ハイスクールD×D 煉獄の破壊者   作:ぐちロイド

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第7話 帰還中のトラブル

レイナ「――ちょっ、連! またかよッ!」  

 

 

冥界へと続く隠し通路を移動中、静寂を切り裂いたのはレイナの絶叫だった。

原因はやはり、連にかけられた『不可抗力の接触(ラッキースケベ)の呪い)』。

何もない平坦な道で、連の靴紐が「物理法則を無視した角度」で絡まり、隣を歩いていた九羅真を巻き込んで派手に転倒したのだ。

 

 

九羅真「な、ななな……貴様ぁ! どこを掴んでいるのだ!」

 

 

連「わ、わざとじゃねぇ! 呪いの感触が急に強くなったんだよ!」

 

 

連の手は、転んだ拍子に九羅真のふかふかな尻尾……ではなく、その下の大切な衣の帯を完璧な指捌きで解いてしまっていた。

 

 

レグニード『ふふ、連。九尾の姫君をそこまで無防備にするとは、将来が恐ろしいわね』

 

 

連「レグニード、母さん面して笑ってないで助けろよ!」

 

 

レイナ「……助けるわけないだろ。自業自得だ。死ね」

 

 

レイナが禪院真希のような冷徹なゴミを見る目で連を見下ろす中、さらなる不運が重なる。

九羅真が恥ずかしさのあまり放った無意識の妖火が、運悪く壁の「封印」を焼き切ってしまったのだ。

 

 

?『グォォォォォ……!』

 

 

連「……嘘だろ。九羅真、お前今の炎で古の亡霊騎士(デュラハン)の檻を壊しやがったぞ」

 

 

九羅真「わ、我のせいではない! 全てはこの男の破廉恥な呪いのせいだ!」

 

 

不運(トラブル)が連鎖し、解けた帯を片手で押さえる九羅真と、怒りで木刀を抜くレイナ、そして平謝りする連の前に、巨大な首なし騎士が立ちはだかる。

レイナ「……仕方ねぇ。九羅真、その格好で戦えるか?」

 

 

九羅真「できるわけなかろう! 貴様が……貴様が背負って戦え!」

 

 

連「はぁ!? お前、意外と重いんだぞ!」

 

 

連は呪いのせいで九羅真をおんぶする羽目になり、密着した彼女の体温と柔らかな感触に「呪いの追撃」を予感しながら、煉獄の変幻壊槌を起動させた。

 

 

連「レイナ! 指示をくれ! このままじゃ色んな意味で俺が死ぬ!」

 

 

レイナ「……勝手に死ねと言いたいところだが、任務失敗は癪だ。連、そのまま肉壁になれ! 九羅真、連の肩越しに最大火力を叩き込め!」

 

 

 

連「いくぞ、九羅真! タイミングを合わせろ!」

 

 

連は九羅真をおんぶしたまま、亡霊騎士へと突っ込んだ。九羅真は背後から連の肩越しに狙いを定め、最大の妖力を込めた妖火を構える。

 

 

レイナ「馬鹿な……そんな体勢でまともに戦えるわけが……」

 

 

レイナが呆れる中、連は叫んだ。「呪い」による不可抗力な動きを、あえて攻撃の起点にしたのだ。

 

 

連「呪いで足が勝手に動く! なら、その動きを攻撃に変えてやる!」

 

 

連の足が再び勝手に動き出し、まるで踊るように予測不能なステップを踏む。亡霊騎士は首のない頭部を傾げ、そのトリッキーな動きに対応できない。

 

 

レイナ『連、そのまま回転しろ! 遠心力で九羅真の妖火の威力を上げろ!』

 

 

レグニードの助言が飛ぶ。連は言われるがままに高速回転し、遠心力で九羅真の体を外側へ弾き飛ばすように力を加える。

 

 

九羅真「狙いは定めましたわ! いけぇぇぇぇ!」

 

 

九羅真が叫び、放たれた妖火は回転による速度と威力を増し、亡霊騎士の心臓部へと正確に命中した。

亡霊騎士は断末魔の叫びを上げ、光の粒子となって消滅した。

 

 

 

 

 

一方その頃、冥界の宮殿。

イザナミ様は、大きな水晶玉に映る一部始終を、楽しげに眺めていた。連が九羅真をおんぶして回転する姿、九羅真の恥ずかしそうな表情、レイナの呆れた顔。

 

 

イザナミ「ふふふ、連は本当に退屈しない子ですね」

 

 

イザナミ様は艶やかな笑みを浮かべ、水晶玉に話しかけるようにして連に語りかける。

 

 

イザナミ「連、見事な連携だったわ。あの『呪い』を逆手に取るなんて、あなたの機転にはいつも驚かされます」

 

 

イザナミ様は扇で口元を隠しながら、からかうような視線を水晶玉の向こうの連に向けた。

 

 

イザナミ「でも……九羅真ちゃんを背負った感触は、いかがでしたか? 随分と密着していたようですが?」

 

 

その言葉は連には届かないが、イザナミ様は満足げに笑みを深める。

 

 

イザナミ「ふふ、次に会う時が、ますます楽しみになってきましたね」

 

 

イザナミ様は水晶玉から目を離し、連たちが帰還するのを心待ちにしていた。

 

 

 

半日後、騒がしい旅路を終えた三人が冥界の宮殿の重厚な扉を開くと、そこには極上の香香と、不敵なまでに美しい微笑を湛えたイザナミ様が待ち構えていた。

 

 

レイナ「ただいま戻りました、イザナミ様。……九重九羅真を連れて参りました」

 

 

レイナが代表して跪き、連と九羅真もそれに続く。しかし、主君であるはずのイザナミ様の視線は、九羅真でもレイナでもなく、真っ直ぐに連へと注がれていた。

 

 

イザナミ「おかえりなさい、連。……ふふ、お疲れのようね? 特に『肩』のあたりが」

 

 

開口一番、イザナミ様は艶然と微笑みながら、連のすぐ傍まで音もなく歩み寄った。

 

 

連「な、何のことだよ……」

 

 

イザナミ「とぼけなくて良いのですよ。水晶玉で見ていたわ。九尾の姫君を背負い、あんなに熱烈に密着して戦うなんて……。五年前の修行の時よりも、ずっと『男の子』らしい良い顔をしていたもの」

 

 

イザナミ様はそう言うと、連の頬を熱を帯びた指先で優しく撫で、そのまま耳元に顔を寄せた。

 

 

 

イザナミ「あのまま帯を解いて、何をしようとしていたのかしら? 私への挨拶より先に、若き姫君との『契り』を済ませようとした罪……どう償わせようかしらね?」

 

 

 

連「だ、だからあれは呪いのせいで……ッ!」

 

 

連が顔を林檎のように赤くして飛び退くと、横で聞いていた九羅真が再び沸騰したように顔を赤くする。

 

 

九羅真「な、な……貴様、イザナミ様! 変な言い方をするな! 我は断じてそのようなことは……!」

 

 

イザナミ「あら、九羅真ちゃん。連の背中は、そんなに居心地が悪かったかしら?」

 

 

九羅真「うっ、それは……その、悪くは……なかったが……」

 

 

九羅真がもごもごと口を濁すと、イザナミ様はさらに楽しげに扇を揺らした。

 

 

イザナミ「ふふふ、連。あなたに掛けられたその『呪い』、私はますます気に入ったわ。次は私の前で、どんな不埒な姿を見せてくれるのかしら? 楽しみにしておきましょう」

 

 

連「……一生、部屋から出たくねぇ……」

 

 

連が頭を抱える中、レイナだけが禪院真希のような冷ややかな視線で「バカの集まりか」と呟いていた。

 

 

レグニード『連、良かったわね。イザナミ様もあなたの「活躍」を認めてくださったようよ?』

 

 

脳内のレグニードまでが、母親のような慈愛に満ちた声で追い打ちをかけるのだった。

 

 

 

 

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