ウルトラ怪獣がスキルとして出るのは間違っているだろうか   作:サイセンサイ

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ヘルンがヘイズを歯型まみれにした

 

「言っちまえば【なまくら】だな、ただ同じ形をしてるだけだ」

 

鍛冶師であるヴェルフが【具現化した武器】を一つ一つ審査してそう結論づけた。

 

そこはヘスティア・ファミリアのホームの大部屋であり、主神ヘスティアを筆頭にファミリアの全員とその場に居合わせたヘディンそしておまけのようにヘグニがそこにいた。

 

「や、や、や、やっぱり俺のヴィクティム・アビスとは違うよ、、、形はそっくりだけど持った瞬間偽物だとわかる」

 

ヘグニが具現化したヴィクティム・アビスを手にしながらそう答えた。噛みながら。

 

「具現化は形だけか、、、いや、問題は【無意識】の方か」

 

ヘディンが冷静に現状を整理する

 

「一体全体何が起こってこうなったんだベル君ンンン!!」

 

「ヒェ!ぼ!僕にもよくわからなくて!?たぶん変な夢が関係はしてるんでしょうけど、、、」

 

ヘスティアがベルに掴みかかり先ほどした説明をもう一度繰り返した。

妙な夢の内容、話している内に明確に思い出していた。変なモンスターや落書き、そして【無意識状態】のことを

 

あの後、ヘディンはすぐさまヘスティアを蹴り起こしてベルのステータスを確認させた。ベルには情景一途というレアスキルがあるのでまた何か発現したのではないかと考えたのだ、その考えは見事に当たり、謎のスキルがそこに現れていた。

 

「描いたものの具現化だとぉぉぉ!一部の神々が大喜びするスキルじゃないかぁぁぁ!!!絶対ベル君が弄ばれるやつじゃないかぁぁぁ!!!」

 

「あーー!もう落ち着いてくださいヘスティア様!」

 

ヘスティアのうるさい声にリリルカ・アーデが怒鳴りつける

 

リリは今、具現化したものが【なまくら】だとわかり、金儲けが潰えたとかでも逆に面倒事が減って良かったかもとか複雑な気持ちだった。

 

「落ち着いていられるかぁーーーー!!!子どもたちには分からないかもしれないけど具現化は神々がよくネタにするやつなんだ!例えば『やらしいものやら』『いかがわしいものやら』をベル君に頼み込んで具現化してもらいに来る奴らが必ず出てくるんだぞーーー!!ベル君の教育に悪いものがオンパレードでバス・パレードしてくるかもしれないだぞぉぉぉ!!!」

 

ヘスティアは本当に焦っていた。このままでは間違いなく面倒事が白熱すると。

 

「ところで具現化できるのは武器だけなんですか?」

 

「オワ!?」

 

「シルさん!?」

 

「はぁ~い♡あなたのシルで〜す♡」

 

そしてそこにさっき起きたばかりのシルが加わった

ホームに泊まり込みしていたのだがヘディンが御身を起こすべからずと気を使ったためさっきまで寝ていたのだ。

 

「いや〜まさか具現化能力まで身につけるなんて流石はベルさんですね〜今後のために色々試しておきましょうか〜」

 

「絶対遊びたいだけだろ君はーーーー!!!!」

 

シル・フローヴァそして女神フレイヤ

彼女もまた面白いことが大好きな神の一神にしてトラブルメーカー、ヘスティアは頭を抱えた。ヤンヤやんやと言い合いをしているその時だった

 

 

 

 

 

「一番の問題は【無意識状態】かと」

 

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

 

ヘディンが発言して全員がそれに耳を傾けた

 

 

「愚兎は無意識で絵を描いていた。そうだな」

 

「は!はい!」

 

「そして、その時の記憶ははっきりとしている」

 

「はい!」

 

「だが意識がないもしくは理性がない状態だからこそ疾風に腕をつかまれるまで我々に気づかなかった」

 

ヘディンは問題点を指摘し始めた

もしこの状態がダンジョンで起こってしまえば明確な隙となり最悪命を落とすだろう。そして例え危険地帯でなくても、例えば人前で無意識状態になって落書きをしてしまえば具現化能力が発動してすぐさまそれが多くの人の目に触れてしまう。

 

問題点を指摘されて皆の顔が曇った

 

もしかしたら大きな間違いが起こるかもしれないと頭に浮かんだからだ。

 

「だが圧倒的に情報が足りない、検証して試していくしかない」

 

「つまり、、、今から絵を描けと?」

 

「そうだ、無意識状態がどう起こるのか、法則性はあるのか、対処できるのか、見極める必要がある。ただでさえ貴様は注目の的な上に頭が空で扱いやすい、多くの者の玩具にされるのが目に見える。」

 

「うぅ、、、」

 

「ここはシル様の意見に乗りましょう。だから愚兎、これから指定するものを書け」

 

「はい」

 

そしてベルの絵画教室が開かれた

 

 

 

 

 

 

 

 

だが彼らは知らなかった

 

謎のスキルが増えたのはベルだけではないと

 

 

そして既に

 

 

 

 

 

【洒落にならない事件が起こっていたと】

 

 

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うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!

 

 

 

 

 

「「「「「「「「!!?」」」」」」」」

 

 

それは【断末魔にも等しい叫び声】だった

 

誰が聞いてもただ事ではないその悲鳴に寝ていた【実力者】である女達はすぐに飛び起きた

 

そこは【豊穣の女主人】その別邸の寝室

 

時刻は早朝前

 

何者かの刺客の可能性も視野に入れて寝間着のまま武器を持ち叫び声のあった部屋に彼女達は駆けつけた

 

そこはヘルンとヘイズの部屋だった

 

「どうしたヘイズ!!?」

 

「刺客にゃ!!?」

 

「何者にゃぁぁぁぁぁ!!!!」

 

真っ先に駆けつけたのはルノア、クロエ、アーニャの3人組、そしてそのコンマすぐ後にフレイヤ・ファミリア出身の女性たちが駆けつける

 

そして彼らが見たのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歯型まみれのヘイズ

 

 

 

 

そして口からよだれを垂らすヘルン

 

 

 

 

空気が凍った

 

 

 

 

全員の思考が見事にフリーズしていた

 

ヘイズは半裸の状態であちこちに歯型が付いていた

顔は真っ赤で胸の前を両手でクロスしていた。心なしか身体をビクンビクンさせている、そして泣いている。

 

ヘルンはどこか寝ぼけているような顔で口からよだれを垂らしていた、どうやらさっきの悲鳴の時にヘイズに蹴飛ばされたらしくひっくり返っていたのだがついさっき起き上がったらしい、そして訳がわからないように周りをキョロキョロしていた。

 

 

 

 

 

誰がどう見ても事案だった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「ベルによく屑、屑、屑って言ってたあなたが」

 

「ち、違うんですヘイズ」

 

「淫獣だの性獣だの言っていたあなたが」

 

「これは何かの間違いで」

 

「えぇそうですよ間違いですよねぇぇぇ間違った行いですよねぇぇぇ」

 

「うぅ!」

 

大部屋でヘルンは正座させられていた。目の前には椅子に座っているヘイズがこちらを見下ろしてその目は火の玉のごとく充血している。周りには他の従業員がことの成り行きを見守っていた、、、まぁ、、、完全にヘルンがやらかしているので実質有罪判決待ちだが

 

「なんか身体に違和感があって目を開けたら貴方がいてぇぇぇぇなんでと思ってよく見てみたら貴方が私の、、、を噛んでてぇぇぇフリーズした頭で身体を起こしたら身体中が痛くてぇぇぇぇそして鏡に目を向けたら歯型まみれのよだれまみれだった私の気持ちぃぃぃぃぃ」

 

「待ってください!ホントに待って!」

 

 

 

 

「待とうが待つまいが私が襲われたことにかわりはないしその事実は消えないでしょうがぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

 ヘイズはブチギレた。派閥大戦の時のヘディンの狙撃以上の憤怒だった。しかし今回その顔は怒りに支配された形相ではなくどこか陰の気配を纏っており、顔は真っ赤なのに真っ青に見える理由のわからない雰囲気をまとっていた

 

周りの従業員の反応は様々だった

 

現実感がなく今だに困惑している者

 

冷ややかな目を向ける者

 

カースの可能性を頭に上げる者

 

ことなかれな者

 

「ヘルンのやつ罵倒のし過ぎでおかしくなったのか?」

 

「もしくはたまってたニャ?」

 

「普段からおかしくなかったかニャ?」

 

(聞こえてる!!!聞こえてる!!!!!あぁつらい!!!!!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

「私にそんなことしていいのはフレイヤ様だけなんですよ!!!よくわかってるでしょうがーーー!!!

本当に、、、、、、、、ひどい、、、」(ポロポロ)

 

「うぐぅ!!」

 

 そしてヘイズは泣いた、どうやら怒りより悲しみのほうが勝ったらしい、派閥大戦の時に裏切ったときはどうしてやろうと思ったがフレイヤの命令もありなぁなぁで済ませていた。まぁ一番にここで働いて罰を受けてるしいいかなぁ〜と最近思い始めていたのに、、、友達だと思っていたのにこの仕打ち、理由のわからない悲しみで涙が止まらなかった。

 

ヘルンの顔はどんどん青ざめていく

怒られるよりも泣かれることのほうがヘルンは辛かった

 

周りの従業員たちの目が屑を見る目に変わっていく。自分が日頃ベルに対して向けていた目が自分に向けられているとわかってしまった瞬間ヘルンの心は奥の奥まで抉られた。

 

「ヘイズ、、、その、、、、」

 

「グスッ、、、なんですか、、、」

 

「ほんとうにわざとやったわけじゃないの、、、、あなたを傷つけることなんて考えたこともない」

 

過去一番とも言えるほど心が抉られた状態でヘルンは必死に言葉を綴った。何はともあれヘイズが泣いている姿をみたくはなかった、だからどうにか言葉を綴った

 

しばらく必死に絞り出した言葉をヘイズに投げかけていた

 

 

 

そしてヘイズがいくらか落ち着いた後

 

「じゃあ本当に悪意があったわけじゃないんですね?」

 

「えぇはっきり言える」 

 

「、、、、、、、、そうですか」

 

どうやら思いが伝わったらしくヘイズは落ち着いた

周りの従業員もわざとではなさそうと思った

 

「はぁ、、、、そうですね、、、じゃあこと後、ディアンケヒトファミリアにいきますよ」  

 

「え?」

 

「カースか何かをかけられているかもしれません、またこんな事が起きたらたまらないので検査してもらいます。いいですね!」

 

「え!えぇ!」

 

「ふぅーーーーー、、、、まぁ、、、私も冷静さを失っていました、、、、、じゃあ今から行きますよ立ってください」

 

ヘイズは正座し続けるヘルンに手を差し伸べた。歯型の跡が残る腕を見てヘルンは罪悪感を味わうがヘイズが手を差し伸べてくれたことは素直に嬉しかった。

 

 

そしてその手を取ろうした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいしそう」

 

パクっ

 

 

 

その瞬間、その手に噛み付いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あんたらいつまで寝てんだぁーーーー!!!!」

 

今だに一人も店に来ない従業員たちにブチギレながら店長であるミア・グラントはドアを蹴り開ける

 

 

「あ?」

 

そしてその目に映ったのは

 

 

 

 

 

 

 

「殺す!殺す!殺すーーーーー!!!上げて落とすなんて!希望を見せた瞬間に落とすなんて!貴方は屑だ!屑屑屑屑屑屑屑屑屑ーーーーー!!!!!!ベルよりも罪深い罪人がぁぁぁ!!!よくも私を弄んだなーーー!!!!友達だと思ってたのにぃぃぃぃ!!!本気で友達だと思ってたのにぃぃぃぃ!!!!こんな貴方の歯型まみれの身体で生き長らえるくらいなら死んでやるーーーー!!!!貴方を殺して私もすぐに死んでやるーーーーー!!!!なんで貴方が銀の光なのぉぉ!!?なんで私が黄金なのぉぉぉ!!!なんで私が特別じゃないのぉぉぉ!!!があああああもうバカ!バカバカバカバカバカバカバカバカーーーー!!!!」

 

「落ち着けヘイズーーー!!ヘルンが悪いけど!」

 

「興奮で死んでしまうニァーーー!ヘルンが悪いけど!」

 

「腕を押さえるニァーー!ヘルンが悪いニァーーー!!」

 

怒りながら涙を流し他の者に拘束されているヘイズと顔を真っ青にして顔を地面につけているヘルンだった

 

 

 

「なぜだ、、なぜ私はあんなことを、、これが女神を裏切った罰?」

 

「落ち込んでないで逃げろヘルン!このままじゃ本気で殺しかねないからーーーーー!!!!」

 

「なんかリューっぽくなってんじゃないニャーーー!!」

 

ヘルンに逃げるように指示するが全く動かない

 

その時

 

「ぐっ!」

 

「その首もぎ取ってやるぅぅぅぅ!!!」

 

首に何かが絡みつきヘルンはとっさにそれを外そうと腕に力を入れた

 

「わぁーーーー!!首絞め始めたぁーー!!」

 

「早く腕抑えるにゃクロエ!」

 

「やってるにニャ!そっちこそ抑えるニャ!」

 

「ニャーはとっくに抑えてるニャーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

「「「ん?」」」

 

ヘイズの両腕はとっくに抑えられている。ならば今、ヘルンの首を絞めているのは?それを確認するためにヘルンの首元をみてみると

 

 

 

 

 

首を絞めていたのは【ツインテール】だった

 

 

「「「は?」」」

 

周りが困惑する中

 

 

「騒ぐなアホンダラーーーーーーー!!!!」

 

「ごはっ!!!!」

 

 

ミア・グラントの拳骨が癇癪で死にそうだったヘイズを地面に沈めた。床にクレーターが出来て顔が地面にめり込んでいる

 

「何やってんだか、、、ん?」

 

ミアはヘイズのツインテールを引っ張って地面から起こしてやると違和感に気づいた

 

髪の感触が妙だと、まるで肉を触っているような

 

そして掴んだツインテールをよく見ると

 

 

 

 

それは頭から生えた【触手】のようなものになっていた

 

 

「へ、ヘイズ!」

 

ヘルンは沈んだヘイズをゆっくりと【触手】を使って座らせた

 

「ヘルン」

 

「は!はい何でしょう!」

 

「その両手はなんだい?」

 

「え?」

 

そしてヘルンは今気づいた

 

 

 

 

自分の両手が【触手】になっていることに

 

そしてヘルンの頭に浮かんだのは【夢の記憶】

 

ヘイズの件ですっかり頭から抜け落ちていた

 

そういえば変な夢を見ていたと

 

 

 

 

 

そして変な夢をヘイズも見ていたと後で知ることになる

 

 

これは【捕食関係が起こした奇跡的な悲劇である】

 

 

 

 




    ヘイズ・ベルベット
 謎のスキル ツインテール
        古代怪獣

頭部を一部変化させる
水中での行動がスムーズになる


        ヘルン
 謎のスキル  グドン
        地底怪獣

両手を変化させられる
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