異世界でVtuber事務所を立ち上げた馬鹿〜初配信まで数百年〜   作:哀上

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人物鑑定(Vtuber)

 まぁ、親もまさかそこまで考えなしってことはないはず。普段の彼女の様子からして、いつもはうまく猫を被ってるってところかね? 実際、専属メイドとしてずっと世話になってる俺も今まで知らなかったわけだし。

 

 今日のは、もっと俺の眠りが深いと思ってたのか、どうせ部屋に俺しかいないからと気が緩んでたのか。前世の記憶思い出して眠りが浅くなったのも、幼児相手に隠蔽が雑になるのも、どっちもありそうで何とも言えん。

 

 ……後、ストレスの方も限界だったのだろう。

 

 子育てのストレスって0歳頃と1歳半〜3歳の頃がかなりエグいって言うし。大人、それも血のつながった我が子相手でもそれなのだ。幼女が他人の子供に対してってのは、ね。そりゃキツい。

 

 しっかし、はえー。これが幼女メイドの裏の顔って奴ですか。いつもニコニコして、優しくて、そんな少女の裏の顔……

 

 なんか、こう言葉にするとあれだな。その顔を知ったら酷い目に遭いそうな、なんなら殺されかねない、そんな語感である。思いっきり目あって、見たのバレてるんだが。これ、まずいか?

 

 ってのは冗談。幼女メイドの方も、あんま焦ってる様子ないしね。

 

 ま、実際俺がもうちょっと大きかったらヤバかった気はするが。幸いピチピチの3歳児である。ようやく単語の連続ではなく、ある程度の文を喋れるようになったぐらい。彼女の目を掻い潜って告げ口とか出来るほどじゃないし、話す言葉の信憑性も低い。

 

 神童とは程遠い状況。でも、好都合ではある。仮に昨日幼女メイドの前でちゃんと本が読めてたらと思うと恐ろしい。今の状態じゃ絶対に勝てないし。その気になられたら、その時点でゲームオーバー。

 

 しかし、これを理由に殺されることはないにしても。いつストレスの捌け口がこっちに向くか。

 

 今の俺は幼児、とてもか弱い存在なのだ。転生という生まれこそ特殊ではあるが、ファンタジー世界なのに魔法も使えないし、推定女神様に貰ったチートも役立たずだし。つまり幼児としてのスペックは前世と一緒。少し乱暴に扱われるだけで危ないのである。

 

 命の保障が欲しい。幼女メイドがストレス溜めてるのは分かるが、どれぐらい溜まってるんだ? 幼児を演じてそれっぽい行動した方が安全なのか、出来るだけストレスかけないように行動したほうがいいのか。危険度が、知りたい。

 

 ……

 

 あ、ふと思いついた。ストレスを限界まで溜め込んでて、きっかけさえあれば殺人さえしかねない。そんな人物に果たしてVtuberの才能はあるのだろうか?

 

 ああいうの、ストレスすごいって言うし。そこら辺も評価基準に入ってるんじゃね?

 

 役立たずなんて言ってすまん。転生して、まだ一度も使ってないもんな。名前だけ見て判断するのは違うか。実は有能でした、なーんて可能性もなきにしもあらず。

 

 いざ、鑑定!

 

 ハンドルネーム『幼女メイド』

 トーク:☆☆☆

 歌・ダンス:☆☆

 演技:☆☆☆☆

 自己プロデュース:☆☆☆☆☆

 ラック:☆

 炎上リスク:☆☆☆

 

 な、なるほど? 想像と違った。こんなテンプレートなファンタジー世界で、鑑定なんて名前のスキル。数値が出るのかと思ってたんだが、まさかの星表記。

 

 で、期待していたストレス耐性の表記はなしと。ゴミ……あ、つい本音が。

 

 けど、おかげで分かったこともある。自己プロデュースと演技の項目が高評価。やはり、俺の予想は当たってるってことか。親が考えなしなんじゃなくて、普段から信用に足る行動をした結果の今ってことだ。

 

 そりゃ、そうか。予備は予備だからね。なくなっちゃ困るのだ。

 

 それでも、幼女に3歳児を預ける。かなり疑問符がつく行動ではあるけど、そこはプロデュースの賜物ってとこか。俺が目指してた神童ルート。もしかしてですけど、人生一周目にして成し得てます?

 

 幼女メイド。彼女、なかなかの傑物かもしれない。

 

 ……が、炎上リスクが星3つと。なるほど、なるほど。

 

 これ、結局安全なの? どうなの? 炎上が高いってことはやらかす可能性あるってことよな。そもそも、星三つって高いのか? 分からん。

 

 ってか、ハンドルネーム『幼女メイド』て。このスキル、名前も表示してくれないのか。やっぱゴミじゃね? いや、Vtuberにリアバレは御法度だけどもさ。

 

 とりあえず比較対象が欲しい。現状部屋には幼女メイドと俺の2人だけ。鏡的なものがあればありがたいのだが……ない。ざっと室内を見まわした限り、それらしきものは皆無。

 

 高級品なのか、危ないから置いてないのか。理由は知らない。どっちにしろないものはないのだから、そこはどうでもいい。

 

 鏡の代わりになりそうなもの。あ、コップでいっか。ちょっと減ってるけど、中には十分な量の水。反射率は微妙だが。ここに映ったの見て鑑定できないかなぁ。

 

 鑑定!

 

 あ、そもそも鏡いらなかったっぽい。これは感覚の話だけど。自分のことは鑑定しようとするだけでよかったらしい。

 

 ハンドルネーム『スペアパーツ』

 トーク:☆☆

 歌・ダンス:☆

 演技:☆

 自己プロデュース:☆

 ラック:☆☆

 炎上リスク:☆☆☆☆

 

 は? 誰がスペアパーツだ、誰が! ってか、俺のステータス低すぎでは?

 

 これ現代でもどうにもならんかっただろ。まだサンプル数2しかないが、このステでVtuberとしてうまくいくとは思えない。星の差、幼女メイドと倍近いんじゃね?

 

 何気に彼女より炎上リスクは高いし。これが実質マイナス換算だとすれば……その差、4倍!? やっば。才能ってやっぱり残酷だわ。

 

 いや、このスキルあれば一応Vtuberに関わるだけなら何とかなるか。それこそ事務所でも作れば成功間違いなし。才能を見抜ける。スカウトの当たり率100。勿論、才能があるからって花開くとは限らないけど。それでも、間違いなくバランスブレイカーな能力である。

 

 まぁ、このスキルの使い道を思いついたところで? それがどうしたって話でしかないが。ここは現代日本じゃないのだ。こんなファンタジーな世界、まさか中世ヨーロッパにVtuber事務所を作るわけにもいかないし。

 

 夜な夜なベッドの中で異世界転生の妄想をするのと同程度には無意味な行為である。




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