが彼の彼らしい行い
「寝てる?」
ベルは道理を歩いているときに【大きな鳴き声】を聞いた。モンスターなのではと急いで鳴き声のする方に駆け出した。彼は足の速さが自慢の冒険者。すぐにその場にたどり着いた。
目の前にいるのは見たことのないモンスターだった。まず、とてもデカいゴライアス並みの質量を誇るかもしれないと思いながら今度は跳躍してビルにしがみつき全体像を確かめる。全身が白く体毛も鱗も見つからず形はイモムシのように縦に真っすぐと伸びており本当にただただシンプルな体をしていた。目につくものは後ろにある【尻尾】と【大きな黒目】それ以外にまるで特徴がない、特筆すべき点があるとすれば【目を空けたまま寝ている】ように見える点である。
そしてベル・クラネルはモンスターの雰囲気に人より敏感であった。それは彼の守る対象の一つにして友達である彼ら【異端児(ゼノス)】と関わっていたからこそなのだろう、目の前の巨大な白くてデカくてシンプルなモンスターは本当に寝ているだけでまるで凶暴性を感じない。
「えっと、、、どうしよう、、、、」
寝ている間に倒してしまえば楽なのだが、ベルには無理だった。彼の知り合いたちなら容赦なくぶっ殺しているが何分お人好しなのである。結局何もできずにベルは寝ているであろうモンスターの周りをウロウロすることしかできなかった。周囲を散策することも考えたがどうにも目の前のモンスターが気になる。この状況の鍵を握っているように思える。なのでベルはしばらく座り込んでモンスターの目を空けたままの寝顔を眺めていた。
「はぁ、、、、師匠がここにいたら怒られてるんだろうなぁ〜、、、でも、なんでかな、、、なんとなく傷つけちゃダメって感覚が言ってる」
まるで子どもの所有物に手を出そうとしているような感覚がベルの心にあるのだ、この怪獣を攻撃したら子供に泣かれると理由のわからない感覚がベルの心中を刺激している。存在しない子供が自分の手をつかんで引っ張っているような気分だった。
すると
「! 起きた!!?」
モンスターが動き出した、目を空けたまま寝ていたので顔に変化はなかったが、確かに動き出したのだ、しかしモンスターはベルをその【ハイライトの無い黒目】で一目見た後、半回転して動き出した。
ベルはその後を歩いてついて行った、謎の鳴き声を上げながらウネウネと動いて前に進んでいくその後ろ姿をベルは眺めていた。
するととある場所でモンスターが止まったのだ。
ベルは尻尾のところから走ってモンスターの顔のところまで移動するとモンスターの鼻先に何かがあった。
「え?、、、これって」
ベルが見たのは【落書き】それも明らかに目の前のモンスターを描いた落書きだった。巨大な石の筒のようなものに大きくそのモンスターが描かれておりベルは落書きとモンスターをキョロキョロと何度も確認しながらやはりこのモンスターなのだと確信した。
その瞬間
「ん?!」
ベルの頭に何かが流れ込んできた。最初はモンスターが何かしたのではと警戒したが、相変わらずモンスターからは何の敵意も感じない。そして、ベルは頭に流れた【その名】を口にした。
「二次元怪獣ガヴァドン?」
その瞬間、世界は暗転した
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「あれ?」
ベルは目を覚ました
そこは自室のベッドの上で時計を確認するといつも通りの朝の時間だった。そろそろ師匠とリューが朝練に動き出す時間帯なのでベルは急いで身支度を整えるとふと思い出す
「変な夢を見てたような?」
そう思いながらも武器を用意して部屋から出ていった
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「二人共来ないな?もしかしてまた言い争いを、、、」
ホームの外でベルは一人で待っていた。今回も厳しい訓練に加えて二人の意地の張り合いに巻き込まれるんだろうなぁ〜と思っていると
「あ」
ふと、ホームの壁が目に入った。その瞬間何かに突き動かされるようにベルは壁の前に立つそしてキョロキョロと地面を見ると【小石】を見つけて手で持った。
それは子供がよくやる【石で白い線を出して落書きする遊び】だった
ベルはどこか【ハイライトのない目】をしながら小石を壁に押し付けた。
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「だから貴方は厳しすぎると!」
「人の加減をロクに理解しない分際で何を言っている小娘」
ホームの外に2人のエルフが現れた
一人はベルの師匠その1 ヘディン・セルランド
もう一人はベルの師匠その2にしてベルに対しても早手遅れレベルでメロメロのホニャホニャで振られたらどうなるんだよ案件の一人 リュー・リオン
ベルの教育方針について言い争いをしながらベルのいる場所に向かっていると
「ん?」
「え?」
2人が見たのはベルが壁一面に落書きをしている姿だった
落書きの内容は【武器】2人は知る由もないが、ベルが今まで見てきて特に記憶にのこっている武器がそこに描かれていた。
剣姫のデスペラード
大切断のウルガ
勇者の槍
千の妖精の杖
麗傑の大朴刀
黒妖の魔剣のヴィクティム・アビス
2人は一瞬ポカンとした後
「えっと、ベル?何を?」
「寝ぼけて幼児退行でもしているのか愚図が」
リューは狼狽してヘディンは冷たい目を向けるがベルは意に返さない
ヘディンはベルに対して圧を放ってみるがそれも意に返さない。
「、、、、様子が妙だな」
ヘディンがベルの異常に気づきそれを呟く。それを聞いたリューはベルの元へ駆け出し落書きし続ける右手を掴んだ
「ベル!どうかしたのですか!!?」
「んえ?」
リューに止められたベルは間抜けな声を出しながら【正気】に戻った。
「あれ?僕は何を?、、、、、え!!?」
そして目に入ったのは壁一面の落書き。ベルには自分が落書きしたという確かな記憶がある、しかし、何故自分がそんな事をしたのかまるでわからなかった。
「なんで、こんな事を?」
「カースでももられたか愚兎が」
「ヒルドスレイブ!もっと気遣いを!」
「あ、えっと、ごめんなさい」
その時
カシャン!カシャン!カシャン!カシャン!カシャン!
「「「!!?」」」
突然、複数の金属音が響いてその場を振り返る。そして三人が目にしたのは、、、、
「え?」
「これは、、、、」
武器が落ちていた
それもただの武器ではない
【ベルが落書きで描いていた武器】だった
ヘディンはそれに気づいた瞬間、落書きされていた壁を見る。そして壁には確かに落ちている武器と同じ形のが描かれていた。
「、、、、愚兎」
「は!はい!師匠!」
「お前、、、何をした?」
それは確かに【描かれたものの具現化】だった
そしてこの事件を始まりにオラリオの冒険者の間で奇妙な現象が複数確認される。
ステータスに謎のスキルが突然現れるのだ
ベル・クラネル
謎のスキル
ガヴァドン
二次元怪獣
描いたものを時間制限付きで具現化させる