聖戦士アムロ   作:くまぷーⅢ世

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たくさんの閲覧・評価・お気に入り追加ありがとうございます。
昨晩は仕事が遅くなり、投稿する前に寝てしまいました。

今後の更新頻度は数日に一回程度になると思います。
のんびりまったり、お付き合い頂ければ幸いです。

なお、本作での宇宙世紀/西暦の相関設定はG-SAVIOUに準じます。
具体的には、西暦2045年に宇宙世紀に改暦されていて、アムロ達が戦った1年戦争については西暦2124年~2125年くらいとなります。

また、TVアニメ版のダンバイン正史とはいろいろと設定が異なり、オーラバトラー戦記・オーラ・ファンタズムなどの外伝的、並行世界的な設定なども取り入れています。
なので、登場人物の性格や関係などもかなり異なります。

まあ、自分の妄想二次作品なので、細かいことは気にせずにお付き合い下さい!


3:ダンバイン 飛ぶ

 まだギリギリ朝と言える時間。

 

 この一週間前後でバイストン・ウェルに召喚された地上人三人は、いよいよオーラ・バトラーに搭乗させられるために馬車に乗り、演習場へと向かっていた。

 

「おい、ジャップ! 聞いてんのかよ」

「聞いてるよ。ていうか、何度も言っているがジャップって言わないでくれないか! ヤンキー!」

「チェッ!」

 

 その馬車の上で、三人のうち最後に召喚された日本人のショウ・ザマにアメリカ人のトッド・ギネスが絡んでいる。

 

「おいトッド、いい加減やめにしないか! ショウの空手の腕は召喚された夜に見ただろう」

 

 三人の中では一番の年長であるロシア人のトカマク・ロブスキーにそう諫められ、トッドは不満げにだが口を噤んだ。

 

 

 

――アムロが召喚される前夜、同じくシルキー・マウにより日本から召喚されたショウ・ザマは、勝手な都合で見知らぬ場所へと強引に召喚されたことに怒りを覚え、話を聞くように頼むバーン・バニングスにいきなり殴りかかったのだ。

 ショウは幼少より空手を習っていて黒帯の段持ちであり、バーンに殴りかかったその動きは相当な熟達者のものであった。だが、実戦経験も持つ騎士であるバーンには通じず、逆に顔面への打撃を受けて昏倒してしまったのである。

 しかしながら、その鋭い攻撃にはバーンもヒヤリとさせられた様で、

 

「さすが、地上人だ。オーラロードに乗れるだけの力を持っている……」

 

 と言わしめたのだった――

 

 

 

その後、少しの間黙っていた三人だったが、演習場の中央に膝立ちとなっているロボット……オーラ・バトラーを目にして

 

「おっ、あれが俺たちの乗るロボットか!」

 

 と、トッドが歓声を上げた。

 

「ロボットじゃない。オーラ・バトラーだ」

「細かいことは良いんだよ!!」

 

 いかにも陽気なアメリカの若者と言った雰囲気のトッドは、アメリカ空軍の戦闘機パイロット候補生だったとのことで、空を飛べるオーラ・バトラーに乗り活躍してバイストン・ウェルでの栄達を望んでいるようだ。

 なので、日本人らしいショウの細かい突っ込みに気を悪くすることも無くはしゃいでいる。

 

「この前見せられたドラムロってやつとはかなり違うな。バーンが言うには、地上人はイメージすれば簡単な操縦で動かせるってことだが、本当にやれるのか……?」

 

 対して、ソ連陸軍の戦車兵だったが既に除隊済みと言うトカマクは少々不安げな様子を見せていた。

 

「悩んだってしょうがねえよ。やってみればわかるさ!」

 

 そんなトカマクの肩を叩いて笑うトッドにショウは呆れつつも、

 

(まったく、お気楽なヤツだな…‥だが、一理はあるか)

 

 そう考え、三機のオーラ・バトラーに視線を向けた。

 と、その前では自分たち地上人の世話係兼上司になるという騎士隊長のバーン・バニングスが見知らぬ男と話し込んでいる。

 近づいてくるショウたちに気づいたバーンが男に何かを言うと、男はすっとオーラ・バトラーの前から離れて行った。

 

「おはよう。良い朝だな。絶好の演習日和だ」

 

 そして、馬車から降りたショウたちに向かってバーンが挨拶をして来た。

 

「おはよう」

「グッドモーニング!」

「ドーブラエウートラ」

 

 三者三様の挨拶を返したショウたちを見てバーンは軽く笑ったが、

 

「では、ショット様の手によって君たち専用に造られたこのオーラ・バトラー、ダンバインについて詳しく説明しようか」

 

 と表情を引き締め、説明を始めた。

 

(さっきまでバーン・バニングスと一緒にいた男は何者なんだ?)

 

 ショウはそれが妙に気になり、兵士に導かれて馬車に乗り込み去っていく男を思わず視線で追う。

 すると、男が振り向いてショウと視線を合わせた。

 

(なんだ、この感覚……プレッシャー? いや、違うな。これは昔、武道の達人と向かい合った時の、穏やかなのにスキが無く、全然動けなくなってしまった時の感覚に近いのか……?)

 

 かつて、ショウが通っていた空手道場を訪ねて来た一人の老人。

 

ショウが尊敬していた道場の師範が「大先生」と呼んで遜り「様々な武道に通じた物凄いお人だ」と紹介され、ショウは戯れに組み手をさせてもらったが全く歯が立たず、コロコロと面白いくらい簡単に転がされてしまったあの時に感じたものによく似ている。

 

「……ショウ・ザマ、聞いているのか?」

「あ、ああ」

 

 男に気を取られて話を聞いていない様子を見たバーン・バニングスに注意され、見知らぬ男を乗せて去っていく馬車を見つめていたショウが慌てて正面を向く。

 

「バーン・バニングス、あの馬車に乗っていた男は一体……」

 

 そして、遠慮がちに質問をしようとしたが。

 

「彼の事は後でちゃんと紹介する。だから今は演習に集中してくれ」

「ああ。すまない」

 

 バーンに諫められ、口を閉じた。

 

(ふむ、ショウ・ザマはアムロに何かを感じたのか? まだオーラ力かどうかはわからないが、アムロからは確かに強い何かを感じるからな……)

 

 バーンはショウの感覚が自分と同じものを捉えていると考え、得心する。

 

「さあ、地上人たちよ。我々にその力を見せてくれ!」

 

 そして鼓舞するように叫び、ダンバインへの搭乗を促した。

 

 

「いくよ!」

「いくよっ!!」

 

 地上人の一人であるアメリカ人、トッド・ギネスとロシア人のトカマク・ロブスキーが気合の声を上げつつコックピットへと乗り込む。

 

 二人は国籍こそ違えど、トッドは候補生とはいえ現役の米空軍パイロット、トカマクも退役済みとはいえソ連の軍人であったので、こう言った戦闘機械に乗り込む事に抵抗は少ないようだ。

 

(二人と違って兵器なんか乗ったことも無い俺に出来るだろうか……いや、やるしかない!)

 

 だが、日本人の学生であったショウ・ザマにとっては戦闘機どころか兵器類に触れる事すら全く初めての経験であるので、戸惑いは隠せなかった。

 

 しかし、ショウは空手と平行して幼い頃からモトクロスライダーとして活動しており、仲間やライバルからは将来のトップライダー、エースと目されてもいる。またそのテクニックは周囲の評価に違わず、プロフェッショナルライダー顔負けの高度なものだ。

 生身の体で大ジャンプや派手なアクションをこなすモトクロスライダーにとって、慣れないとはいえ周囲をしっかり囲まれたコックピットに乗り込んで飛び立つくらいの度胸は充分持ち得ている。

 

「やってやるさ!」

 

 ショウは自分の頬を両手でパン! と張り、気合を入れ直してバーンから指示された自分用のオーラ・バトラー……薄いパープルに塗られたダンバインのコックピットに乗り込んだ。

 そして説明を受けた通りに操作してコックピットハッチを閉じ、操縦桿を握りしめる。

 

「よし、行け!」

 

 ショウが正拳突きをするように気合を込めて操縦桿をぐいと押し込み、フートペダルを踏み込むと。

 

「と、飛んだ!!」

 

 ショウのダンバインは背中のオーラ・コンバーターを持ち上げて、キラキラとした光をまき散らしつつ空へと舞い上がる。

 既に飛び立ち、ショウを待つかのように滞空していたダークブルーとグリーンのダンバインに追いつくと、ダンバインよりも先に飛び上がっていた数機のオーラ・ボンバー、ドロのうち一機の上に立った兵士が拡声器を使って声を掛けて来た。

 

『地上の方々、ご用意はよろしいか!?』

 

 その声はハスキーな女性のもので、ショウは前日にバーンから紹介されたガラリア・ニャムヒーだと気が付いた。

 

『よろしいよおっ!』

 

 ガラリアの声に応えるように、ショウが叫ぶ。

 

「やれるだけ、やってやる!」

 

 その言葉に応えるようにショウのダンバインの目が光を放ち、ガラリアの乗るドロを追って加速した。

 

 

 

 

 

 その頃、アムロは城壁の物見やぐらから三機のダンバインが飛び立つ様子を見ていた。

 

「すごいな……地球上と変わらないような重力下で、しかも人型形状のままあんなにも自在に機動できるなんて」

 

 アムロは、己が良く識るモビル・スーツでは不可能に近い三次元的機動を見せるオーラ・バトラーに感嘆の声を上げる。

 

「しかも、ここから見る限りコックピット内のパイロットがGの影響をほとんど受けてないように見える。これも、オーラ力ってやつのおかげなのか? それとも、何か俺の知らない技術で解決しているのか……?」

 

 空を自在に動き回るダンバインを見つめつつ、アムロは無意識のうちに呟く。

 だが、ここに案内して控えている兵士ではない何者かが近づいて来る気配を感じて振り向くと。

 

「君が昨晩召喚された地上人か」

 

 そう言いつつ、肩口になにやらゴツゴツとした飾りを持つ黒い服を纏った金髪の男が近づいて来ていた。

 

「ああ、そうだ。あなたは……地上から来たという技術者か?」

「ほう……その通りだ」

 

 アムロの言葉に軽く驚いた様子を見せた男は、ニヤリと笑って右手を差し出して来た。

 

「私の名はショット・ウェポン。君の言う通り、地上のアメリカからここバイストン・ウェルに迷い込んだロボット工学の研究者だ」

 

(……この男も強い野心を持っているな。だが、バーンのそれとはまた違う感じを受ける)

 

 アムロはショットの印象を分析しつつ、差し出された手を握り返した。

 

「俺の名はアムロ・レイ。元の世界では軍人をしていた。階級は大尉だが、この世界ではあまり関係ないな」

「そんなことは有るまい。実践を経験しているのならば、それを生かすことはできる。ちなみに、どんな兵器を使用していたのか聞かせてもらえるかな?」

 

 そのショットの問いに、アムロはどう答えるか一瞬躊躇する。が、

 

「……モビル・スーツというロボット兵器のパイロットだった。あなたはモビル・スーツを知っているだろうか?」

 

 とりあえずは隠さずにそう答え、ショットの出方を見ることにした。

 

「モビル・スーツ? いや、聞いたことは無いな。それはどの国の兵器なのだ? 少なくとも、私の出身であるアメリカ合衆国では無さそうだが……」

 

(……やはり、ここバイストン・ウェルはもちろんだが、地上人、と呼ばれる彼らもまた俺が知る地球とは違う世界から来ている可能性が高いな。いや、待てよ)

 

 アムロはふ、と思いついた。違うのは世界なのではなく、時間軸ではないのか、と。

 

「ショットさん、一つ教えてほしい。あなたも含めた地上人、と呼ばれる存在は地球上からバイストン・ウェルにやって来ていると聞いているが……その地球で現在は何年頃なのだろうか?」

 

 アムロの、ある意味奇妙な問いにショットは首を傾げたが、

 

「西暦でいえば1983年頃になるが、君が来た時代は違うのか?」

 

 と、疑問を交えつつ答えた。

 

(! やはり、時代が違う。西暦1983年だって? 宇宙世紀以前の世界なのか。という事は、俺は150年くらい過去に来てしまったのか?)

 

 その事実に愕然とし、固まってしまったアムロを見て、ショットが不審げに声を掛ける。

 

「アムロ君、どうかしたのか? 大丈夫か?」

「あ、ああ。失礼した。どうやら、俺はバイストン・ウェルという異世界に呼ばれただけではなく、タイムスリップとやらも同時にしてしまったようだ」

 

 軍歴も長く、予測出来ない事態にも慌てることなく対応する訓練と経験を積んで来たアムロですら一瞬我を忘れかけたが、その強靭な精神力を持って落ち着きを取り戻すことに成功した。

 

「なんと……という事は、君の元居た世界は西暦1983年ではないのか。良ければ、どのくらいの年代からやって来たのか教えてくれないか?」

 

 アムロはショットの問いに答えるのを少しだけ迷ったが、多少のフェイクを混ぜて答えることにした。

 

「俺の来た時代は、宇宙世紀といって人類が地球上から宇宙へと本格的に進出しだした時代だ。宇宙世紀元年は、西暦でいえば2045年になる」

 その、アムロの答えに今度はショットが驚愕する。

 

「西暦2045年だって? 現在よりも60年以上の未来からやって来たと言うのか!」

「ああ、どうやらそうらしい。ショットさん、あなた以外の地上人もやはり同じ1983年の地球からやって来ているのだろうか?」

「ああ、そう聞いている。私と同じく召喚されたのではなく迷い込んだゼット・ライトというコンピューター技術者も、君の前に召喚された三人の地上人もみな同じ年代の地球から来たそうだ」

「そうか……」

 

 それを聞き、アムロは考え込んだ。

 

(ほかの地上人たちは死ぬ間際に来た、というわけではなさそうだ。もしかすると、これはνガンダムのサイコ・フレームによるなんらかの影響なのかもしれない……む!?)

 

 だがアムロが思考の海に沈みそうになった時、何か嫌なものを感じ取った。

 

「ショットさん、今日は演習だけのはずだな?」

「バーン殿からはそう聞いているが……」

 

 アムロが感じたもの、それは……

 

「敵意を持つものが向かって来ている。このままでは、ダンバインに乗っている三人が危ない」

「なんだって?」

 

 強い敵意をむき出しにして近づいて来る、何者かの存在を認識したのだった。

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