聖戦士アムロ   作:くまぷーⅢ世

6 / 9
いつもありがとうございます。

今回も色々と捏造及び妄想盛り盛りでお送りします。
登場人物やメカ、設定についても原作や出典とは全く別物になっていたりいなかったりするので、そういうのが苦手な方はブラウザバックでお願いします。

それでは、充分にオーラ力を蓄えてからお楽しみ下さい!


6:ニー・ギブンの葛藤

 ニー・ギブンという男がいる。

 

――つい一年ほど前まではドレイク・ルフトと盟友関係を結んでいたロムン・ギブンの嫡男にして、優れた容姿と才覚、そして温和な性格を持つ好青年である。

 

 彼自身も数年間ほどドレイク領へ修行と勉強のために遊学し、ドレイク軍にも所属してガロウ・ラン軍との激しい戦闘に参加して、かなりの戦功を上げている。

 また、バーン・バニングスほどでは無いがオーラ・マシンへの適性も高く、実用化されたばかりのオーラ・バトラー、ゲドに搭乗して活躍もしたのだ。

 

 性格的には多少お坊ちゃま気質が有ったものの、基本的には朗らかかつ社交的で、バーンやガラリアと言ったドレイク軍の隊長クラスの者たちとも友好な関係を築き、更にはドレイク・ルフトの次女であるリムル・ルフトとはともに好意を持ち合って恋人となり、ドレイクからも正式に交際を認められていた。

 

 また容姿端麗で優し気な甘いマスクを持ち、ラース・ワウ城内の侍女やメイドたちからは、やはり容姿端麗かつ鋭利な美貌を持つバーン・バニングスと人気を二分していたほどである。

 

 だが、二―が遊学を終えギブン領へと戻った半年ほど後のこと。

 

 ドレイクから相談があると持ち掛けられた領主である父ロムン・ギブンが、会談を終えドレイク領から戻った直後にニーは呼び出された。

 ギブン軍の夜間演習を監督していたニーが父のもとへ参じると、そこには今まで見た事が無い程に激怒した父がおり。

 ドレイクから、アの国の国王であるフラオン・エルフを弑逆しドレイクが国王となること、またその下克上が成功したのちにはバイストン・ウェルそのものを統一する戦争を行うために協力を求められたことを聞かされたのだ。

 

 父ロムン・ギブンはとんでもないことだ、と怒りを露わにしてドレイクと決別してきたことを語り、今後ドレイクとは敵同士であり、謀反の気配を察知したらすぐにそれを叩く様に命じられ驚くニーだったが……

 

 ドレイク領への遊学中に、ドレイクのお供としてフラオン王に謁見した経験を持つニーは、女とゲーム、酒食にうつつを抜かすその暗君ぶりに驚愕・絶望しており、心情的にはむしろ名君として尊敬し、将来的には義父となる可能性が高かったドレイクの行動を支持・協力したいほどであった。

 そのため、バイストン・ウェル統一戦争はともかく、下剋上に関してはドレイクに協力するように父を説得しようと試みたニーだったが、試みる度に激しく叱責され、何度目かの説得中に激怒したロムンから激しく殴打を受け、これ以上はもう無駄であると諦めざるを得なかった。

 

 そして、渋々ではあるがドレイク軍に対応するための準備を整え始めたのだ。

 

 ロムン・ギブンに命じられ、二ーと同じくドレイク領に遊学していたギブン領の若く優秀な技術者たちは、帰領後もオーラ・マシンなどの研究・開発を続けており、オーラ・ボムやオーラ・バトラー、そしてまだドレイク領でも建造途中であるオーラ・シップまでも独自開発することに成功していた。

 

 更に、ロムン・ギブンはドレイクに対抗するためには強いオーラ力を持つ地上人が必要だと考え、ニーが止めるのにも耳を貸さず、ギブン領の清涼な湖に棲む奔放な性格のエ・フェラリオ、サラーン・マッキと交渉して協力を得た上で、禁を破って地上人を召喚してしまったのだ。

 

 召喚された地上人は、アメリカ合衆国の大学生であるマーベル・フローズンと、同じく日本の女子大学生ミイナ・タムラの二人。

 

 バイストン・ウェルに召喚されたのち、真面目で現実的な性格のマーベルは意味不明な状況に混乱して元の世界へ返してほしいと言い募り、それが叶わないと知ってからしばらくは鬱のような状態で引き籠ってしまった。

 それとは対照的に、日本人でありながらも陽気で奔放かつサブカルチャーに傾倒していたミイナは、召喚されたことやバイストン・ウェルという異世界についてもまるでマンガやアニメのようだと喜び、ハンサムかつ一種の王子様でもあるニーに猛アタックを掛けるなどして周囲を驚かせた。

 

 そんなミイナであったが心根は優しく、落ち込むマーベルを気に掛けて色々と世話を焼き、なんとか立ち直らせることに成功したのだった――

 

 

 そのようなの状況の中、ドレイクの居城かつ本拠地であるラース・ワウに潜り込ませている間者から、ドレイクが新たに数人の地上人の召喚に成功し、さらに地上人専用の新型オーラ・バトラーを開発したとの情報を齎されたロムン・ギブンは、ニーにその撃破を命じる。

 これまではドレイク軍からの攻撃を専守防衛するのが主であったギブン軍だったが、初めてドレイク領を侵しての先制攻撃をすることになったのだ。

 

 もちろん、ニーは慎重に様子を見るべきだと反対したのだが、ロムンに有無を言わせず出撃を命じられ、従うほかなかった。

 

「父上……何をそんなに意固地になっているのだ……焦っておられるのか……」

 

 ニーは搭乗しているダーナ・オシーのコックピット内でそう呟く。

 

 ギブン家が独自開発したオーラ・バトラーであるダーナ・オシーは、ある程度のオーラ力を持つコモンであれば比較的容易に動かす事が出来る。

 今後ドレイク軍の主戦力になっていくであろうドラムロには劣るが、ゲドに比すれば数段洗練された性能を持ち、現時点では強力な戦力なのである。

 

『ニー、どうしたの? 敵があたふたしている間にさっさとやっつけちゃおうよ!』

 

 と、無線機からミイナの陽気な声が響く。

 

『ミイナ、そんな単純な状況じゃないわ。新型のオーラ・バトラーが三機もいるしドロの数も多い。慎重にやらなければこちらが危ないと思うわ』

 

 対して、実直なマーベルがミイナを諫めるように通信してくるのを聞き、ニーは苦笑した。

 

「そうだな、二人とも一理ある。だが、ここはマーベルの言う通り、もうちょっと様子を見よう。出来れば、イヌチャン・マウンテンまで引き付けてから攻撃を開始したいが……」

 

 イヌチャン・マウンテンとは、ドレイク領とギブン領を跨ぐイヌチャン山脈の最高峰である。

 現在、ニーたちはドレイク領内に侵入して作戦行動を行っているが、出来ればもう少しギブン領に近い場所まで引き付け、いざという時には領境に設置した投石器や遊撃騎士団などの支援を受けたいところであった。

 

『えー、こういうのは先手必勝じゃないの? せっかく新型のラナウン・シーに乗ってるんだし、行っちゃおうよ!』

『ミイナ、いくら私たちが演習や強獣討伐で経験を積んだとはいえ、相手だって新型オーラ・バトラーに乗った地上人なのよ? それに、もしかしたら向こうの地上人も嫌々従わされてるかもしれないんだし、様子を見た方が良いと思うわ』

『もー、マーベルったら真面目さんなんだから!』

『あなたは適当過ぎるのよ!』

 

 真面目で慎重なマーベルに、明るく奔放なミイナ。二人は正反対の性格であるがウマは非常に合っており、また戦闘や訓練においては絶妙のコンビネーションを発揮する。

 そんな二人の掛け合いを聞きつつ、ニーが仕掛け所を探っていると。

 

『ニー様! ドレイク軍の新型オーラ・バトラーが撤退を始めました!』

 

 先行して状況を見ていたグライ・ウイング、シュットに乗った兵士から報告が齎された。

 グライ・ウイングとは、少ないオーラ力でも動かせる一人用のグライダーである。

 

『やばッ! 逃げられちゃうよ!? どうするの、ニー!?』

『これは、流石に攻撃開始した方が良いかもしれないわね。ニー、どうする?』

 

 ミイナとマーベルが、焦ったような声でニーに誰何してくる。

 

(……今回、マーベルとミイナにはダーナ・オシーを地上人用に調整・強化した新型のラナウン・シーに乗ってもらっている。ドロに対しても、こちらのオーラ・ボムのドーメ二機で対抗できる。ならば、ドレイク軍の新型オーラ・バトラーが三機いても十分やれるはずだ)

 

 ニーはそう決断し、

 

「よし、攻撃を仕掛ける! 俺とミイナは逃げた新型を追う! マーベルとドーメ隊はボム隊をやってくれ! シュットの兵は後退して待機!」

 

 皆へと指示を出した。

 

『了解! いっくよー!!』

『了解! ドーメ隊、サポート願います!』

『はっ!!』

『承知しました!』

 

 ニーが各員の返事を確認していると、低空飛行で森の中に身を隠していたミイナのラナウン・シーが待ってましたとばかりに高く空に舞い上がり、飛び去るダンバイン二機を追い始めた。それを見たニーのダーナ・オシーも全開で加速する。

 

「ミイナ、先走るんじゃない! マーベル、十分気を付けて無理はするなよ!」

 

『ニー、早くー! 置いてっちゃうよ!』

「了解! 二人とも気を付けて!』

 

(なんとか全員無事に終わらせたいが、ドロ隊の指揮官は恐らくガラリアだろうしそう甘くはないだろう。それにしても、バーンの姿が見えないが……?)

 

 ミイナの後を追いつつ、ニーはバーンの駆るドラムロ、もしくはゲドの姿が見えないことに違和感を覚える。

 

(ドラムロが開発された以上、バーンがゲドを使うことは無いと思うが……どちらにしても姿が見えない。なにかトラブルでもあったのか?)

 

 なぜ居ないのか不可思議ではあるが、ドレイク軍の最高戦力でもあるバーンの駆るオーラ・バトラーが居ないのであるのならば、それはギブン軍にとって好都合以外の何物でもない。

 

「ならば、バーンが出てくる前に終わらせる!」

 

 ニーは自分を奮い立たせるようにそう叫ぶと、ペダルを限界まで踏み込んでダーナ・オシーをさらに加速させた。

 

 

 

 

 

 一方、その場に留まりニーたちを迎え撃とうとしたガラリアは、自分たちに目もくれず加速していくミイナのラナウン・シーとニーのダーナ・オシーを見て焦っていた。

 

「速い! ダーナ・オシーもだが、それ以上にあの新型オーラ・バトラーが!」

 

 今回の襲撃以前、ガラリア達が牽制のためにギブン領に侵入して攻撃を仕掛ける時に迎撃してきたオーラ・バトラーはニーの駆るダーナ・オシー一機のみのことがほとんどであった。

 これまでギブン領ではダーナ・オシーの完全な量産は出来ておらず完成したのは二機のみで、またニー以外に満足に使える兵が育っていなかったため、実戦投入は一、二回しかされなかったのだ。

 

「あの新型、バーンの乗るドラムロよりも速いかもしれない……パイロット、一体何者だ……?」

 

 ガラリアが……というより、ドレイク軍の面子がギブン家の地上人二人と相まみえるのはこれが初めてである。

 さらに言えば、ギブン家が地上人を召喚したのは間者によって知らされているが、呼び込まれた二人とも女であるという事であまり強く警戒をしていなかった。

 ここバイストン・ウェルにおいてガラリアのように女だてらに隊長格を務めるなど例外中の例外であり、また呼ばれた一人は引き籠り、もう一人はニー・ギブンに熱を上げて口説くなどの状況を報告されて油断していたのだ。

 

 またニーは用心深い性格であったので、ミイナと立ち直ったマーベルが演習や強獣討伐をする際には生え抜きで信頼できる家臣と兵のみを随行させ、間者が詳しい状況を知りえぬ状況で行った。

 同様に間者を警戒して、ラナウン・シーの開発・製造もそれまでとは別の場所で秘密裏に行っており、ドレイク軍としては寝耳に水の状況であった。

 

『ガラリア隊長! ギブン家の新型オーラ・バトラー一機とドーメ二機がこちらに向かって来ます!』

 

 ガラリアが逃げていくダンバイン二機を追ったニーとミイナに気を取られていると、僚機のドロから通信が入る。

 

「わかっている! ショウ・ザマは敵の攻撃を交わしつつ陽動を頼む! 無理に攻撃はしなくて良いので回避に専念してくれ! ドロ隊各機、新型に注意しつつまずはドーメを墜とすのだ! 私は撤退したダンバイン二機に向かった新型とダーナ・オシーを追う! ドロ隊二号機、この場の指揮を頼む!」

『二号機了解!』

 

 ガラリアは指示を出し終わると、全速でニーたちを追い始めた。

 

(くっ! この場に残すショウ・ザマが心配だ……それに、今から奴らを追っても間に合うかどうかは微妙だが……放って置くわけにもいくまい)

 

 こうなると、いっそショウのダンバインも一緒に撤退してくれれば良かった、と考えてガラリアは唇を噛む。

 

(思うようになる戦場の方が珍しいのは理解しているが、ままならぬものだ)

 

 そう独り言ちた後。

 

「バーンに状況を報告せねばな……こちらガラリア! 無線指揮所のバーン! 聞こえるか!」

 

 と、無線機を手にしてバーンに呼び掛けた。

 

『こちらバーン。聞こえている』

 

 間髪入れずに返って来たバーンの声が妙に落ち着いているのに苛立ったガラリアだったが。

 

「……トッド・ギネスとトカマク・ロブスキーのダンバインは撤退開始したが、ギブン家の新型オーラ・バトラー一機とダーナ・オシー一機がその後を追ったので私はこれからそれを追撃する。ショウ・ザマは撤退せずドロ隊と共にしんがりを務めてくれている。なのでバーンも至急ゲドで撤退中のダンバイン二機の援護を頼む」

 

 己をコントロールし、努めて冷静に報告と要望を行った。

 

『了解した。先行して一機のゲドが出ているが、私もこの後すぐにゲドで出る。ガラリアはその場に留まり、ショウ・ザマのフォローとその場に残ったギブン軍の相手をしてくれ』

 

 だが、どこか呑気ささえ感じさせるバーンの返信に苛立ってしまい。

 

「何を悠長な! トッド・ギネスとトカマク・ロブスキーはあてにならない! このままでは墜とされるのが見えているのだぞ!?」

 

 冷静さは忘却の彼方へと押しやり、無線機に向かって我鳴った。

 

『心配するな、おそらくは問題ない。とにかくお前は、ショウ・ザマが墜とされないように気を配ってくれればよい。詳細は状況終了後に共有する。以上だ』

 

 だが、バーンはやはりどこか余裕の態度でそう言うと、一方的に無線を切ってしまった。

 

「どうしたというのだ、バーンは……だが命令とあらばやむを得まい。我々もこの場に残り対応する! ショウ・ザマのダンバインのフォローに行くぞ!」

 

 バーンの様子に唖然としたガラリアだったが、とり急ぎドロ内の部下に指示を出す。

 

(とにかく、ショウ・ザマを生きて返す事を最優先せねばな。最悪、このドロを特攻させてでも……)

 

 マーベルが駆るラナウン・シーからの威嚇射撃を交わして飛び回るショウのダンバインに向かって急ぎつつ、ガラリアは決意を固めた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。