聖戦士アムロ   作:くまぷーⅢ世

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たくさんの閲覧・評価・お気に入り追加・感想ありがとうございます。

本作は様々なバイストン・ウェル物語をごった煮にした闇鍋的妄想創作です。
接種にはかなりのオーラ力が必要となりますので、ご気分を害されたりお気に召さなかった場合はブラウザバックで撤退頂けますようお願いいたします。

では、お楽しみ頂ければ幸いです。


4:ギブン家の襲撃

 ニュータイプとしての感応性はここバイストン・ウェルでも健在らしく、アムロは近付いてくる強力な敵意を敏感に感じ取っていた。

 

「敵意を持つものが向かって来ている、だって? なぜそんなことが解るのだ?」

 

 だが、前触れも無くそんな事を言われたショットにしてみれば、戸惑うしかない。

 しかし、ここでニュータイプなどと説明しても恐らくは更に混乱させるだけだろう。

 

「……戦場で培ったカン、みたいなものだ。自慢すべき事ではないが、俺は15歳から戦場に立ち、敵とはいえ数え切れない程の人を殺めて来た。そんな荒んだ人生の中で得た……いや、得ざるをえなかったのが、この感覚なんだ」

 

 なので、アムロは端的な表現でショットに説明した。

 

「ふうむ……少々信じ難くもあるが、確かに第二次大戦の記録などを読むとそう言った感覚が鋭くなった兵士の話も良くあるな。それに、敵意を持って襲撃してくる者には心当たりがある。だが、どう対応するべきか……とりあえずバーン殿に知らせようか」

 

 アムロの言葉を聞いて半信半疑と言った感じではあるが、ショットがどうすべきか考え始める。

 

「ショットさん、あのダンバイン三機の他にオーラ・バトラーは無いのか?」

「有るには有るが……先行量産したドラムロが数機と、フラオン王に献上した残りのゲドが二機ぐらいか。ああ、アムロ君。恐らくは同年代だろうし、私の事は呼び捨てで良い。君の事も呼び捨てで構わないか?」

「ああ、呼び捨ててくれて構わない。他にもオーラ・バトラーが有るのなら、俺が乗ってみても良いだろうか?」

「なんだって?」

 

 唐突なアムロの申し出に、ショットは驚き戸惑った。

 

 

「いや、それは危険すぎるだろう。まだ少々見ただけなのに、完熟もせずにいきなり実戦など……」

「ショット、俺はこういう状況に慣れているんだ。俺は15歳で戦場に出た時、パイロット候補生でも無い民間人だった。だが、初めてモビル・スーツに乗ってなんとか戦闘をし、二機の敵モビル・スーツを撃退した。先程バーンに出撃前のダンバインを見せてもらったが、コックピットの構造はモビル・スーツとそうは変わらない印象を受けた。それに俺も未来人とはいえ地上人なのだから、感覚でかなり動かせるのではないだろうか」

「うむ……」

 

 アムロの申し出にショットは迷ったが、その真剣な表情を見て、また

 

(……これも、良い実験になるかもしれん。よし、試してみるか)

 

と考え。

 

「わかった。だが、決して無理はするなよ。バーン殿から、君は今回召喚された地上人の中で最も期待できる男だと聞いている。それに、私も君と話してみてそう感じている」

 

 アムロの瞳を見返し、そう答えた。

 

「ああ、俺もまだ死にたくはないからな。無理はしないよ」

「では、格納庫へ行こう。火器を内蔵しているドラムロを使うと良いだろう」

 

 そして二人は城壁を降り、兵士の操る馬車に乗って格納庫へと向かった。

 数分ほど走り演習場の端に位置する格納庫へたどり着いた二人は、馬車を降りて格納庫内に入る。

 そこには、ずんぐりとした赤いオーラ・バトラー、ドラムロが数機とダンバインによく似たデザインで、ブラウンに塗られたゲドが二機、鎮座していた

 

「整備主任! すぐに出られるドラムロは有るか!?」

 

 格納庫の入り口でショットがそう叫ぶと、整備していた兵士のうち一際背の高い男が振り向く。

 

「これはショット様。申し訳ありませんが、ドラムロはゼット様の命で全てメンテナンス中となっております」

「なんだと。一機も使えないのか?」

「はい、先日の作動試験時に動きがぎこちないパターンが有りまして、全機の脳を取り出して再プログラム中なのです……」

「ううむ、なんとタイミングの悪い……」

 

 大きな体を縮こませ、申し訳なさげにする整備主任の前でショットが唸る。

 

「使えないドラムロと言うのは、赤いズングリしたオーラ・バトラーなのか。ならば、あのブラウンのヤツは使えないか?」

 

 困り顔の二人の間に入り、アムロがそう尋ねた。

 

「アムロ、あのゲドは旧型で性能も低く、火器も内蔵していない。ダンバイン用に製造したオーラ・ショットも引き金の役目をするクローが一本ししか無く使えないから、武装はソードしかないんだ」

 

 しかし、ショットは首を振りつつそう答える。

 

「だが現在動かせるのはあのゲドしかないのだろう? だったら、それで構わない。それに、俺としてはドラムロよりもゲドの方があちらで使っていたモビル・スーツに近いフォルムだから馴染みやすそうだ」

 

 だがアムロは引かず、ゲドを使わせろと強請った。

 

「……主任、ゲドは動かせるのか?」

 

 アムロの様子を見て、諦めたようにため息を吐いたショットがそう尋ねると、

 

「は、はい。ゲド二機は整備済みでいつでも出られます」

 

 主任も戸惑いながらそう返した。

 

「……わかった。アムロ、とりあえずゲドに乗って動かしてみてくれ。この格納庫からスムーズに外に出て飛び立つことが出来たら、そのまま救援に向かってくれ。だが、もし少しでも動きや操縦に不安が有りそうだったら、出撃は諦めて欲しい」

「了解した。ゲドは起動するためのカギみたいなものは必要なのか?」

「キーは必要だが、既に差してあるはずだ。そうだな、主任?」

「はい、いつでも動かせるようになっています。ご案内します」

 

 そう言ってゲドに向かって歩き出した主任の後を追おうとしたアムロに向かい、

 

「アムロ、私はバーン殿にこの件を伝えた後、城の自室に戻り無線で状況を追う。くれぐれも無理だけはしないでくれよ」

 

 ショットはそういうと、先ほど乗って来た馬車へと足を向けた。

 

「わかった。行ってくる」

 

 アムロはショットに向かい手を上げると、小走りで主任の後を追った。

 

「ええと、貴方様は昨晩いらっしゃった聖戦士の方でよろしいでしょうか?」

「うん、そうだが……て、せいせんし? なにかな、それは?」

 

 アムロが追いつくのを待ち、並んで歩きだした整備主任がそんなことを聞いて来たので、アムロは意味が解らずに聞き返した。

 

「は、バイストン・ウェルの危機を救うために地上から召喚された戦士の方は、聖戦士と呼ばれるのです」

「せいせんし……聖なる戦士、と言う意味か。聖なる、ねえ……」

 

(例え何か大義名分が有ったとしても、やることは人殺しであるのに聖戦士とは……どこか皮肉に感じるな)

 

 アムロは複雑な気分でそう思う。だが、ムキになって否定したところで主任を戸惑わせるだけだろうと考え、

 

「まあ、俺はそんな大した存在じゃないよ。ただの兵士……戦士だね」

 

 と苦笑しつつ返した。しかし、主任はむしろ感じ入ったようにアムロを見つめる。

 

「……なにかな?」

 

 主任から、物凄くリスペクトされたような気配を感じたアムロがきまり悪そうに尋ねると。

 

「いえ……伝説の聖戦士のお一人が、やはり今の貴方様の様な答えをしたと伝えられていまして……」

 

 瞳をキラキラと輝かせつつ主任がそんなことを言い出し、まさかの薮蛇にアムロは再び苦笑するしかない。

 

「まあ、とにかくゲドの起動方法と簡単な操縦方法のレクチャーをお願いするよ」

「はい、お任せ下さい!」

 

 二人はそんな話をしつつゲドのもとに辿り着き、妙に気合が入った主任によりアムロはゲドのレクチャーを受け始めた。

 

 

 

 

 一方、完熟飛行に入ったダンバイン三機を先導するドロに搭乗したガラリア・ニャムヒーは、演習場の無線連絡所に残ったバーン・バニングスに無線で不満をぶつけていた。

 

『なぜ、バーンはドラムロで帯同しないのだ? 地上人の上司であろうに!』

 

「それはお前の言う通りだが、今朝方ゼット様よりドラムロは全機再整備するので使うなとお達しがあったのだ。私がお前たちと一緒にドロに乗って行く訳にもいくまい」

 

 対して、バーンは余裕をもってそう答えた。

 

『ゲドがあるではないか!』

 

 ガラリアは更に言い募る。が、

 

「まだオーラ・バトラーに乗った事が無いお前が知らないのは無理もないが、ゲドは必要オーラ力が高く、殆どのコモンではまともに動かすことすら出来ない。その上、設計も構造も古くパワーも無いし動きは鈍い。誰よりもオーラ・バトラーの搭乗訓練と実戦を重ねている私ですら、乗った後は疲れ果ててしまう。動かすことは可能だが、地上人が乗る最新鋭機であるダンバインやお前たちのドロに着いていくのは難しい」

 

 バーンの言う通り、ゲドは初めて完全に実用化されたオーラ・バトラーではあるが、それゆえに性能は低く、だが動かすのに必要なオーラ力は高い。また火器の類は内蔵しておらず、装備出来るものも殆ど無いのである。

 

 もちろん、バーンを始め厳しい訓練をこなした何人かの隊長クラスのコモン人騎士は動かすことが出来るし戦闘機動も可能であり、かつて襲って来たガロウ・ランの軍を撃退したこともある。

 

 だがその疲労度と負荷は非常に高く、搭乗後には疲労困憊となってしまう。

 なので、一般的なコモン人でも動かす事が容易なくらいに各種の性能が高められ、戦闘力も高いドラムロが開発された今、よほどの事情が無い限りは乗りたくないのであった。

 

『しかし!』

 

 それでも納得がいかないのか、食い下がろうとしたガラリアだったが。

 

『ガラリア様! 前方から何かが向かって来ます!』

『なに? ……あれは!』

 

 部下の報告に驚き叫ぶ。

 

「どうした、何が有った?」

 

 その様子を不審に感じたバーンが誰何すると。

 

『あれは! ギブン家のオーラ・バトラー! ダーナ・オシーだ! 他にもなにかいる! 恐らくはギブン家の手の者だ!』

 

 ガラリアがそう叫びつつ報告して来た。

 

「なんだと? ギブン家の領地に入ったのか?」

 

『いや、入っていないし今日は入る予定ではない。バーンがそう命じたのではないか!』

 

「ああそうだ。という事は、ギブン家の者がこちらの領地に入り込んで来たのか。くそ、ニーめ! いよいよ手段を選ばなくなってきたか!」

 

 ガラリアの報告を受けたバーンが忌々し気に叫ぶ。

 ギブン家とは、ルフト家と領地を接するアの国の地方領主であり、アの国の王であるフラオン・エルフに忠誠を誓っている……とされる家である。

 

『ニー・ギブン! あの裏切り者め!』

 

 ガラリアが怒りを込めて叫ぶ。

 ギブン家の嫡男であるニー・ギブンは、一年ほど前まで勉強と修行のためにルフト軍へと入隊しており、バーンやガラリアとは戦友として肩を並べてガロウ・ランなどと戦った間柄だ。

 

 隣領のギブン家の嫡男という事で、バーン・ガラリアを始めルフト軍の者はかなり気を使って対応する必要が有ったが、二―は人柄も良く高慢な性格ではなかったので、バーンやガラリアとも友好な関係を築いた上、ルフト家の第二令嬢であるリムル・ルフトとは恋人同士となっており、両家の関係から将来的にリムルがギブン家へ輿入れするのではないかと噂されていたほどである。

 

 ルフト家当主であるドレイク・ルフトとギブン家当主のロムン・ギブンは、つい一年ほど前までは友好関係を築いており、ドレイク領に現れたショット・ウェポンによりオーラ・マシンが開発されると、その技術や操作方法などを学ぶためにニーを始めとしたギブン領の人間がドレイク軍や機械の館と呼ばれる開発現場及び生産工場に派遣され、長期に渡って修行をしてその技術を習得した。

 

 そして、その技術をギブン家に持ち帰り、独自に研究・開発を続けて自領でのオーラ・マシンの開発・製造や操縦方法の訓練などを行うようになったのだが……

 

 ある時、ドレイクが暗君であるアの国の王フラオン・エルフを打倒して下剋上を行い、更には各国の対立でキナ臭くなりつつあるバイストン・ウェル全てを手中に入れて平和を手に入れ安定させるために協力してほしいと依頼したことに反発したロムンはドレイクと袂を分かち、激しく対立する状況になっているのだ。

 

「落ち着け、ガラリア。今日は慣熟という事でダンバインに火器を持たせていない。とにかく安全に撤退することを優先して引き上げるんだ」

『しかし、領地を侵されて逃げ帰るなど……!』

 

 バーンの指示に、ガラリアが悔し気な呻きを漏らす。

 

「だが、苦労して召喚した地上人をこの様なことで失いたくない。ガラリア、今は耐えて撤退するんだ」

 

 無線機のマイクを握りしめつつ、ガラリアをバーンが諭す。もちろん、バーンとて悔しさは同様ではあるが、ここで地上人とダンバインを失うことは今後の戦力の大幅な低下につながる上、バーンの経歴にも大きなキズが付きかねない。

 

『くっ、了解した!』

 

 そのバーンの思いが伝わったか、ガラリアも渋々とだが撤退を承知した。

 

「だが、向こうが逃がしてくれるかは別問題だな……やむを得ん。私もゲドで出るか」

 

 バーンがそう決意を固め、ふと格納庫を振り返ると。

 

「な! なぜゲドが動いているのだ!? 誰か、他の者がゲドに乗っているのか? いや、ゲドをあんなにも軽快に動かせる者など……」

 

 自分も含め、いるはずがない。バーンがそう絶句するほどに自然な動きで素早く格納庫から出て来たゲドが背中のオーラ・コンバーターを広げ、あっという間に飛び立っていく。

 

「は、速い!? パイロットは一体誰……」

 

 そこまで叫んで、バーンは気付いた。

 

「まさか、まさかアムロなのか!?」

 

 驚愕に叫び続けるバーンを尻目に、飛び立ったゲドはあっという間に空の彼方の点となっていた。

 

 

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